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この世界で願いのために戦う僕の物語  作者: KOKOA
第三章 魔法《メミニメモリア》
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10話 ねずみ

 まずい。まずい、まずい、まずい。

「あ、お母さんだちょと呼んでくるね」

 あ、咲の野郎! だが今回は助かった。

「悪い、今日はお開きにしよう」

「分かった。テレポートとかで帰ったほうがいい?」

「出来れば……」

「分かった。じゃまたね、天野君」

「またな、天野」

 バイバイと手を振りながら二人が消えるのと母さんが部屋に入ってくるのはほぼ同時だった。

「どうしたの母さん?」

「咲がお兄ちゃんが友達を連れてきたというから見に来ただけよ。で、どこにいるの?」

「もう帰ったよ」

「あらそう。じゃあ、ご飯出来るから下降りてきなさい」

「分かった」

 なんとか平静を保って話すことが出来た。

 とりあえずお茶とお菓子の残りを持って下に降りる。

「お兄ちゃん友達どうやって返したの?」

「別にどうでもいいだろう」

 相手にせず横を通り過ぎる。

 リビングに入るとご飯の匂いがして腹が減ってくる。今日はどうやらカレーらしい。 

 席についてすぐにカレーは運ばれてきた。

「いただきます」

 返ってくる言葉はない。ただ黙々と食べる。




 ご飯も食べ入浴も終えたので寝ようとすると不意に違和感があるのに気づいた。

 何も動いていない。アンノウンが現れたのである。

 立ち上がると突然ガシャーンという音が耳に入ってきた。音のする方を見ると白金さんがいた。

 どうやら窓を破ってきたらしい。破片がその辺に散らばっている。ま、アンノウンを倒せば元に戻るでしょ。

 ――ズキッっと不意に痛みが頭に走る。そして夢のことを思い出した。

「気を引き締めていこう」

 ボソリとだが意思を込めて言う。

[二人共、アンノウンは神社にいるからすぐ向かってくれ。]

「「了解」」

 神社といえばここから一番近いので天条神社だ。多分そこに行けばいいんだろう。目で合図し二人同時にテレポートする。




 目を開けるとそこは部屋ではなく神社だった。

「とりあえず二手にわ、か、れ……」

 白金さんが言葉を切り一点を見ていたので目で追うと一匹のねずみがいた。

「これって士希これってアンノウンなの?」

 白金さんが聞くとしばらくしたあと返答が来る。

[えと、ツーって言うアンノウンみたい]

「じゃあ、倒そう」

 そう言うと白金さんはツー目掛けて突っ込んでいった。が、よけられた。しかも目で追えないスピードで。

 音からして音速は超えていた。もしかしたら光速かもしれない。そうすると対抗手段は限りなく狭まる。

 一、追いかけ続ける。二、白金さんが本気を出す。三僕がサード・アクセルを使う。

 一は論外。二は多分無理だろう。今は多分僕の訓練みたいなものだから白金さんはあくまで補助だし。

 こうなったら最後、三を取るしかあるまい。

「サード・アクセル!」

 自分の中の血が沸騰しているような感覚に陥る。心臓は跳ね上がり汗が出てくる。

「ハアッ!」

 一気にツーまでの距離を縮める。だがよけられてしまう。やはりこいつは高速で動いていた。

 二発三発と交わされる。だが今は光速で動いている。光速で動けば五秒で月まで行って帰って来れる速さなのだ。だから大丈夫と自分に言い聞かせる。案外あの夢は僕の心に刺さったらしい。

 そんなことを考えていると不意にツーが突進してきた。光速と光速が普通ぶつかり合えば両者が砕け散るが相手はねずみだ、だから砕け散るのはねずみだけだとそう思った。だがそれは間違いだった。ツーにダメージはなく僕だけが肩を抉られていた。

 あの一瞬で体を反らし歯で抉ったらしい。しかも歯は折れておらず再び突進してきた。僕は傷を治しながら空に飛ぶ。しかし相手は空気を台にしながら迫って来た。これは流石に予想してなかった。今度は突進を右腕に貰い右腕が切れる。

 すぐさま右腕を回復し剣を構え直す。だが遅かった。既にツーは体制を整え突進してきていた。今度はギリギリのところで躱す。しかしこれでは先に倒れるのはこちらだろう。だったら――

「アルブス・アーラ!」

 翼をはやし速度を上げる。ここからはどっちが先に決めるかになるだろう。一気に加速しツーめがけて突っ込んでいく一撃目は僕の剣が躱される結果となった。だが諦めず二回、三回と攻撃していくと少しずつ掠るようになってきた。しかし相手も馬鹿じゃあない勝てないと分かった瞬間逃げることに徹したのだった。そしてスキあらば攻撃というとてもねずみとは思えない方法でかかってきたのだった。

 だがとうとう僕の一撃が当たる。

「チュギィィ!!」

 ツーは断末魔の叫びをあげながら落ちていった。

 僕もそれを追いかける。地上に降り立つとすぐにツーへとどめを刺す。

 そしてサード・アクセルもとき白金さんの元へ向かう。

「おわったよー」

 そう言いながら白金さんに近寄る。だが――

「天野君一旦下がって!」

 言われた通り下がる。するとそこを何かが猛然と駆け抜けていった。

「え、まだいるの!?」

 驚きのあまり声が裏返る。

よく見ると白金さんの周りには何体かアンノウンがいた。

[さっき雪には言ったがこいつらはさっきのを合わせて十二体いる。識別名は牛みたいなのがチョウ。虎みたいなのがイン。ウサギみたいなのがマオ。龍みたいなのがチェン。蛇みたいなのがスー。馬みたいなのがウー。羊みたいなのがウェイ。猿みたいなのがシェン。鳥みたいなのがヨウ。犬みたいなのがシュー。豚みたいなのがハイだ]

 

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