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第二章6-冥王の従者-

 星が瞬く夜空の下、空虚な風が通りを抜けて広場に吹く。

 流民街の喧騒も遠く感じる帝都の懐深い内縁街の小さな通り。

 街に住む人々にとって憩いの場であり、白く清楚な造りの広場には異様な光景が広がっていた。


 黒い外套に身を包み、頭すらすっぽりと覆うフードを身に付けた男――クロウシスは、顔を隠すために顔の周囲に幻影の闇を滞留させ、今も外から見れば顔は闇に覆われており、そこでボウっと光る黄金の双眸が見る者の印象に強く残る。


 その対面に、濃紺の軍服に身を包んだ身の丈三メートル超はある巨大な人影があった。

 人間の膂力では持ち上げることすら不可能な、自分の身長よりやや短い大振りで肉厚な大剣を手に、体は橙色の肌と深緑色の鱗に覆われており、頭部には四本の角と、理知的で思慮深い光を称えた暗赤色の瞳を持つ竜頭の魔族ヴォルフィードが、クロウシスを真っ直ぐに直視していた。


 そのすぐそばで空中に静止した状態で浮いているのは、容姿は一見人間の子供と変わらないが、僅かに尖った耳と紫紺の瞳が特徴的で、灰色の髪の毛を首の後ろで複数の小さな三つ編みにした少年。

 だが、その正体は北方大陸アーカーヘイトを三分して治める魔王の一人――あらゆる種族からその絶大なる魔力と純粋な力を持つことに畏れを持って冥王(ヘルフィブス)と呼ばれる魔族の王ヘキサティオン。


 見ようによってはそこに人間など一人もいないようにさえ思える。

 厳密に言えば、確かにそこに純粋な人間はいないのだが、ヴォルフィードとヘキサティオンが知覚して探る範囲では、クロウシスは人間として感知されていた。

 体だけで言えば、クロウシスは間違いなく人間の体を持っているので、両名がそう感じるのはむしろ当然の結果と言える、だが同時に、その纏う空気と不明瞭ながらも感じる底知れない何かがあることも感じていた。


「魔族の王が人間の都で何をしている?」


「ちょっと見物に来ただけさって言いたいところだけど……まぁ、外交的理由だよ。あれ? ネロの奴からここで何が始まるのか聞いてないの?」


 分かっていて訊いているのだろう。

 ヘキサティオンは薄い笑いを浮べて、わざと尋ねてきているようだった。


ここで(帝都)で魔族と帝国の友好を祝した宴があると言っていたな」


 慇懃な態度だが、何か含みのある笑顔を浮べていた糸目の魔族を思い出して答えると、ヘキサティオンは楽しそうに笑みを浮かべ妖しい光を持つ紫紺の目を細める。

 その尊大な態度は少年の姿をしていながらも、確かに王としての風格と威厳があった。


「そうだね。概ねその説明で間違ってはいないけど、ネロの奴は相変わらず性格が悪いね。一番肝心なところを言ってないよ」


「であろうな。詳しいことは招待状に書いていると言っていた」


「あれ? じゃあ、その手紙を読んでるなら知ってるでしょう?」


 手紙のことは初耳だったらしく、ヘキサティオンが不思議そうに小首を傾げる。


「手紙は受け取る前に焼き捨てた」


 そのクロウシスの言葉を聞いて、ポカンとした表情を浮べたが、すぐに何かを耐えるような苦しそうな表情を浮べると、やがて耐え切れずに破顔して爆笑し始めた。


「あはははははっ! 燃やした? ネロに差し出された手紙を、ネロの手にある内に燃やしちゃったの!? あーははははははっ! 傑作だよっ! ねぇ、聞いたヴォル? あいつからの手紙を受け取りもせずに燃やしちゃったんだって!」


 空中で腹を抱えて笑い転げる主を見上げ、ヴォルフィードは呆れた様子で竜頭を横に振る。


「ヘキサ、仮にもバーンアレス様の御前だぞ。もう少し慎めないのか」


「だってさ、あいつがあの厳つい顔で書いた手紙が、読まれるどころか受け取られずに燃やされただなんて、もう僕としてはここ数百年で一番愉快痛快な出来事なんだって!」


 涙目になって空中を笑い転げる姿は、先ほど見せた王としての顔とは違い、見た目相応な少年らしい表情だった。

 少年と魔王の二面性――というよりは、王としての風格を持ちつつある少年というのが正しい認識なのだろう。


 いっこうに笑うことを止めようとしないヘキサティオンに嘆息し、ヴォルフィードはクロウシスへと真っ直ぐに視線を向けると、やや首を前に傾けて目を瞑る。


「主が無礼な態度を取り申し訳ない。平素より軽はずみな言動と態度は慎むようにと言っているのですが、自分の立場と背負っているものを理解していながらも、未だにこのような奔放な態度を取るのです」


