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この世界で願いのために戦う僕の物語  作者: KOKOA
第一章 開幕《フィーネ》
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3話 混沌

 リーヴが出来てから数日後学校で授業を受けている。受けているはずなのだがなにかがおかしい誰も動かない。

 少し考え一つの可能性に行き着いたとき――

「天野、アンノウンが現れた。雪と向かってくれ」

「わかった」

 声をかけられると同時に廊下に飛び出す。

 すぐに白金さんと合流してアンノウンがいる場所へと向かう。

 僕の考えは当たっていた。正直胃が痛い。

「天野君止まって!!」

 すぐに急停止する。

 止まった後目の前に矢が何本も降り注ぐ。

 上を見上げると黒い球体が浮いていた。

[天野そいつがアンノウンだ。識別名は――【カオス】」 

 ――カオス……。

 詳しいことは知らないけど確か識別名はアンノウンの特徴からつけられるんだったな。

[あいつの特徴は何なんだ?]

[形がいきなり変わったりすることだな]

[形?]

「くるよ!」

 白金さんの声が響く。

 カオスの方を見ると黒い球体から何匹もの鳥になって迫ってきていた。

 白金さんは鳥の集団に向かって雷を放った。雷で数羽落ちたが残りは僕達の目の前まで来て一本の刀に化ける。僕達はスキエンティアでその刀を受け止め、蹴りを刀の横に入れる。刀に亀裂が走る。

「よし!」

 このまま押しきれる!

『愚かな……』

 突然、底冷えするような声が頭の中に響いた。

 刀を見ると亀裂の入った場所から黒い蝶蝶が湧き出ていた。

 刀から離れて守りの体制をとる。

 空は少しずつ蝶で埋め尽くされ、地上まで蝶で埋め尽くされようとしていた。

『足掻いて見せよ……」

 白金さんは炎で蝶を燃やしているが蝶の増殖スピードが早すぎる。僕は白金さんに近寄る蝶を消しているのだが近寄る数が少しずつ増えている。

[雪、天野、そいつにも限界があるから今は耐えてくれ!」

 知与川が言うとおり限界があるのだろうが我慢比べはカオスの方が強いだろう。

『この程度かつまらん……』

「なめんな!」

 空に向かって光の矢を大量に放つ。

 カオスは避ける気がないのだろう。何百羽もの蝶が消えた。白金さんも周りに居た蝶は大体消していた。

 だが、この程度で優位に立てるほど相手も弱くはない。

 ここは学校の近くということもあり家が多い(大体が白金さんに焼かれたが)。その家の中に蝶が入っていたのだろう。

 突然、家が爆発した――



――あの蝶はカオスの形が変わったものだ。当然その力は魂にも届く。

 ダメージを感じながらも体が痛いわけではないのですぐ起き上がれる。

 起き上がると白金さんがチラとこちらを確認して安心したような顔を作った。

「大丈夫?」

「おかげさまで。ありがとう」

 爆発した直後に白金さんは僕たちの周りをバリアで守っていた。あの一瞬で考え、行動出来る冷静さは凄まじい。

「どういたしまして」

 少し微笑んだが、すぐに真剣な顔になり前を向く。

 前には蝶――ではなく騎士がいた。しかも数人ではなく数千人。この騎士たちもさっきの蝶と同様に増えるならかなり厄介だ。

『かかってこい……無力なものども……』

「黙れ、厨二やろー」

 騎士の一体に斬りかかる。

 一体、二体と斬り倒していく。白金さんも相手を斬っていく。



 ――あれから一時間はたっただろう。

 僕も白金さんもだいぶダメージを受けている。

 正直そろそろ限界だった。

 しかし、相手もだいぶ力を使ったのだろう形は変わるものの、さっきみたいに数で押してくることはなくなた。

「あと一息……」

 自分に言い聞かせリーヴを強く握り締める。

 カオスが牛の形からチーターのような形になり襲いかかってくる。

 それを避け斬りかかる。カオスはそれをコウモリとなり避け、空中で槍となり降ってくる。

 僕たちは空を飛んで避ける。それをカオスはドラゴンとなり追いかけてくる。

「無茶苦茶すぎんだろ!」

 カオスの死角となりそうなところから斬りかかるも死角だった場所に目が生えてきて避けられる。

[天野君こっちにカオスを連れてきて」

[了解!]

 直接ではなく心に話かけてくるってことは何かあるんだろう。おとなしく言われたとおりにする。

 カオスを白金さんの近くまで誘導する。

[天野君そこから離れて!]

