47話 説明
――士希は話を終えると一回目を閉じ、それからゆっくりと開けた。
「約束を守るためか……」
ふと、そんな言葉がこぼれた。
「うん……。神様と約束したから。世界を守ってみせる」
士希の目は静かに燃えていた。そんな士希の顔は真剣そのものだった。
「まあ、でもロキに見つかるから今まで外に出て戦えなかったんだけど。その分、二人には迷惑をかけた……」
「いや、大丈夫だからもっと頼ってくれ。それより辛くはなかったのか?」
世界……。あまりにも重いそれを士希は守ると決めた。それはとても辛いことだと思う。まあ、だからもっと頼って欲しいんだけど。
「ありがとう。辛い……確かに辛いこともある。でも僕はこの世界が好きなんだ」
そして士希は一度目を瞑ると不意に微笑んだ。どこか照れくさそうに。
「それに二人がいる。楽しいことの方がずっと多いんだ」
――だから守ると士希は笑う。
士希も雪もこの世界を好きだという。でも……僕は――。
それでも二人が守るというのなら一緒に守る。僕だって今が楽しいから。
だからこそ士希の話をきちんと聞こう。
僕は友達の間で隠し事とかはない方がいいと思う。でもこれで隠し事はなくなる。そしたらもっともっと楽しくなる。
士希はそんな僕の気持ちを察したのか一度頷く。
「もう隠し事はなしだ。だから長いかもしれないけど聞いて欲しい――」
ユグドラシル。元々は神の世界にあった力の塊のようなものだった。それを士希がいじり生命の実を守る木となった。そしてその木は世界を守る者のため黄金のリンゴを五つ生らした。
黄金のリンゴ。ユグドラシルが選んだ人間にあうよう変化する。そして士希がその変化を読み取って食べさせることでスキエンティアを使える新しいイクシードが生まれる。また、この実を食べると成長が止まる。
スキエンティア。知恵という意味のそれは人間が戦うための武器だ。その能力で創られた武器は魂を形にしたもの。だから使用者の色などを移す。
イクシード。ユグドラシルに選ばれ黄金のリンゴを食べた者。
――士希が話してくれたことの中には知っていたが忘れていたものがあったりする。例えば、リンゴを食べると成長が止まること。多分重要なんだろう。思い出せば最初の説明の時に能力を手に入れると成長が止まると言われていた。しかも念を押された。でも僕にとってはどうでもいいことなんで頭の中でまとめる際に省いたところに入れていたのだろう。
「あ、あと魔術書はスキエンティアの能力の一つって言ってたけど正確にはスキエンティアの能力じゃなくて魔道書に魔法がかかっていてスキエンティアを使える人にイメージを送るだけなんだ」
「それでスキエンティアの能力で使ってるってだけか」
これは隠す必要があったか?
いや、なるほど。
「それを隠した理由って魔道書が古いものだから士希が関わっていないように見せるため?」
「な、なんで僕が関わったって知ってるの?」
予想通り驚いている。だけど簡単なことだ。
「いや、筆跡が士希と似てるなーと思ってたからそうかなと思って」
士希は少し顔を赤らめる。
「意外な落とし穴が……」
悔しがってる士希を見て雪と顔を合わせて笑ってしまう。
すると士希はムッとしたような顔になる。
しかし直ぐに何かを思い出したらしくポンと手を合わせる。
「あと二人に紹介しなきゃいけない人がいるんだ」
そう言うと士希は目を頭しばらくしてから目を開ける。
「ちょとまってて」
おそらくテレパシーで呼んだのだろう。
しばらくすると二人の人物が現れた。
「来てくれたね。こっちが和真と雪」
士希が僕たちを紹介する。
「天野和馬です」
「白金雪です」
「で、こっちが翼と知与川希美 」
今度はやってきた二人を紹介する。
一人は見たことのない少女。白い腰まである髪に青空のような青い目。多分中学生くらいだろう。雪や隣の少女と比べても見劣りしない可愛さだ。
「こんにちはツバサです!」
もう一人は見たことのある赤い目と白い髪の少女。
「こんにちは知与川希美です。士希の妻です!」
……え?
僕が固まっていると先に動けるようになった雪が士希に聞いてくれた。
「士希君、どゆこと?」
「あーええと、よし! また説明します」
そして何度目かの説明タイムに入った。
まず希美だが、士希を起こした少女らしい。で結婚したらしい。
次に翼。士希が目覚めてから少しして人間から選ばれ黄金のリンゴを食べた。そして生命の世界に士希と来て、ユグドラシルが出来た当時から戦っていた。そして空と美久が来てから神の世界に希美の手伝いのため神の世界に行ったが亡くなったのでまたこっちに戻ってきて雪が成長するまで戦った。そして雪が成長するとまた行ったらしい。
――てなことがあったらしい。
「そういえば雪をあの家からここに連れてきたのが翼なんだよ」
「え、そうなの!? あの時はありがとうございます!」
雪はすぐさま頭をガバッと下げる。
「そんな~、敬語じゃなくていいよ?」
「じゃ、じゃあ……ありがとう」
雪は照れながらも再度お礼を言う。
「そういえば士希と雪って成長するまで会ってないのか?」
ふと疑問に思ったことを口にする。
「いや、翼が連れてきた時に会ったよ。でもバレたくなかったから同い年に見えるぐらいま成長するまで会わなかったんだ。あと、会うだけなら和真にもあってるよ?」
「え、僕?」
「うん、、僕がご両親にいざという時任されてたんだ。だから和真のご両親がお亡くなりになられた時連れてきて身元を引き受ける人がすぐ見つかりそうだったから決まるまでの間預かってたんだ」
「ありがとうございました!」
思いっきり頭を下げる。
「いや、大丈夫だからもっと頼ってくれ」
士希はお返しだと言わんばかりに笑って言う。




