23話 謎
「……アンノウンは一六年前姿を現した未知の生命体だよ」
「初めてアンノウンが現れた時どうしたんだ? 来るなんて分かってなかったし準備なんてできてないだろ?」
「いや、準備は出来ていたんだ」
「どういうことだ?」
「一六年前、謎の生命体が姿を現し、政府にこういった――アンノウンという生命体が地球の生命体全てを滅ぼすだろう――と。だが最初政府は鼻で笑った。――そんな訳無いだろう――と。だがその生命体は一瞬でユグドラシルを生命の種がある場所に作り上げた。それを見た政府は信じざるを得なくなった。そして二人の人がアンノウンと戦う役に選ばれた。で、その二人の人というのが和真のご両親だ」
まあ、僕の親が戦ってたのも一六年前だし予想はしてたけど本当にそうだったとは。それよりも――
「その謎の生命体ってのはどうなったんだ?」
「その生命体ていうかアンノウンは今行方不明なんだ」
「やっぱアンノウンなんだ」
「そういえば士希君、その情報どこで知ったの?」
「ここの指揮官になるときに聞いたんだよ」
「「へ~」」
「ま、まあとりあえず体育祭に備えて練習しようぜ」
「そうだな」
「じゃあ、まずは走り込みな」
「和真君、そんな嫌な顔しないの」
「いやだって走り込み――」
「よーい、スタート!」
喋らせてよ! 最後まで喋ってないよ!
まあ、しょうがないから走るけど。
タッタッタッとただ走る音だけが響く。
少しずつだが確実に減っていく体力。この前はスキエンティアを使っていたから楽だったが、正直始まって五分と経っていないがもう辛い。
「和真ーそんなんじゃ体育祭の時バレるぞー」
反対側から士希の声が聞こえてくる。
今、走っているのはユグドラシルのトレーニングルームだ。そして地面に光で書かれたトラックは一周三〇〇メートル。
そして今、士希と雪に一周半ほど差を付けられている。てか雪意外と速かった。
それから三〇分ほど経った頃士希が声を上げた。
「よーし、そろそろ走り込みは終わらせよう。あ、あと僕はそろそろ用事があるから抜けるよ。あとはよろしくね」
「「はーい」」
「じゃあ、和真君普通に走ってるだけじゃつまらないから体力作りついでに訓練しない?」
「え、でもスキエンティア使ったら体力作りにならないんじゃないか?」
「そう。だから体力とか自分の力を増強する魔法はなしで訓練するの。後、空を飛ぶのも無しね。あ、でも防御力の強化はありね」
「わかった。じゃあ早速始めようか」
「うん、行くよ。リーヴスラシル!」
「行くぞリーヴ!」
両者剣を出す。
とりあえずは一定の距離を保つ。にしても重すぎんだろリーヴ。いっつも力増強してるからわからなかったよ。
「ハッ!」
一気に距離を詰め斬りかかる。だがこれはよけられてしまう。
だがそんなのは予想できている。
「ファースト・アクセル!」
体が一気に加速する。
そして剣に雷を走らせるためイメージを開始する。まずは雷を作る為、雷をイメージする。そしてそこから徐々に剣へとその雷のイメージを投影する。そこで初めて剣が雷を帯びる。
「喰らえーー!」
だがギリギリのところでよけられてしまう。
「和真君ファースト・アクセル禁止だよ!」
あ……そうだった。
「ごめん、ってうわ!」
ファースト・アクセルを解くと同時に雪が斬りかかっきたので反応が少し遅れて髪が数センチ切り落とされる。
てか、僕の使える魔法って大体自分の力を増強させるものなんだよな。
まあ、使えないなら他の物を使うしかない。初めてだけど上手くいくかな?
雪の攻撃を上手く避けながら魔法陣を書く。まずは……剣の先に力を集める。次にその力で地面に(地面がない場合は空間に)魔法陣の中心となる部分を書き込んでいく。そして最後に周りの部分を書いていく。出来た! 後は発動するだけだ。だが――パリンという音と共に魔法陣が砕け散る。
「させないよ!」
「クッ!」
どうやら雪が魔法陣を破壊したらしい。魔法陣を見ると線が一本加わっていた。魔法陣は繊細なもので線一本でも加わったら発動できなくなってしまう。
だったら、今度はバレない所に書くまでだ。手に書くことにしよう。手にまず中心となる部分をイメージだけで刻む。刻んだところがズキズキと痛むが力を使いすぎると雪にバレるので痛み止めの魔法は使わない。
そして今度こそ完成した。
「魔法陣展開! アストラ!」
手に書かれた魔法陣を雪に向ける。すると魔法陣から流れ星が出る。
流れ星。それはただ見ているだけなら綺麗なものだ。だがその速さは秒速四〇キロメートルである。そんなものが当たれば当然体など穴があいてしまう。
「いっつ……」
雪は一瞬顔を歪めたが直ぐに治った。まあ、それもそうだろう。僕達はどんな痛みが来てもすぐ戦えるようある程度の痛みは感じないようになってるのだ。なぜそうなっているか前に士希に聞いたらこう答えられた。
「だって痛すぎたら痛みを消すイメージすら出来ないだろ?」
ごもっともです。実際これは相当大切な機能だ。ちなみにある程度というが剣で刺し貫かれても「いて」ですむレベルだ。なので痛みでイメージが出来なくなるということはない。




