第一章3-帝国の王女-
前書きと後書きを活動報告にて書いております。
よろしければ、本文読後にお読みください。
グリムディア中央大陸の東に浮かぶのは、世界的に見ても珍しい特色を持つ大きな島――バーンアレス島。
周囲の海上には他の島は一切存在せず、やや縦長の楕円形をしたこの島のみがグリムディア東海に唯一存在する島であり、帝国がその前身である皇国時代より専有している海洋上の領土でもある。
島の北端部には皇国時代の名残である王家の城と城下町があり、まったく逆側の南端部にも元々は砦だった建物を中心に小さな町が存在する。北端の城と南端の砦の間には鬱蒼と茂る森林地帯と、この島の最も大きな特色である大小合わせて7個の火山が存在する。
元々火山の噴火を繰り返すことで生まれた島なのだ。そして、その島で永きに渡り、今は無き皇国と火の象徴とされてきたのが英霊精龍――焦熱の火山、バーンアレスだった。
それが今向かっている目的地の情報。
情報源は、ダバンとディールの観光案内のような説明と、シャプールに伝わる資料をまとめたもので、二つの情報源から得られた情報なので信憑性はある程度期待できる。
そんな情報を頭に収めることは簡単だったのだが、クロウシスは深刻な船酔いに陥っていた。自身の凄まじい精神力と矜持から嘔吐することだけには頑として抵抗していたが、土気色になりかけている顔色で船室の壁にもたれ掛かっていた。
「恐ろしい酩酊感覚だ……人間の三半規管がここまで侵食されるとは、げに恐ろしきは大海の大波というわけだ……」
生まれてこのかた数千年。
ドラゴンとして生まれたクロウシスが船に乗ったことなどあるはずも無く、意識と自分という存在の感覚はあくまでドラゴンのそれなのだが、如何せん今は人間の体なので、この大きな波に揺れる感覚は彼の三半規管を上下左右に縦横無尽に掻き混ぜ、今まで味わったことのない未知の感覚の末に、酒にはまったく酔わなかったクロウシスが完全なる船酔い陥っていた。
嘔吐することだけはあってはならないと、そちらに全集中力と全忍耐力を総動員したが故か、既に波で揺れる視界グニャグニャになっており、まるで質の悪い幻術にかかっているようだとクロウシスは感じていた。
「おう、兄ちゃん大丈夫かぃ?」
「……せ、世界の終わりとは、きっとこういう……感覚なのだろう、と思っている、ところ……
だ」
「ダメそうだな……」
焦点の合っていない目で、反対側の壁に向かって喋るクロウシスにダバンは肩を竦めた。
「兄ちゃん、船乗ったことなかったんだなぁ……しっかしそれにしたっても酷い酔い方だぜ。なんつーか、ウン百年ぶりに土から出てきたモグラがお天道様に晒されちまった感じに見えるぜ」
「……な、なかなか、的確な例えだ……」
冷や汗通り越して脂汗を額に浮かべたクロウシスがかろうじて笑うと、ダバンは頭を掻きながら波に揺られて大きく揺れる船内を器用に歩いて移動すると、窓の押さえを押して外の様子を見る。
「まぁ、初の航海がこんな大時化じゃーなぁ……」
外は豪雨と時化で散々たる様相を呈していた。
「兄ちゃんの魔法で船を頑丈にしてもらってなくちゃ、こんな余裕でいられやしなかったってもんだぜ、だはははっ!」
「揺れまでは、消せなかったが……な」
「ちげぇーねぇー! だははははっ!」
愉快そうにダバンが笑っていると、船室に血相を変えた船員が飛び込んできた。
「ダバン大変だっ! 正面に帝国軍のアレが出やがった! それも一体や二体じゃないぞっ!」
「なんだとぉ!?」
外へと駆け出していくダバンの背中を虚ろな目で見ながら、クロウシスもふらつきながら立ち上がった。
船外は豪雨と時化でさながら海の地獄だった。うねる波と波飛沫であまり大きくもない船は圧倒的な力の前で漂うしかできない状態にある。それでも、時化になるというのが分かった時点で引き返すかどうかを迫られたときに、クロウシスが魔法による船の保護を提案した。
使った魔法は『海神の加護』といわれるもので、実際に海神の力を借りたりしているわけではないのだが、これを使った船は少なくとも一度の航海中に海がもたらす現象では絶対に沈まなくなる。
そんな船の甲板から船員たちが指差す方向には、船の前方に奇妙な光が浮いていた。その青白い光は豪雨で視界が最悪に悪い中で、うねる波の向こう側にはっきりと見えるほどに明確な光を灯していた。
「ちっ! 運がねぇー! よりにもよってこんな時にアレに遭っちまうなんて!」
「……ダバン、アレとは何だ?」