 主の素行に頭を痛めているらしく、ヴォルフィードは武人然とした忠臣さを持っているようだった。

 厳つい竜顔が呆れと共に溜息をつく仕草に、クロウシスは我知らずニヤっと笑みを浮かべると、自らフードを捲り顔の周囲に滞留させていた闇を取り払う。

 出てきた年齢の掴み辛い顔立ちと黒い髪、そして黄金の瞳を目にしてヴォルフィードは僅かに目を見開き、笑い転げていたヘキサティオンも笑うのをピタリと止めてその顔に注視していた。


「ふぅーん……黒い髪に黄金の瞳か。面白いね。バーンアレスを宿してるって聞いてから、てっきり赤髪に赤い目なのかと思っていたから予想外だよ」


 空中で腕組みをして首を捻り考えを巡らせ、ヘキサティオンは紫紺の瞳を細めてクロウシスを見つめる。その目には先ほどまでの軽い感じはなく、その『眼』に宿った力でクロウシスを探っているかのような印象すら受ける。


「でも、どうして自分からフード取っちゃったの? せっかく僕がヴォルに『まずはあのフードを剥ぎ取って素顔を晒させろ』って最初に命令しようと思ってたのにさ」


 また纏う雰囲気を変えて、まるで悪戯を仕掛ける前に見破られてしまった子供のように頬を膨らませる。その態度にヴルフィードが再度叱責しようと口を開こうとするが、剣を抜くクロウシスの所作を感じて口を噤んで目を向ける。

 そしてヴォルフィードの代わりに答えるかのように、クロウシスが言葉を発する。


「――単なる礼儀だ」


 そう言って剣を構えたのを見て、ヴォルフィードは久々に己の中に滾る血潮を感じ、竜頭に裂ける様な笑みを浮かべて三メートル近くある剛剣を構える。


「――寛大なる御心に感謝を」


 すっかりその気になってしまった竜頭の魔族に冥王はやれやれと呆れた表情で首を振るが、その唇の口角は上がり笑みを浮かべていた。


「ヴォル。僕の命令、覚えてるよね――?」


「御意」


 短く。

 しかし、揺ぎ無い信念のこもった返答に満足し、ヘキサティオンは頷く。


「よし、じゃあ行って」


 ヘキサティオンの許可と共に、ヴォルフィードが動くのを感じてクロウシス自身も動こうとした時、それは一瞬の出来事だった。

 瞬きすらしていないにも関わらず、物体が動く際に生じる風が一瞬吹いたように感じたときには、すでにクロウシスの間近、完全に肉薄するほどの距離で剛剣を振りかぶる――いや、振り下ろしているヴォルフィードの姿があった。

 双方の距離は三十メートルはあったはずだが、その距離を遮蔽物の一切ない空間だったとはいえ、クロウシスが知覚出来ないほどの速さで移動し、感知した時には既に攻撃を繰り出しているというは、クロウシスの予測を超えた動きだった。


 相手の獲物を考えれば避わすも受けるも危険だったが、回避しようとしてもし無防備に一撃を受ければ危険だと咄嗟に判断し、クロウシスは瞬時に剣を切り上げて振り下ろされている一撃を迎撃した。

 だが、その判断も正解とは言い難かった。

 剣を受けた瞬間、刃同士が打ち合い接触した位置で爆発のような衝撃が弾け、クロウシスの体にもその衝撃が伝播し、剣を持つ腕には痺れる感覚と共に腕を構築する全ての細胞が悲鳴を上げた。


 竜頭の魔族が繰り出した初撃の予想以上の手応えに、僅かな隙が生じた。

 その隙を自覚した時には、既にヴォルフィードが第二撃を振り下ろしているところだった。

 クロウシスに出来た隙は、ほんの僅かなものだったがヴォルフィードの攻撃の返りが恐ろしく早く、想像以上の衝撃に驚いた時には既に次の攻撃が始まっていた。


 次の第二撃は完全に避けられるタイミングではなく。

 クロウシスは地系の形質変化魔法で左腕を硬質化させ、両刃の諸刃に左腕を添えて受ける体勢に入る。

 

