25話 運動会
とりあえず先生に見つからないよう、先生が出ると同時に後ろの扉から入る。
扉から入ると士希と雪が寄ってきた。
「和真君大丈夫?」
「和真あんま気にすんなよ」
二人が心配そうに励ましてくる。
あんま気にしてなかったけど励まされるとうるっとくるよね!
「大丈夫ありがとな」
「マジダセーな天野」
横から声がかかる。そちらを向くと松田が立っていた。
「ちょっと松田君今のはないんじゃない!」
雪が少し声を大きくして言う。
そこで皆が僕らに注目する。
「なんで白金さんはそいつのこと庇うの? あ、もしかして天野のことが好きとか?」
はぁ!? こいつバカなのか?
「? そうよ!」
あ、雪もダメっぽい。おそらく雪は友達として好きと言おうとしたのだろうが、この場合は違うだろ……。
「え、な、何言ってんだよ白金さん」
松田が明らかに動揺する。そりゃそうだ松田は雪のことが好きなのだから。
まあ、僕も動揺してるから人のこと言えないんだけどね。
雪の方を向くと少し顔を赤らめていた。それが怒りからくるものなのか羞恥からくる物なのかは分からない。
「正直白金さんもキモいんだけど」
だが松田は一瞬で動揺を隠すと雪に標的を定めた。
これはまずい。このままだと雪まで嫌われてしまう。
「まあまあ、二人共落ち着いて」
ナイスだ士希!
士希はクラスで誰よりも好かれている。その士希が言えば嫌でも聞かざるを得ない。
最後に松田は舌打ちをして自分の席に着くのだった。
「ごめんね和真君巻き込んじゃって」
「ううん、てか巻き込んだのは僕の方だし」
しかし問題はこのあとに起きた……。
体育の時間雪は一人でポツン立っていた。いつもなら雪は絶対誰かに声をかけられている。
要するにハブりの対象になってしまったのだ。
こいつはまずい、こんな簡単に虐めって起きるもんなのか? いやおそらく違う。雪は元々女子の間ではあまり好かれていなかった。それで、さっきのがトリガーとなってハブりへとつながってしまったのだろう。
体育の時間僕は雪が気になってあまり集中できなかった。
体育の後はもうHRやって放課後だし雪もユグドラシルに向かうはずだ。
そこで話をしよう。
そんなことを考えているとHRは終わった。
これで話せる。
そこで士希が声をかけてくる。
「和真、雪帰ろうぜ」
「「うん」」
ナイスだ! これで僕が雪のこと誘ったらまた変な誤解が生まれるしな……。ハァめんどくさい。
ユグドラシルへと続く道を三人出歩く。もう周りにクラスメイトはいないし大丈夫だろう。
「あの……雪ごめんな」
「ん? 何が?」
「いや、僕のせいで雪ハブられてただろ」
「ああ、体育の時間見てたんだ」
「うん」
「それよりもさ和真君もハブられたでしょ? ごめんね、私があそこで怒らなければ……」
「いや、怒ってくれて嬉しかったよ。ありがとね。それにいじめには慣れてるからさ」
「そう言ってもらえると助かるよ」
「とりあえずそのことは一旦忘れて練習に入ろうぜ」
それから毎日僕らは練習を続けた。
そして本番の日――といっても一週間ぐらいしか経っていない。
校庭に出るともう人がたくさんいて賑わっていた。
「え~生徒の皆さんは一旦集合してください」
アナウンスが入る。生徒達は駄弁りながら集合する。
「え~本日は大変いい天気となております。――――」
校長の話が終わりいよいよ始まる。
「え~それでは体育祭を始めます。最初の種目は騎馬戦です」
僕らは色々な種目をこなしていった。棒倒しの時は相手の拳が僕にヒットしてアウチだったけど……。まあなんだかんだ僕らの学年が勝っていた。あ、ちなみに由不は学年対抗で戦うことになっている。まあ、それだと三年生が有利なのでハンデはもらえるのだがそのハンデがいい感じで文句を言う人は少ない。
そして最後は全員リレーだ。全員リレーはクラスごとに走って上の順位を取った学年にその順位分のポイントが加算される。
「位置について! よ~い!」
そして「パン!」とスターターピストルがなる。僕の順番はまだまだ先だ少しゆっくりしよう。
そして士希の番になった。
「次の人は出てください」
先生が声を張り上げそう言うので僕はスタートラインに立つ。そして少ししたあと士希から僕にバトンは渡った。
僕はこの一週間で少しは速くなった。そのおかげかあまり差をつけられずバトンは雪へと渡った
だがここでありえないことが起こった。雪が大差で負けてしまったのだ。しかも相手は一年生だ。相手が一年生だから別にいいのかもしれない。それに同じ一年生なのだから負けることもあるだろう。だが訓練を積んできた雪がそんなあっさりと負けるなんてとても考えられない。
しかもその雪に勝ったやつは勉強でも学年二位という成績を誇っているのだ。
これは天才とかいうレベルなのか?
そんな釈然としない気分のまま運動会は終わった。
二人と一緒に教室へ戻ると少し教室の中はざわついていた。そして一人の男が僕らの前に姿を現した。松田だ。なんだ? 顔を見ると少しニヤついていた。