「おう、兄ちゃん来てくれたのか。アレは帝国が使ってる機械の化物だ。シャプールにいたのが陸で幅利かせてるやつで、海にもいやがるんだよ」
海戦型の龍騎兵。
――いや、『海』と限定せずに『水』と捉えたほうがいいだろう、とクロウシスは考えた。
「……ダバン、この荒れた海はどのくらい続きそうだ?」
「んぉ? そ、そーだなぁ。いつも通りの嵐なら今夜中には収まるんじゃねーか?」
「そうか……」
クロウシスが船首部分に手を触れると、手と船首の設置面が淡く光る。手が離れると、そこにはダバンたちにとって見慣れない紋章のようなものが焼印のように黒く刻まれていた。
「あ、兄ちゃん?」
「……これで、朝までは今かけている魔法が持続される」
「お、おいおい……まさか」
「……島で合流する。無事の航海を」
にやっと顔色の悪い笑みを浮かべると、クロウシスは甲板に固定してあった銛を両手に一本ずつ持つと、躊躇なく荒れる海へと飛び込んだ。
海の中に飛び込む際に自分にも『海神の加護』を掛けたクロウシスは、とりあえず沈むことだけはない状態となる。そして海中から海面方向へと目を向けると、そこには5体の巨大な影が水面に黒い影を浮かべていた。
船上で戦えば確実に船は沈むだろう。
だからこそ、自ら船を下りて海中に没したのだ。ならば、敵が船に攻撃を仕掛ける前に注意をクロウシスに向けさせなければ意味が無い。
銛の一つに『追尾魔法矢』の魔法をかけて解放し、残りの銛を手に次の魔法の準備をする。光の矢と化した銛が水面に浮かぶ影に直撃し、水中で爆発する振動を感じながら結果を確認すると、直撃を受けた個体を含めて5体の影が青い光と共に海中へと沈んできた。
――海龍種に似ている。
ということは、やはり水の英霊精龍は海龍の類だったのだろう。
今は亡き異世界の同胞に思いを馳せながら、その眷属の魂を辱める存在に向けてクロウシスは銛を構えた。
◇◆◇◆◇◆◇
バーンアレス島の南端部は深い切り込みのような湾になっており、その湾に沿って対海上船舶用の迎撃装置が湾に侵入してくる敵に対して作られている。そして、切り立った崖が聳えそこを登る道はとても幅が広く、その崖道に家々が崖の壁を背に立ち並び、崖の上に向かって並んでいる。その頂上に存在するのが前は絶壁、後ろは密林、その様相はまさに天然の要塞と言われた――バーン要塞。
その海上を望む湾岸部から東へ少し行った所に海と繋がる洞窟があり、古来よりそこは皇国に生まれし皇子が身を清めるための清廉と修練の場とされていた。
洞窟は島の地上部と吹き抜け状の縦穴で繋がっており、地上部を流れる川がそのまま伸びて地上から吹き抜けの下へと流れ落ち、さながら巨大な滝となっている。その下には満潮時に海水が押し寄せて滞留し、上から滝となって降って来る水と混ざって汽水となっている。
今は干潮で広大な空間となっている洞窟内には、溜まった海水と洞窟の奥に存在する滝から流れ落ちてくる水が混ざって、ゆっくりと塩分濃度を下げる『凪』の状態にあった。
そこに一人の少女がいた。
汽水域と化しつつある地底湖の水面を仰向けで漂い、長い銀髪が水面に美しく散らばり洞窟と入り口から僅かに差し込む光にキラキラと光っている。目を瞑り一見眠っているようにも見えるが、少女はここで神託を得ることを務めとする――巫女だった。
昨日までの嵐を忘れさせるほどに、凪いだ海から吹く穏やかな風を受けながら、静かな水面を漂っている少女の目が開かれる。
その眼は焦点が合っておらず、まるで曇った鏡のように何を映すこともなく開かれている。そして口が僅かに開き、少女の声で不明瞭な宣託が発せられる。
『――黒星が……滅び、を――と、共に――』
鉱石ラジオのような不明瞭で飛び飛びの声だったが、確かに少女は自分とは別の意思によってもたらされた言葉を紡いだ。
そしてゆっくりと目を瞑り、もう一度開くと目に人としての意思と輝きを秘めた目が戻っていた。
「黒星、滅び、共に……」
自分の意識外で発せられた言葉を呟き、その意味を吟味しようとするが、いつにも増して今回の神託は難解だった。ただ、『滅び』という単語に関しては考えるまもでない。現にこの世界は滅びへの道を歩んでいるのだから――。
神託を受ける際の通例として、一糸纏わない姿で地底湖を漂っていた少女がゆっくりと洞窟内の岸辺へと泳ぐと、その背後で激しい水飛沫と共に機械の異形が現れた。
咄嗟に振り向いて、それが何であるかを確認した少女が反射的に身を硬くしたが、すぐにそれの様子がおかしいこと気づいた。全体的に凹みや傷がついており、長い首の先にある頭も、いつもは青白い光を放つ索敵光も千切れて失われている。そして、その挙動もまるで何かに怯える様に周囲を探るように忙しなく首を巡らせていた。