 そしてまたも恐ろしい膂力で振り下ろされた剣が、防御の剣とぶつかり合う圧倒的な衝撃。


 第二撃も威力はまったく損なわれていなかった。

 受けた瞬間、やはり目の前で爆発が起こったような錯覚すら覚える衝撃が起こり、刃の接触点で火花が舞うと同時に柄を持つ右腕の筋組織が圧力に耐えかねて弾け、血管が裂けて腕を包む袖が朱に染まる。

 片腕では衝撃を殺しきれずに硬化した左腕に自身の諸刃が食い込み、そのまま刃の三分の一程度が腕にめり込んだところで骨に当たって止まる。


 苦痛に顔を歪める暇もなく硬化した腕にめり込んだ刃を引き抜くと同時に、ヴォルフィードの第三撃が放たれる。三撃目は下からすくい上げるような攻撃で、血が滴り落ちる右腕で柄を握り締めると、攻撃方向とは逆にステップを踏みながら剣で攻撃を受ける。

 下段から中段に薙ぎ払うような一撃を剣で受け、振り切られる剣の勢いをそのままにクロウシスは剣を受けた体勢のまま宙を斜めに滑空し、広場に面した建物のベランダの柵を突き破り、壁の一部と窓を破壊して建物の二階の一室へと突っ込んだ。


 瞬く間の三連撃を終えたヴォルフィードは、そのままクロウシスをすぐに追うような真似はせず、口から白い呼気を放つと同時に地面に剣の切っ先を突き立て、柄尻に片手を乗せて崩れた壁材から上がる土煙を見上げる。

 ここで深追いせずに待つのは、決してクロウシスを侮っているわけでもなければ、自身の力を過信しているわけでもない。

 あらゆる点で未だ未知に満ちているクロウシスの出方を窺う為だった。


 手応えはあったが、二撃目も三撃目を放つ時も相手から焦りのようなものが一切感じられなかった。

 初撃で攻めて打撃を与えられ、先制を取れた手応えはある――だが、それで心理的な優位性を得られたかと問われれば、それはヴォルフィードにとって否だった。

 ならば、無闇な追撃はせずに出方を窺えばいい。

 そう結論付け、竜頭の魔族は火龍神を宿していると推定されている人物の出方を待った。



 ヴォルフィードの三撃目の攻撃によって、クロウシスが窓を突き破って放り込まれたのは民家だった。

 寝室と思われる部屋には美しい調度品が置かれ、部屋の主役とも言えるベッドは天蓋付きの豪奢なもので、床にも一面絨毯が敷かれていた。

 背中から窓を突き破って中へと侵入したクロウシスは、ベッドの天蓋に横合いから突っ込み、その勢いで天蓋を支える支柱が折れて崩れ落ち、天蓋が落ちたベッドの上で真っ二つに割れた天蓋に埋もれるように倒れていた。


 身を起こして立ち上がると、自身の状態を確認する。

 右腕は筋組織が衝撃と圧力で千切れ、骨にもダメージがありそうで鈍痛がしている。黒い服の袖は鮮血でジットリと重く肌に張り付いていた。

 左腕は地系の形質変化魔法によって硬質化させたのだが、勢いを殺しきれなかった諸刃が食い込み、その刃は骨にまで達していた。


 そして手にした剣もまた重傷だった。

 ヴォルフィードの初撃と二撃目は寸分の狂いもなく剣の同じ位置へと打ち込まれ、出立の際にアレス城で見繕って譲り受けたエルフ銀の長剣には小さなヒビと片面の刃が一部完全に潰れていた。


 右腕にほとんど力が入らないことを除けば、その他の部位にはこれといった外傷は無く、痛みも特に感じなかった。左腕の魔法を解くと途端に傷口から鮮血が迸り、ザックリと切れた傷口から噴水のように血が噴き上がって白いベッドのシーツを一瞬にして赤く染める。

 だが、血の噴出はすぐに収まり代わりに傷口からは薄白い煙のようなものが上がり始め、それは左腕だけではなく右腕からも上がっていた。

 クロウシスは黒龍という特性上、治癒魔法を使うことが出来ない。

 それは人間の姿をしている現在の状況でも同じのようで、魔力を『陽』、『光』、『聖』といった善性の強いモノに変換することが性質として出来ない状態は健在だった。

 しかし、他者の傷は治せないが自身の傷に関しては、魔力を直接体に循環させるという方法で『治癒加速』として行使することが可能であり、部位の欠損といったようなよほどの重傷でない限りは、傷を短時間で治癒することが出来る。


