24話 隠し事
っと、そんなこと考えている場合じゃない。気がつくとすぐ目の前まで雪が迫ってきていた。
「シレオ・ソル!」
「禁術は卑怯だろ!」
気づいた時にはもう周りは吹雪で見えなくなっていた。だが巨大な炎なら溶かせるだろう。てかこのままだと凍え死ぬ。
「アウルム・ソル!」
雪が禁術を使うならこっちも禁術で返すまでだ。
この魔法は太陽と同じ温度の炎が出せる魔法だ。これで全部焼き尽くしてやる! ちなみに炎と僕の間にはバリアを張ってあるので熱くない。
炎は吹雪を終わらせた。だが同時に炎は消えてしまった。これでまた振り出しだ。
「ほんと強くなったね和真君」
「まあね」
「でもこれならどう!? 絶対零度!」
「はぁ!?」
当ったら終わりじゃないの? これ。
そこからはもう鬼ごっこのようだった。
雪が僕のことを追い掛け回し。僕逃げ続ける。
でも問題が一つある。
本来、体力切れはスキエンティアを使っている場合スキエンティアの力が残りわずかにならない限りおこらない。なのでスキエンティア=体力とも言える。だが今はスキエンティアで体力の増加はできないので自分の体力で走るしかない。ここでひとつの問題が起きる。それはもう僕に体力など残ってないということだ。
僕はその場で倒れ込んだ。足がビリビリしてもう歩くことすらできない。更には息も荒くなり意識が朦朧とする。
まあ、一時間近くあの重い剣を振り回してたらこうなるわな。
やっと呼吸が安定してきたので起き上がると雪が目の前にいて飲み物を渡してくれた。
やっと終わった。
雪が飲み物を飲みながら言ってくる。
「そういえば和真君、戦いのためにも体力はつけた方がいいよ」
「え、なんで?」
「戦いの時、体力があると体力増加に必要な力が少なく済むから他に力を使えるんだよ。それが体力をつけた方がいい理由」
「あ、そうか。じゃあ、体力も必要なんだな」
「まあ、だから私もつけたんだけどね」
「どういうこと?」
「ううん、やっぱ何でもない」
「そお?」
明らかに何かを隠してるな雪のやつ。
試しに聞いてみるか。
「なあ、雪何か隠してないか?」
「えと……分かっちゃう?」
「うん」
「はぁ。分かったよ、この前和真君の両親のことも聞いちゃったし」
「あ、嫌なら無理して話さなくていいんだよ?」
「ううん、ただなんとなく隠してただけだからいいよ」
なんとなくでこんな顔をするもんなのか?
「私の親は私が生まれてすぐ殺されちゃっとの。で、私にはスキエンティアを使う素質があるかも知れないということでユグドラシルに引き取られて、それ以来ここで暮らしてるんだ。」
「殺されたってアンノウンにか?」
「ううん。人間だよ。それでかなあんまり人のことが信用できないんだ…」
「人間を信用できないってそれは士希や僕もか?」
「どうしたの急に? 普段ならそんなこと聞かないのに」
「いや、やっぱいいや、ただちょっと気になっただけだから」
本当は僕が雪を信じてるから僕のことも信じて欲しいだけなんだけど。結局僕は信じてもらえてるのかな?
「そう? まあ、とりあえず私の目標は犯人を見つけること。そのために訓練してきたんだし」
「ん? 相手はたかが人間だろ? 訓練なんか必要あるのか?」
「うん。ちょっと相手の人間が特殊なんだ」
「それって――」
「やあ、二人共ちゃんとやってたか?」
まあいいや、今度聞こう。
「やってたよ。それより士希はもう用事いいのか?」
「ああ、もう大丈夫になった」
「じゃあ、もう一回走るか」
「和真君もう走れるの?」
「おう!」
「じゃあ、走ろう!」
士希の掛け声と共に走り出す。
「あ~朝か」
昨日はあの後しばらく走り家に帰った。でも問題はその後に起きた。筋肉痛だ。すなわち足が痛くて眠れない! ということが起きたのだ。
実際まだ足が痛くて歩くのがやっとだ。
リビングに行くといきなり笑い声が響く。
「お兄ちゃん、筋肉痛なの? ウケル~」
うわ~ウゼェェェ。
とりあえず朝ごはん食って学校行くか。
棚から一つの菓子パンを取り食べる。
「あ、これ意外と美味しい」
食べ終わったらとりあえず着替え学校へと向かう。
「和真君おはよ!」
「はよ!和真」
「ああ、おはよう」
「和真君なんか元気ない?」
「うん。実はね足がものすごく痛いんだよ」
「情けないぞー。今日も走るんだからなー」
「せめて回復機使わせてー」
「しょうがないな。学校終わったらな」
「おお、ありがとう!」
「途端に元気になったね」
雪が苦笑をする。
でも遅かった。学校が終わったあとじゃ。
「天野君! 寝るんだったら出て行きなさい!」
「す、すみません!」
一時間目にはもうダウンしていて教師に怒られた。
「すみませんで許すと思ってるのか! いいから出て行きなさい!」
「はい……」
扉を開けるて出て行ってもまだ教師は怒っていた。
「皆はああなるなよ!」
さて終わるまで廊下で待ってるか。
流れる雲を眺めていると段々イラつきが取れてくる。
はぁ、あいつ嫌いなんだよなー。まあ、今回は僕も悪いけどさ、あそこまで怒る? 普通。
そしてしばらくたった後キーンコーンカーンコーンという音が聞こえてきた。