そして、少女の姿を捉えたそれ――帝国海軍の主力龍騎兵が少女へとその首を伸ばそうとした時――水中から巨大な何かが龍騎兵の体を掴み海中へと引きずり込んだ。
驚きに目を丸くした少女が水中に目を凝らすが、光源の少ない洞窟内では水中の様子が伺えるはずもなく。ただ何となくだが、いつもより水の中の闇が濃い気がした――。
少女が固唾を呑んで静けさを取り戻した水中を見ていると、程無くして水の中から一人の人間が浮上してきた。反射的に身を硬くするが、最初にその服装が帝国軍のものでないことに気づき、次に浮上して水面に漂う人物が気を失っていることに気づいた。
しばらく様子を見ていたが、やがて少女はゆっくりと水の中を泳ぎ、水面に漂う人物の元へと近づいて行く。そして触れることが出来る位置まできて、そっとその体に触れた。
黒い法衣を動きやすいデザインにしたような見慣れない服装、武器の類は携帯しておらず、体には大きな傷は負っていないものの、所々服が破けたりして小さな傷もある。そして、何よりも少女の目を引いたのは、その人物の――髪だった。
染めていた茶色い染料が落ちて、そこから地毛の元々の色が現れていた。その色は鉄のような黒、まるで漆黒の闇がそこへ滞留しているかのように、水面に小さく広がっていた。
黒い髪は大陸における、始まりの王家の血を引き継ぐ者しか発現しない血統顕現のはずだ。そして今現在大陸にその特徴を現している者はいない。
その事を知る銀髪の少女は――眠る黒髪の男に問うた
「貴方は……誰?」
◇◆◇◆◇◆◇
燭台に灯された火の光が淡く揺れて、まどろむ意識の中を揺ら揺らと頼りなくも温かみのある色を妙に印象付いた。
クロウシスが意識を覚醒させて、一気に現状を確認する。
ベットの上に寝かされている。手足に拘束はなし。魔力を使った封印や監視をされている様子は無い。ただ強いて言えば、首に違和感があった――具体的に言うと何か冷たいもの巻きついている。そして右耳の耳元で何かの寝息が聞こえていた。
おもむろに掛けられていた布団から手を出して、首に巻きついているものを『むんず』と掴んで見える位置に引っ張ると、首に巻きついていたひんやりとした感触もズルズルと解かれた。
端的に言うとそれは生き物だった。
磁器のように白い体表はやたらとツルツルとした光沢を持ち、子供の首くらいの太さをした体長は一メートルくらいあり、蛇のように長いが蛇とは明らかに違う。寝ている顔はあどけない? 表情をしており、口の端から若干涎を垂らして、クロウシスに首根っこ――顔と胴体の繋ぎ目を掴まれて空中から真っ直ぐ縦一文字にぶら下がっている。
「………………は、白龍?」
我ながら物凄い間抜けな顔と声だったのだろうと、クロウシスはこの時の自分を終生悔いていた。だが、クロウシスがこんな反応を取るのも無理はない。
こちらの世界に何故白龍がいるのかは分からないし、どういう扱いを受けているのかは知らないが、少なくともクロウシスが元いた世界では始祖龍である黒龍、白龍の二柱は全ての龍の血統の源流であり、繁栄の元であると同時にこの二柱のドラゴンが骨肉の争いをした挙句にドラゴン族はそのこと如くが死に絶えたとされているのだ。
そんなある意味、仇敵というか宿敵を前にしたクロウシスなのだが――。
相手はどう見ても幼龍――いや、幼生体と言っていいのではなかろうか。現にクロウシスに掴まれたまま鼻提灯まで出して、いまだに寝ている。
周囲を改めて見渡すと、牢屋というわけでもない。民家にしてはやたらと頑強そうな石積みの床と壁がやや違和感を伴う。部屋の中には簡素な机と椅子が二脚、そして本棚とクロウシスが寝かされていたベッド、そして自分の手には白龍の幼生体が一頭。
「何だこれは……」
クロウシスは今の状況に対してなのか、それとも目の前に龍に対してなのか分からない感想を愚痴ていると、白龍の瞼がピクピクと動いて、その眼がうっすらと開いた。
その眼は黒龍であるクロウシスの黄金の眼とは対をなす存在で、美しい銀色をしている。その『英知たる銀嶺』とまであちらの世界で謳われた冷厳なる瞳――は妙に潤んでおり、それにクロウシスの姿を映した途端、白龍の体がピクピクと痙攣し、そして大声で鳴いた。
「ピィィィィィィィィィィっ!」