 治癒加速によって細胞が再形成され、その過程で上がる白い蒸気を燻らせながら、クロウシスはヴォルフィードの力量に感心していた。

 単純な膂力や身体能力も然ることながら、剣技の技量と魔力の一切を魔力障壁への解呪(ディスペル)のみに当てている潔さが、魔族でありながら剣一本で生きている貫禄を感じさせる。


 普段は自身に対して放たれる攻撃に対し、自動で魔力障壁を展開するようにしているのだが、その障壁などまるで薄布でも裂くかのように、まったく意に介することなく突破された。

 攻撃の受けに関しても、クロウシス自身魔力による身体能力の強化は常在的に行っているが、そんな意識せずとも行使できる程度の強化では、あの攻撃に対してまったくもって無力だった。


 並みの人間であれば、今の初撃で剣ごと断ち割られて地面の染みになっていただろう。

 あれだけ埒外の膂力を持っていながら、押し潰すのではなく叩き切ることが出来るのは、ひとえに本人の技量によるものだ。

 剣の技量に関して言えば、恐らくクロウシスの方が分が悪い。

 元々竜族であるクロウシスには、剣を持って戦う必要があったわけではない。

 故に今剣を振るっているのはクロウシスが研鑽を積んだものではなく、今までクロウシスに挑んできた数多の剣技を携えた者たちの模倣に過ぎなかった。

 数千年の時を生きる中で、竜族の中でも異端な力を持つ黒龍であるクロウシスに挑む者は種族を問わず数多に存在した。

 強大な力を持つ黒龍に対し、身一つ剣一振りで挑んでくる猛者たちの全てを滅ぼしてきたクロウシスには、その者たちの技量を観察することで、その技を模倣する程度のことは容易いことだった。

 だが所詮は模倣は模倣に過ぎず、元々剣を振るい戦う必要がなかったクロウシスには、限りなく最強に近い存在になれたとしても、最強になることは決してない。


 心技体。


 その全てを兼ね備え、一振りの剣に自分の命運と誇りを捧げられる者。

 武芸における最強という称号を得られる者は、それが出来る者のみ。

 クロウシスには理解は出来たとしても、存在として決して到達できない領域。

 そういった意味で言えば、あの竜頭の魔族は恐らく最強の部類に入る存在であり、例えクロウシスが火龍神や黒龍の姿になろうとも、怯むことなく剣を手に挑んでくるだろう。

 現状で言えば同じ土俵で戦っても勝てないであろう――。


 ――だが、負けられない理由がある。


 クロウシスの脳裏には、砕けた弾丸を取り出す際に催眠魔法で意識が朦朧としながらも、自分の名と強さを求めて呻く少年の姿があった。


『――クロウ、シス。俺は強く……なりたい。あんたみた――もっと、強くなって、守りたい――んだ』


 純粋に強さを求め、銃弾を剣で弾くという行為をしてみせた少年。

 少年の技量を考えれば、それは恐らく命を懸けた賭けだっただろう。

 そしてそれをさせるに至ったのは、他ならぬクロウシスとの出会い。

 深く関わることを決意した以上、これから決して届かぬ自分の背を追い続けるであろう少年に、その業を背負わしたからには、せめて追い続ける背中を強く広く見せ続ける義務がある。


 ならば、こんなところで無様な戦いは断じて出来ない。

 

 場所として内縁街内という最悪の場所ではあるが、魔力の付与のみであれば六割程度の力は出せる。

 筋組織と神経が治癒し、力の戻った手に力を込めて柄を握り締めて、帝都も来てから何度か試したことによって魔力量によって帝国側に感知されないギリギリの魔力で身体能力の強化を図る。

 充足した魔力によって漲る力を抑え込み、クロウシスは壊れた窓辺へと移動する。


 壊れた柵から階下を見れば、そこには剣を地面に突き刺してこちらを見上げる竜頭の魔族と、通りの空中で不可視の椅子に座り足を組み、頬杖をついて薄い笑いを浮べる冥王の姿があった。


