21話 僕の願いは
だがその光が僕に届くことはなかった。
なぜなら雪が身を挺して僕を守ってくれたからだ。だがあんなものを受けても耐えられるほど雪の体は頑丈ではない。雪は地面に落ちていってしまった。だがギリギリのところで雪をキャッチする。
「和真君ありがと。後はよろしくね」
雪はそれだけ言うと気を失った。
雪をそっと寝かした後、空を見上げるとペルソナの手には煙をあげる馬鹿でかい大砲があった。恐らくあの大砲から光は放たれたのだろう。
あいつだけは僕が倒さないと……。再び空に浮く。
『後はお前だけか……』
「来いよ……ペルソナ!」
[和真、後は頼んだ]
[分かった]
再び剣を交える。だがその戦いは五分と続かなかった。なぜなら僕に限界が来てしまったからだ。目は霞み手が震えてくる。少し無理をしすぎたみたいだ。
だが、こんなところで終る訳にはいかない。さっきの攻撃、雪一人なら避けられたはずだ。なのに僕をかばったばっかりにこんな事になってしまったのだ。
だが、どうすればいい? もう打つ手はない……。
いや、もう一つだけあった。
自分を信じる心と願いを明確に持ちそれを叶えようとする意思か……。
僕は自分を今まで信じることが出来なかった。だけど雪と士希は信じて僕に託してくれた。だったら二人が信じてくれる僕を信じてみよう。
そして僕の願い……。僕の願いは楽しいことを見つけることだたんだけど、今結構楽しんだよね。だとしたら僕の願いは――
「リーヴ、僕の願いは今の世界を壊そうとしているあいつを殺すことだ!」
『インペリウム!!』
『な!? 俺でも使えないものを!』
剣が黒いオーラを纏う。
確かインペリウムは理想によって力が変化するんだったな。
僕は相手を殺すことを願いにしたせいか殺すことに特化していた。僕のインペリウムの効果それは剣に触れたものを一瞬で殺すこと。だがそれだけ強力なのだ魂の消費も激しい。死ぬ前にこいつを倒さないと――。
今の僕はインペリウムのおかげでサード・アクセルを使っている時よりも速く動けた。
剣がペルソナ――いや未来の僕に当たる瞬間に少しだけ言葉を交わす。
『じゃあな、未来の僕』
『はぁ、お前はちゃんと守れよ……。じゃあな過去の僕』
勝負は一瞬で終わった。
インペリウムを解く。その瞬間に疲れがどっと押し寄せてきて僕は意識を失った。
目を覚ましたのはそれから三日後だった。
「あ、和真君! 心配したんだよ!」
回復機から出るなりそう声をかけられた。雪の目の下にはクマができていた。きっと心配させてしまったのだろう。
「もう大丈夫なの?」
「ああ、もう平気だよ」
「お、和真やっと元気になったか」
「て、お前もかよ」
士希の目の下にもクマが出来ていた。
「ん、何が?」
「二人共クマができてるぞ」
「あ、やっぱり」
「…………」
士希はあははと笑い雪は赤くなって俯いてしまった。何が恥ずかしかったのかな?
まあ、とりあえず明日からも頑張らなくちゃな。