掴まれていた手から身を揺すって離れると、クロウシスの顔に向かって飛び掛ってきた。咄嗟に魔法の類で迎撃しようとしたが、相手の幼さと敵意の無さが妙に気に掛かり反撃の手を止めてしまう。そして、首へと喰らいつくかの如く飛び掛った白龍と人間の姿をした黒龍は、もつれ合ったままベッドの上に倒れこんだ。
「ど、どしたのトリヴァー? ってあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
奥の部屋からやってきた少女が部屋を覗くと、そこには今朝方少女の姉が海で拾ってきた男に滅茶苦茶にじゃれつく白龍と、それに物凄い困惑しながら抵抗する男の姿があった。
「トリヴァー……あたしと姉様以外に懐いたことなんて無いのに……」
幼いながらも清く孤高な魂を持つこの白龍は、少女と少女の姉以外には自らに触れることすら許さないほどに人見知りをして、決して他の人間に懐こうとはしなかった。その白龍が見知らぬ男に、今まで自分たちにすら見せたことがないほどの喜びと親しみを込めた様子で、自分の頭を男の胸や首にグリグリと擦りつけている。
その姿を見て――少女は無性に嬉しくなって、自分もそこへ飛び込んだ。
「わーい! トリヴァー友達が出来たのぉー!?」
「ピィィィィィィ」
「ぬぉぉぉぉぉ!?」
何故か満面の笑みでベッドへとダイブしてきた少女を、仰向けのまま片手で受け止めてると、その少女までもが白龍と一緒になって胸やら首に頭をグリグリと擦り付けてくる。敵対行動ではなく、むしろ親愛の情を示されているのは何とか理解できるのだが、それにしても状況がサッパリ分からない状態だった。
一人と一頭の合体攻撃にクロウシスが苦慮していると、そこへもう一人の少女――流麗な長い銀髪を持つ少女が現れた。
「いったい何の騒――」
髪の銀色がよく栄える青い瞳で部屋の中を覗いたところで、銀髪の少女の表情が固まる。
「あはははは! トリヴァー脇だよ!脇を攻撃!」
「ピィィー!」
「ま、待て! 脇は人体の構造的に重要な神経が大量にっ! っておぉ、そこの良識ありそうな人間の少女! 頼むっ! この者たちを止めてくれっ!」
クロウシスの懇願を聞いているのかいないのか、さっぱり分からないような微妙な表情でしばし呆然としていた少女だが、やがてハッ! とした表情で我に返った。
「ミリィやめなさい! トリヴァ様まで何をなさっているのですかっ!」
「あ、姉様っ! 見てみてトリヴァーが凄い楽しそうなんだよっ!」
現れた姉に満面の笑みと興奮した面持ちで答えるミリィと呼ばれた少女と、銀髪の少女の言葉など一切気にせず恐ろしいまでに執拗な愛情表現を続ける白龍、そしてその下で圧倒的な敗北感に打ちのめされているクロウシス。
白く美しい頬を紅潮させた少女がぷるぷると震えながら、床をピっと指差す。
「とにかくミリィもトリヴァ様もその方から離れなさいっ! 困っていらっしゃるじゃないですか!」
「えー姉様も一緒に遊ぼうよー!」
「ピィィィ」
その言葉に益々顔を赤くさせて、震えが指にまで伝染したようでぷるぷると震える指でもう一度指を指した。
「私もあと2歳ほど幼ければ混じりたいです! でも、もうそういうことをしていい立場じゃないんです! 羨まし――ではなくて、いいからそこに座りなさい!」
「えっ…………?」
見た目とは裏腹な銀髪の少女の言葉に呆然としていると、ミリィが「はぁーい」とつまらなそうにクロウシスから降りた。トリヴァーと呼ばれた白龍は依然としてまとわりついていたが、すぐにそれをクロウシスが引き剥がして宙吊りにした。
「ピィィー……?」
再びぶら下がった状態で小首を傾げる白龍に、クロウシスはわけが分からんとばかりにため息をついて、白龍を床に放した。するとすぐにまた飛び掛ってきそうな仕草を見せたので、それを手で制していると、遊んでもらっていると思ったらしくクロウシスの手にじゃれついていた。
「…………」
カプカプと手に巻きついて甘噛みしてくる白龍に、最初持っていた若干の警戒心も、もう持つだけアホらしいと思い始め、されるがままにしていると不意に視線を感じて、そちらに目を向けると正座で説教をされていたミリィと仁王立ちで説教をしていた銀髪の少女がクロウシスに注視していた。
「どうした、説教は終わったのか?」
「あ、はい……お見苦しいところをお見せしました」
「ねぇねぇ、なんでトリヴァーにそんなに懐かれてるの?」
顔を紅潮させて俯く少女と興味津々でクロウシスを見つめてくるミリィ。
対照的な二人の様子に苦笑する。
「別に懐いているわけではないだろう。アレだろう、よそ者が珍しいだけではないのか?」