 白金さんの合図と共に地上をイメージしテレポートする。

 地面の感触を感じると同時に空を見上げる。

 白金さんは剣を腰で構え動き出した――そこからは目で追うのがやっとだった。カオスのいる場所まで一気につめ、何度も斬りつける。

 白金さんがカオスから離れると、カオスは地上に落ちてきた。

 白金さんも降りてきて二人でカオスの落ちた場所に近寄る。

『人間風情が……調子に乗るな!」

 カオスは球体に戻り黒い光線のようなものを撃ってきた。

 白金さんは横に大きく飛び避ける。

 ――僕はギリギリのところで避けそのままカオスに突っ込む。

「くたばれーーーー!!」

 あと少しというところでカオスは姿を消した。

 ――カオスが消えた。

 でも気配はある。一体どこに……。

「天野君避けて!」

 カオスを探しているとトスッっというような軽い音が響いた……。

 その後に続けて何回も同じような音がした。

 すぐに激痛が走る。

「ッツ」

 自分の体を見ると何本ものナイフが刺さっていた。

『まさかここまで愚かだったとは……』

 急いで回復をイメージする――が出来なかった。

『無駄だ……貴様がイメージしても私がそのイメージを消す……』

 ――だったら……

 まずナイフを体外に出すようイメージする。

 それを消されれないよう集中する。

 上手くいきナイフが抜けた瞬間空に逃げ、回復する。

『どこまで耐えられるか見せてみよ人間……』

 カオスは様々なモノに変化した。動物、昆虫、物。

 さっきは消えたのではなく塵か何かになっていたのだろう。そう考えると地上より何もない空中の方がいい。白金さんも同じことを思ったらしく空中に来た。

「天野君、大丈夫?」

「大丈夫、さっきのはそこまでダメージになっていない」

「無理はしないでね」

 それだけ言うと白金さんはカオスが化けた群れに突っ込んでいった。

 僕も群れに突っ込んで行き相手を切り刻んだ。

 それから暫くたった後知与川から連絡が入った。

[雪、天野そいつらはカオスの一部でしかない。必ず核となる場所があるはずだ。それを見つけ、消してくれ]

 今までのは殆ど無駄かよ! 少しイラだちながらも核を探す。

 ――もしカオスの本体からあいつらが作られているなら、分裂している奴を探せばいいはずだ。

[白金さん、こいつらがどこから分裂してるか分かる?]

[ちょっと待ってて」

 そう言うと白金さんは剣を地面に刺した。すると、クモの巣のように糸が広がっていき糸の一本が一匹の犬に絡みついた。

[天野君見つけたよ」

 白金さんが言うと同時に、犬のところまで走って行き剣を犬につき立てる。

 すると犬を残し残りのものたちが消えた。

 ――だが犬は剣をさっき僕がやったように抜き、離れたあと人間の五倍はあるだろう大きさになり牙をむいてきた。

『殺してやる!!」

 カオスは一瞬で僕の目の前まで移動し爪で攻撃してきた。それをなんとか避け、カオスに剣を刺す。白金さんはカオスが痛みでのけぞった瞬間に両目を斬った。

 カオスが目を治している間に斬るかかる。カオスは目が治った瞬間に白金さんを狙い口から光線を放った。

 白金さんは避けたが爆風で飛ばされてしまった。体制を立て直した時には二発目の光線が撃たれようとしていた。それを止めるためカオスの首を斬ったが。すぐに首が生えてきて、今度は僕に噛み付いてきた。避けようとしたが間に合わず少し足に歯が食い込む。

 一旦距離をとり傷を治す。

 正直言ってもう限界だ。しかしそれは相手も同じのはずだ。証拠にずっと犬のままだ。

 大きく深呼吸し、カオスに突っ込む。カオスも爪で攻撃してきた。それを本当にギリギリのところで避け、剣に力を込める。しかしカオスが光線を撃ってきた。

 もうダメだと諦めかけた――が。白金さんがカオスの首を斬ってくれた。

「天野君、あとは頼んだよ!」

「うおオオォォッ!!」

 大きく地面を蹴り、剣でカオスの体を横に切り裂く――



 切り裂かれたカオスの体はゆっくりと消えて行き……

『おのれ……人間……』

 最後にそれだけ言うと完全に消えた。

「あの、さっきはありがとう」

「お礼なんていいよ、それよりもお疲れ様」

「おう、お疲れ様。で、これってどうするの?」

 周りは家などが並ぶ住宅地だったはずだ。なのに今は何も残っていなかった。あるのは抉れた地面のみ……

「これはすぐ治るよ――ほら」

 白金さんが言ったとおり時間が巻き戻されていくかのように治っていった。……僕達の傷は治んないけど。

「じゃあ学校に戻ろうか」

 仕方なく残ってる力で傷とボロボロの制服を直し学校に向かった。


 

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