逆襲のモンスターハンター
召喚士の少女、サテラは一人旅を続けていた。
「なんだい、お嬢ちゃん一人なのかい?珍しいね。」
「あ、はい。召喚獣がいるので。」
「あぁ、なるほどね。一人ってことはかなり強いんだろうけど、無理すんじゃないよ。」
宿屋のおばさんに声をかけられる。
このように言われることは前からあった。
本当に一人でいいのかと心配されることや、仲間に誘われたこともある。
しかし、彼女はずっと一人で過ごしている。
その理由は2つある。
1つは、彼女の契約する召喚獣が警戒心が強く、そしてとても嫉妬深いから。他の人間の介入をなかなか許してくれない。
そして2つめは。
召喚獣と本当の絆を結ぼうと思う者が、未だに滅多にいないからである。
モンスターは倒すもの。モンスターと契約する召喚士は増えているのだが、ほとんどは力で屈服させた者ばかり。
ゴブリンのように奴隷として働かせる者や、使い潰す者もいる始末であった。
「そういえば聞いたことあるかい?逆襲のモンスターハンターの噂。」
「逆襲?」
怪物猟師。その存在は有名だ。
彼らの主な目的は、モンスターをモンスターから皮や牙などの素材を摂取して売ったり加工してもらったりすること。
素材をとるだけの者もいれば、闘技場などに売るために捕獲する者もいる。
「なんでも、モンスターハンターからモンスターを奪っていく変わり者なんだそうよ。」
「だから逆襲の、モンスターハンター。」
「召喚士も教われそうになったって聞いてるし、あんたも気を付けな。」
「わかりました。教えてくれてありがとうございます。」
噂のことは気になるが、長いこと歩いてきたのでお腹がすいた。
宿屋で部屋も確保できたことだし、食堂で早めの夕食をとることにする。
席について注文したところで、年上の女性が同席してきた。
「ここ、良いかな。」
「あ、どうぞ。お構い無く。」
「ありがとさん。」
座ってすぐに相手の女性も料理を注文する。どうやらお得意さんだったようで、おすすめのデザートも教えてくれた。
頼んだ料理が運ばれて来たところで、周りの人の噂話が聞こえてくる。それはどれも逆襲のモンスターハンターのことばかりであった。
「すごい噂になってるんですね。例のモンスターハンターさんのこと。」
「逆襲の、よ。他のモンスターハンターと同じにしたら失礼だわ。っていっても、この呼び名もどうかと思うけどね。」
「そうですか。」
「まあ噂にもなるかもね。ここってモンスターハンターは多いから。標的だらけで被害も多いって訳よ。」
「なるほど。でも、えっと。逆襲さんはどうしてそんなことをしてるんでしょう。」
「そうね。弱らせたとこを横取りしてるっていうやつもいるけど、あんたはどう思う?」
「え?」
「なんでだと思う?」
ひっそりとした言い方だった。まるで、誰からも聞こえないようにするためのように。
彼女に合わせて、サテラも声をひそめて答えた。
「・・・逃がすため?」
「私もそう思ってる。そんで、私はそれを正しいことだと思ってるわ。あんたは、悪いことだと思う?」
「わかりません。あまりに情報が少ないので。でも、モンスターを助ける、というのは悪くないと思います。」
「そう。それは良かった。残念だけど、ここいらじゃモンスターは敵だから。よくても商売道具。扱いは酷いったらないのよ。」
「そんな。」
「モンスターを襲う人間の方が増えすぎてるの。素材のために害のないモンスターをむやみやたらに狩るし。もし彼らが絶滅に追いやられたのなら、私は迷いなく味方になるつもりよ。まぁ、それは未然に防ぐべきなんだけどね。」
ふぅ、と彼女は一息ついた。
「ちょっと話しすぎちゃったかな。たぶん、あんたとは気が合いそうだったからね。ホント、こんな話できる人いないんだもん。」
「いえ私も久しぶりに誰かと食事ができましたし、話せて嬉しいです。」
「そういってもらえると助かるよ。よし、お陰ですっきりしたし奢るわ!おじさーん、いつものデザート二個よろしく!」
そのあとは、先程の話がなかったかのように楽し面白い話からくだらないことまで話し込んだ。
すっかり仲良くなったのだが、彼女全ての勘定を済ませるとさっさと消えるように去ってしまったのだった。
「全部払ってもらっちゃった・・・。お礼、言いたかったな。」
もしかして彼女が逆襲のモンスターハンターなのではと思ったが、真相はわからないまま一夜をすごしたのだった。