「えー絶対懐いてるよぉ~ほら」
ミリィが指差す先を見ると、一頻り暴れて満足したのか白龍が仰向けに裏返り白く長い腹を見せたまま『もうどうにでもしてくれ、出来れば構ってほしい、撫でてくれるとなおよし」という風な体勢で床に転がっていた。
「一応訊くが、こいつは白龍なのか……?」
「うんっ! 白龍のトリヴァリアスアルテミヤていう凄い長い名前なんだけど、長いからあたしと姉様はトリヴァって呼んでるの!」
元気いっぱいに答えるミリィに軽く頷きつつも、血の盟友であり宿敵でもある存在の、世界は違えど同じその存在のあまりの奔放ぶりに、クロウシスは頭が痛い思いだった。
それはともかく、現状自分の居場所と立場を確認すべく頭痛を振り払って顔を正面へと向ける。
「我はクロウシスという、旅の者だ。乗っていた船が嵐に巻き込まれて、我は海へと放り出されたのだが……ここが何処だか教えてくれるだろうか」
「旅の方……ですか。私はサーディアス帝国第二王女クリシュ=リアスカ=イニス=サーディアスです。ここはバーンアレス島南岸に位置するバーン要塞の中です」
「あたしは第三王女のミリエル=シアスカ=イニス=サーディアスだよ。お兄さん凄いんだね、あの嵐の中海に落ちても死んじゃわないなんて!」
二人の自己紹介とここの位置が知ることが出来て万々歳なのだが、あまりに想像を超えた名前と立場を表す言葉がさらっと出たことに一瞬思考が飛びそうになった。
「サーディアス帝国の第二王女と第三王女……だと? ならば、ここは軍施設なのか」
「いいえ、ここは本来8年前に放棄された施設です。正規の帝国軍関係者は誰もいません」
あの水の龍騎兵と海中交戦の末に、人間の体で体調不良に、よくよく考えたら水中でしかも人間の体で戦うことそのものが初めてだったことなどから、かなり苦戦した上に最後の一体に組み付いて、視界の端に捉えた岸壁のようなものに激突させようとしたところで記憶が途切れていた。
バーンアレス島に結果的に辿り着けたのは不幸中の幸いだが、そこで自分を救ったのが帝国の第二第三王女で、しかもそこに白龍がいて、ここは聞いていた北端部の城ではなくて南端部の砦だという――すぐには呑み込めない事態のようだった。
「我をどうやってここへ――いや、それよりもダバンという男たちが乗った船は無事にこの島へ着いているのか!?」
「は、はい。シャプールのダバンですね? あの方たちは無事にここの港に着いていますよ」
それを聞いてクロウシスは胸を撫で下ろした。その様子を見て、クリシュは表情を柔らかくした。そして説明を始めた。
「今朝方、私がいつも禊を行う祠に流れ着いていた貴方を見つけて、兵の方たち――私の私兵になるのですが、その方たちにお願いしてここに運んで頂きました」
「何故帝国の王女たる者が、こんな得体の知れない者をこんなところに? そもそも城でなく何故砦にお前たちはいるのだ?」
その問いに少し答えずらそうに視線を逸らすと、やや自嘲気味にクリシュは答えた。
「私たちは城から追われて、ここバーン砦に逃げ込んでいるんです」
「なに……?」
「そして何故ここにお連れしたかと言うと、貴方が帝国の方でないことは私には分かります。そして悪い方でないことも――最後のはただの勘だったのですけど、トリヴァー様が貴方を見た途端にお側から片時も離れようとしないのを見て、私は自分の勘が正しかったと確信しました」
その予想外の言葉にクロウシスが真偽を図りかねていると、クリシュは椅子を引き寄せてそれに座ると、ミリィもそれに倣って椅子へ座る。
「この島の現状についてお話します。我ながらお恥ずかしい状況なのですが、嘘偽りなくお話しますので、どうかお聞き下さい」
そしてクリシュは話始めた。
◇◆◇◆◇◆◇
クリシュがこの島へとやって来たのは8年前のことだった。
帝国が現在の状態となる前――サーディアス皇国の時代から管理している島。そこへ来たのは本人の意思でもあったし、同時に強制的に島流しにされたとも言えた。
クリシュは現帝国の国家元首である皇帝ヴェスパル1世の正室が生んだ三人目の子供だった。上には兄と姉がおり、帝位継承権も順当に三番目となる。だが、クリシュは一つ特別な素養があった。それは皇国が代々守護し、また守護されてきた火の英霊精龍焦熱の火山、バーンアレスの巫女に選ばれたことだ。
身体にバーンアレスを象徴する赤い刻印を持って生まれた皇族は男子なら御子、女子なら巫女としての資格を有する。そしてこの刻印を持ちし者は、バーンアレスの庇護を受け課せられる試練を乗り越えし時、継承権に関係なく皇位を継ぐことを許される、というしきたりがあった。
