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この世界で願いのために戦う僕の物語  作者: KOKOA
第六章 絶対者《ストゥルティ》
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39話 誤魔化し

 しかし切り替えようと頑張ってもイライラが取れない。大体僕はすぐに怒鳴るやつが大嫌いなんだ。感情を押さえつけようともせずただ怒りを撒き散らせるだけ。そんなの理性のない動物と変わらないではないか。

 一人イライラしていると雪が呼ばれたのが聞こえた。

「白金さん……」

 少し沈黙がある。怒られてしまうのかとドキドキしていると先生は再び口を開いた。

「素晴らしい! 学年三位、クラスでは知与川君に続き二位だ! この調子で勉学に励みなさい!」

 拝啓、吉良さん。あなたのズルで順位が一つ下がった子がいます。この事実をどう思いますか?

 そこでふと、少し昔を思い出した。あれは体育の時間。僕は能力を使いズルをしてしまった。本当は僕が下位の下位に行くはずだったのに、僕は中間位になってしまった……。間違ったことをしたくない僕にとってこれはかなり苦しいことだった。てか、なんであんとき気づかないかな~。

 一人悶々としていると成績表配りを終えた先生が多分長いであろう話をしだした。ちなみに士希は一位だった。能力を使っても勝てないこの事実。まあ、成績表は普段の行いも入るから当然と言えば当然か。

「――はい、というわけでこれで一学期は御終いとなります。夏休は皆さん勉強に勤しむこととなると思います。学期明けのテスト楽しみにしていますよ」

 やっと終わった……。てか三〇分もしゃべり続けましたよこの人、大丈夫? 僕は大丈夫じゃないよ、話長すぎ。

「はい、それではさようなら」

『さようなら~』

 挨拶が終わり散り散りに帰っていく中、雪と士希の周りには人集りが出来ていた。これでは一緒に帰ることも無理そうなので一人で帰ることにした。

 扉をガラガラと開け、一人歩を進める。ところで終業式の日とかって性格がわかると思うの。例えばはち切れんばかりに荷物を鞄に詰め込み歩いている奴。酷い人なんかは馬鹿でかい紙袋を持ってきてそこに詰めている。そんな人を通り越して歩いて行く。そして下駄箱までたどり着くと靴に履き替えまた歩く。

 校門を出て暫く歩くとユグドラシルと家に向かう道で二手に分かれる。どちらに行くか少し悩んだが荷物を置きたいので一旦家に帰ることにした。




 家で夕食を食べていると母さんが成績の話を始めた。

「咲~、今回も良く出来てたわね~」

「そうでもないよ、こんぐらいが普通なんだよ」

 咲はちらりと僕の方を見ると「へっ」とでも言いたげな顔を一瞬して母さんの言葉に返答する。そして今度は父さんが話し始めた。

「咲はな。それに比べ和真はなんだ! こんなでは私立に行かせた金が勿体無い!」

 それに同調するように母さんが僕に追い打ちをかける。

「全くよね、今度からは和真ではなく咲にお金をかけましょう」

 う~ん、見事な連携プレイ。もはや慣れたので何も言わずにただご飯を口に運ぶ。

 ところで昔のことになるが僕がこの家に引き取られたのは天野家に子供がいなかったからである。だから自分達の子供が出来たらそりゃそっちを可愛がるわな。まあ、本来は本当のお父さん――空の妹が僕のことを引き取ってくれるはずだったのだがそういうわけで僕は天野家に引き取られた。ちなみに母さんが確か母さん――美久の再従姉妹だったと思う。なんか考えてて頭が混乱してきた。

 まあそれは置いといて、引き取ってくれたのはありがたいけどどうせなら僕をもっと甘やかして欲しい。楽をさせて欲しい。てかもう動きたくないでござる。

「和真は昔から何も頑張らないで、すぐに逃げ出すからダメなんだ」

 少し今のにはイラっと来たが我慢する。そもそも僕としては昔から頑張ってるつもりだし、今だって世界を守るために頑張っているではないか。まあ、そんなこと言えるわけないんだけどね。

「おい、お前さっきから何無視してるんだ!」

 突然、父さんが怒鳴り声を上げる。そしてまずいことに僕はそれで舌打ちをしてしまった。それが聞こえたらしく席を立ち僕の胸ぐらを掴み上げる。

「お前いい加減にしろよ!」

 一瞬、ほんの一瞬だけ殴りたいという衝動が全身を駆け巡る。だが殴ったら余計めんどくさくなる。

 なんとかその衝動を押し殺す。だがイラつきが取れるわけではない。このままここに居たら次こそは殴ってしまう。

 父さんの手を払い家の外まで走って出て行く。こんなことは初めての事だからか皆は固まって動いていなかった。

 そういえばこんなことは初めてなのか……。我ながらよく我慢したほうだと思う。だがもう限界だった。僕だって限界だ。

 そんなことを考えながらトボトボ歩いていると後ろから声がかけられた。

「和真~こんなところで何やってんだ?」

 ふと顔を上げると士希が走ってこちらへ向かって来ていた。

 そうか、いつの間にかユグドラシルの近くまで来ていたらしい。

「いや、ちょっと散歩でもしようと思ってな……」

 無理に笑顔を作って誤魔化す。

「ん? 何かあったのか?」

 驚いて表情が固まる。それに士希は気づいて少し考えて何か納得したように頷く。

「いや和真が誤魔化す時の笑顔って微妙に違うから」

 それでまた驚いてしまう。だが少し考えればそんなに驚くことではないと分かる。付き合いはそんなに長くないが士希と雪のことなら僕も少しの変化で何かあったことぐらい分かるだろう。

 とりあえず誤魔化しも効かないので正直に喋ることにした。

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