現皇帝が即位してから皇国は徐々に軍事力を高めるなどの変化を遂げていき、龍機兵の実戦配備と同時に保守派の反対勢力を武力で一掃し、皇国から帝国へと国号を改めて現在の帝政国家となり、そこからは急速な軍国主義となって次々とグリムディア中央大陸の各国を征服・併合し、果ては南方大陸への侵略を開始した。南方大陸の原住民であるエルフや獣人たちの国にもその魔の手を伸ばし、現在はその三分の一を平定して南方大陸に前線戦略基地の役目を持つ都市を建造中だという。
その侵略的行為とは別に、帝国となった皇帝ヴェスパル1世が行ってきた愚行がある。それが全ての種族から崇められる英霊精龍の討伐だった。
遡ること10年前――皇国が帝国となる数日前に、当時はまだ皇王ヴァスパル12世だった彼は大軍を率いてバーンアレス島を包囲し、甚大な被害を出しながらも焦熱の火山、バーンアレスを討伐した。だが、長きに渡り皇国を守護してきたバーンアレスの呪いを恐れた上層部は、かの龍の巫女であったクリシュを危険視し、皇位も帝位となりその継承権の譲渡にも巫女として何ら特別な条項が設けられなかったにも関わらず、クリシュとその妹であるミリエルは島流しも同然に、この裏切りを受け殺された主無き島へと住まわせた。
クリシュはバーンアアレスの巫女として民衆に人気があった為、表向きはバーンアレスの鎮魂という名目で出向したことにし、辺境伯という帝国にとって時代錯誤とも言える古く高い地位を与えられ、僅か数千人の住むバーンアレス島の居城であるアレス城へ移り住んだ。
それからはずっとこの島から出ることを禁じられていたものの、それ以外には特に制限を受けていなかったのだが、3年ほど前に帝都から補佐役として二人の男がアレス城に派遣されてきた。最初こそは大人しかった二人だが、徐々にクリシュの慎ましやかな統治に口を挟むようになり、やがて本国から派遣されてくる兵を中心に秘密裏に抱き込みを図り始めていたという。
そしてクリシュとミリエルが近衛隊を伴って、南端部にある砦とそこに付随する町への視察にいった際に、本国から呼び寄せた連隊規模の龍騎兵により城を奪い、統治の実権を手中に収めた。
城から逃げてきた近衛隊の生き残りによって、城を奪われたことを告げられたクリシュは南の砦にそのまま移り住み、砦付近に住む町民とシャプールを始めとする本土沿岸に住む人間たちの協力を得て、何度か行われた砦への攻撃を跳ね除けてきた。
「お前が今17歳ということは、9歳で辺境伯か……」
「着任当時はさすがに……あの頃は生まれた時からずっとお世話してくれていた爺やが、臨時の執政官になってくれていたんです。私が領主の真似事を何とか出来始めたのは5年ほど前からです」
ことの経緯と内情を聞いたクロウシスは、思ったことをそのまま口にすることにした。
「ことここに至る経緯は、率直に言ってお前の甘さ故だろう。最終的に武力に訴えてくることは、現状の帝国を見ていれば分かっていたであろう? その二人の男が誰の差し金にしろ、本国からわざわざ5年も経って送ってくるということは、執政官だった老兵が死んだことが分かり、お前に政治が引き継がれそれに慣れるまでの隙を突くためなのは明らかだ」
クリシュはきゅっと唇を噛んで俯いた。その姿をミリエルが心配そうに見ている。
「今は持ち堪えているようだが、侵攻具合を聞いていると敵は恐らく遊んでいるな。お前がどこまで持ち堪えれるのかを楽しんでいる風にさえ感じる」
「……はい」
俯いたままスカートの裾をキュっと手で掴んでいた。それを尻目にクロウシスは続ける。
「このままではいずれ海路による補給を断たれてのジリ貧か。もしくは痺れを切らした敵が陸上と海上からの挟撃を仕掛けてくるだろう。そうなった時、正規の軍人が近衛兵しかいないような現状で勝てると思っているのか?」
「……いいぇ」
返事の声に少し涙が混じった。だが、それでもクロウシスは責め苛むことを止めない。
「お前の現状には同情すべき点も多いが、同時に同情に値しない部分も多くある。力の無い者は淘汰されるという世界を作ったのはお前の父親である皇帝だ。お前は――王女としてどうしたい? 何ができると思っている? 答えよ、クリシュ=リアスカ=イニス=サーディアス」
仮にも一国の王女に対して、完全に格上からの発言だった。こんな風に誰かから怒られる姉の姿など見たことが無いミリエルは、ハラハラしながら白龍を抱きかかえる手に力が入っていた。
「……わ、私……は、止めさせ……たい、です」
「何をだ、言ってみろ」
「ち、父の――っ」
言い知れぬ重圧に耐えられなくなったクリシュが口元を押さえ、嗚咽を洩らして泣き始めた。その姿にクロウシスは別段失望した様子を見せるわけでもなく、ただ頭に手をポンと置いた。
「お前がその先を言える時が来たら、お前が今一番必要としているモノを我が与えてやろう。だから今は泣くがいい。泣いて悔しさと苦しさを糧にしろ。笑って誤魔化しても得られるものなどないのだ。感情を発露させ、苦しいもの辛いものを乗り越えて強くなれ」
穏やかなクロウシスの声音と優しく撫でてくれる手に、クリシュは泣きながらコクコクっと頷いた。その様子にミリエルはホッとして白龍を抱きしめる手を緩めた。すると、白龍はその手からスルリと抜け出すとすぐにクロウシスに飛び掛った。だが、最早見極められており、空中でガシっと掴まれて頭部から尾までを伸ばすように撫でられると、気持ちいいらしく尻尾の先端を犬のように細かく振っている。
その様子に呆れながら、クロウシスが聞きそびれたことを思い出す。
「そういえば、この白龍はいったい何なのだ? 英霊精龍ではない龍など聞いたことが無いぞ」
と、自分のことを棚に上げて言うと、まだグシュグシュと鼻を鳴らしているクリシュに代わってミリエルが答えた。
「2年くらい前に近くの森にいたのを見つけたんだよ。珍しい蛇かと思ったんだけど、姉様がこの方は『白龍』だって言ったの。それでね、姉様の夢の中にトリヴァが出てきて『自分の名前はトリヴァリアスアルテミヤ』だって言ったんだって! だからトリヴァなんだよ」
自分と同じ2年前に現れた英霊精龍の理を外れたドラゴン。色々と勘繰りたくなる要素が多いのは確かだが、当の本人が幼生体では言葉も通じないに近い。だが、夢を介してクリシュに自分の名前を告げている辺り、知能が低いわけでもないはずなのだが。
謎を孕んだまま悩むべき要素が増えていく。
「あ、あの……ありがとうございます。私もっとちゃんと考えてみます」
「あぁ、よく考えることだ。お前の双肩には少なくとも、この島に住む全ての人間の命くらいは掛かっているのだからな」
「は、はい……!」
また現実を突きつけたが、今度は返事に力があった。その事に満足していると、クリシュが席を立った。
「それでは、今夜は失礼します。おやすみなさい、先生」
「うむ、おやすみ――ん? 先生?」
パタン。
何か耳慣れない名詞呼ばれた気がして振り返ったが、そこにはもうクリシュの姿はなかった。叱咤激励が妙な作用を生んでいまいかと頭を掻いていると。
「お兄さん。姉様、嬉しそうだったよ」
「そうか。それとミリエル、我の事を『お兄さん』などと呼ぶな、もうそんな歳ではない」
「あ、ならあたしの事もミリィって呼んでね! でも、お兄さんって感じに見えるよ?」
「いいや、断固拒否する」
「うーん……じゃあ、おじ様?」
「まぁ、その辺りが妥当であろうな」
重々しく頷くクロウシスにミリエルはクスクスと笑い、そして考えていた提案を実行に移す。
「うん、分かったおじ様! ねぇ、おじ様」
「うん?」
「あたしね、いつもはトリヴァと寝ているの。でもトリヴァはあたしの事よりもずっとおじ様のことが好きみたいなの! だからきっと寝る時もおじ様から離れないと思う」
いつの間にかマフラーのように自分の首に巻きついている白龍に目を向けると、確かにミリエルの言うとおりだろうと思った。
「だからね、あたしもおじさんと一緒に寝ても――」
ミリエルがその先を言う前に蝶番が弾けるんじゃないかと言う勢いで扉が開き、顔を真っ赤にしたクリシュが再入場してきた。
「ミ、ミミリィ? あ、ああぁあ貴女って子は何を言っているの? 先生と一緒に休もうなんて、だ、だだだダメに決まってるでしょう?」
「ぇーだってぇートリヴァがぁ~」
「おい、クリシュ。その先生とい――」
「トリヴァ様はいいんです! でも貴女はいけません! まだ幼いとはいえ、貴女もいずれは立派な淑女になるんですよ? それがどうして今日出会った殿方と一緒に寝ようだなんて発想に行き着くんですか!? 姉様は悲しいです。羨ましいじゃありませんよ? 悲しいと言ってるんですよ!?」
激高しているんだが、失意しているんだが、よく分からない勢いで喋るクリシュ。
「いいからお部屋に戻りますよ! 先生が寝れないでしょう? もう部屋から出るの!」
「ぶぅー! じゃあ、姉様も一緒に寝ればいいじゃないー!」
「クリシュ。先生というのは――」
「ば、ばばばばかを言うんじゃないです! 私が先生と――今日! 今朝お会いしたばかりの御方なんですよ!? それはいくらなんでも節操がありません! 貞操観念の低い女だと思われたらどうするんですか! そうじゃなくて――」
そこでクロウシスとクリシュの目が合った。
顔が茹でたトマトみたいに真っ赤上に破裂でもしそうなほどに紅潮させて、そこからは無言で俯いてミリエルを引っ張って部屋から出て行った。
「何故、先生なんだ……」
最後まで黙殺されたクロウシスの呟きに答えるように、首に巻きついていたトリヴァが小さなくしゃみをした。
◇◆◇◆◇◆◇
ミリエルが脱走しないように、部屋の前の近衛兵によく見ておいてくれるように願い、泣き落としなどで懐柔されないようにと言いつけて、クリシュは自室へと戻った。
いつもは水浴び後に髪を梳いてくれる侍女が来るのだが、それを断って部屋には一人きりだった。そして今日あったことを思い返す。
禊中に帝国の龍騎兵に襲われたが、それを倒したのは恐らく――彼。自分の銀髪も諸国の王族では珍しいが、黒い髪はもっと珍しい。恐らくはこの世界で、あの美しく洗練された何色にも冒されない色を持つのは彼だけのはずだ。
そして彼の瞳――平静を装うのがやっとだったので、よく取り乱さなかったものだと思う。まるで古に出てくる魔獣の如き猛き光と穏やかさを併せ持つ黄金の瞳。
力強く話す彼の姿を思い出すだけで胸が高鳴った。でも、あの瞳で見つめられるだけで胸が潰れそうなほどに苦しくなる。以前、側付きの女官が言っていたことを思い出す。
『いいですか、姫様? 恋とは質の悪い魔法にかかるようなものです。それが特に一目惚れとかだともう最悪です。ましてや初恋だと致命傷です。今まで自分の知らなかった感情や想いが、際限なく溢れ出して自分を責め苛むんです。きっと耐えられないほどに苦しい思いをします』
まさにその通りだった。
自分の中から訳が分からないほどの、それも質と量を兼ね備えた感情が浮かんでは沈んでいく。苦しいし、怖い――でも。
クリシュは自分を落ち着けるように髪を梳かす。
彼は言っていた。
今お前の肩にはこの島に住む人間全ての命がかかっている、と。
この島に住み8年間もの間、自分というお飾りに等しい領主の下で笑顔を見せて税の徴収にも応えてくれた人たちばかり。その人たちが、自分の未熟さと甘さによって虐げられている。城下の様子は窺い知れないと聞いているが、優秀な近衛隊のことだ――本当は状況が掴めているにも関わらず報告してこないのだろう。――それが自分を軽んじているなどという理由ではなく、自分に報告するのが躊躇われるほどに酷い現状ということも本当は分かっていた。
彼は言っていた。
笑って誤魔化しても得られるものなどない。
感情を発露させ、苦しいもの辛いものを乗り越えて強くなれ――と。
――強くなろう。
あの時、敬愛し奉り仕りお守りすべき存在を死なせてしまった罪は、まだ胸の奥に大きな傷となって残りズキズキと痛むけれど。
でも、今強くなりたいと切に願う。
優しく気遣ってくれる周囲の人たちに励まされ、いつも笑っていた自分。
でも、本当は叱って欲しかった――惰弱で何も出来ない自分を打ちのめして欲しかった。
そして彼はそれをしてくれた。何の躊躇もなく、一切の容赦もなく、クリシュの弱いままだった心を鷲掴みにして大きく揺さぶってくれた。
目を覚ませ! と叫ばれた気がした。
泣くほどに辛い言葉ではない、苦しかったわけでも本当は無い。ただ嬉しさと情けなさがクリシュの中を渦巻いて、そしてもう一度願った――強くなりたい、と。
頭を触れると、彼に撫でられた感触がまだ残っている気がした。
クシャクシャになった自分の弱い心は、ただ優しく頭を撫でて貰えただけで力を持って立ち上がれた。単純な自分の心に驚くと同時に好ましかった。
でも、この想いは今は封印する――糧となるのはいい。でも、今その想いだけを成長させるのはあまりに浅慮だ。恋は甘く切ないが、苦しさと辛さを噛み締めて乗り越えてこそ、人は大きく成長する。
だから今は苦しみにもがき、辛さに悶えるのだ。
今までただ庇護だけを受け続けてきた自分から脱し、新たな自分となろう。
彼という存在との出会いは――そこまでの変化を自分に強いているのだ。
だからこそ今願い決意する――強くなろう、と。
前書きと後書きを活動報告にて書いております。
よろしければ、本文読後にお読みください。
※修正情報
2012/09/27 誤字修正しました。