 クロウシスの姿を見ると、ヴォルフィードはすぐに地面から剣を引き抜いて構え、暗赤色の眼を鋭く輝かせて臨戦態勢を取る。

 その姿には驕りもなければ気負いも無く、ただ純粋に命を懸けた戦闘に対して真摯に挑む戦士の姿だった。その姿を見て、クロウシスは思う。

 何も変わってなどいない。

 挑まれた戦いには受けてたち、そしてただ勝利するのみ。


 無事な方の刃を相手に向け、潰れた刃を手前に持つがヒビ割れた剣は既に瀕死と言っていい状態であり、恐らく長くは持たないだろう。

 魔力による保護と付与を掛け、クロウシスは足に力と魔力を込める。


 爆音を響かせるほどの加速と共に地を蹴り、一瞬で間合いを詰めながらの一撃。

 だが、ヴォルフィードはそれを難なく剣で受け止める。

 斬り下ろしの一撃を受け止め、零距離で睨み合う両者の間で刃同士が噛み合って火花を散らす。

 その均衡はクロウシスが後方に飛んですぐに止むが、地面に足が接触すると同時に間髪入れずに再び地面が爆ぜる勢いで間合いを詰める。


 刺突の一撃を剣の腹で受け、そのまま押し返すと同時に空中で体を浮かしたクロウシス目掛け、ヴォルフィードは柄を両手で握ると渾身の力を込めて剣を打ち下ろす。その一撃を宙に体を浮かせたまま受け止める姿勢を取るが、実際に打ち下ろされた剣はクロウシスの剣に付与された魔力によって、その魔力を削るように剣身を滑らされていなされ、クロウシスの捉えることなく地面を穿つ。

 脇で地面が爆発する衝撃を受けながらも、クロウシスは剣を逸らせた反動を利用して宙空で体を捻るように反転させて横薙ぎに剣を振るう。

 しかしその攻撃は、剣を逸らされた時点で地面に剣が着弾する瞬間、手首の捻りで剣の軌道を修正したヴォルフィードによる斬り上げによる一撃に阻まれ、肉薄するほどの距離で再び剣同士がぶつかって火花を散らす。

 膂力に勝るヴォルフィードが斬り上げの一撃を振り切り、クロウシスが後方へと飛ばされると同時に、その後を今度はヴォルフィードが地を蹴って追撃する。


 地を蹴った勢いですぐに地面擦れ擦れを滑走するクロウシスに追いつくと、袈裟切りの一撃を放つ。風を切る轟音と共に放たれる一撃を再び魔力付与による滑りでいなしてかわすと、地面に足がついた瞬間に再び地を爆ぜさせて肉薄する。

 クロウシスも長剣を持ってはいるが、取り回しを考えれば三メートル近くある大剣を持つヴォルフィードの方が肉薄するほど近い距離で戦うことは不利となる。

 あの剛剣を容易く振り回すヴォルフィードに、適切な間合いを取られて戦えば確実にクロウシスよりも先に剣が根を上げるだろう。いなすことで誤魔化してはいるが、まともに受ければあと三撃耐えられるかも怪しい。


 三度肉薄するクロウシスに対し、ヴォルフィードは大剣に注ぐ魔力に自身が持つ特性を付与させ、そのまま全力で横薙ぎに薙ぎ払う。

 攻撃そのものはあくまで剣による斬撃だったが、轟音と共に迫り来る剣身が今までと明らかに違うことを感じ、制動を掛けながら下から上へと切り払おうとしたが、剣に付与した魔力がヴォルフィードの大剣に付与された魔力と接触した瞬間、まるで蝋燭に灯された火が吹き消されるかのように魔力が立ち消え、魔力を失った剣は大剣をいなすことが出来ず、クロウシスが咄嗟に刃の潰された部分に腕を当てると、そのまま横薙ぎの一撃をまともに剣で受けて体ごと横合いへと振り切られる。


 片腕で剣を支えたことで打ち払われて斬られることはなかったが、それでも力と技と伴った一撃は脱出する隙を与えずに振り切られ、クロウシスは背中から建物の壁を突き破り、中に並べられた机や椅子を巻き込みながら床を滑り、奥にあったカウンターを更に突き破って食器棚にぶち当たったところでようやく勢いが止まり、頭上から落ちて来た無数の皿に埋もれた。


 皿の割れるけたたましい音を立てながらクロウシスは立ち上がると、自身の魔力障壁が横薙ぎの一撃を受けたあの瞬間、ズタズタに引き裂かれて打ち破られる寸前まで破壊されたことに目を細める。


 ――風性魔力の付与。


 文献や人伝の情報から、魔族たちは風を司る英霊精龍(カーディナルドラゴン)を奉っているのは知っていた。

 しかし先ほどの攻撃には風属性の魔法を行使したという節はなく、どちらかといえばヴォルフィード自身が持つ特性による能力を行使したというほうがシックリとくる。

 それは即ち、火の英霊精龍(カーディナルドラゴン)の加護を受けていたラウズやクリシュと同じ特性を、あの竜頭の魔族は持っているということになる。

 それはなかなか興味深い事実ではあるのだが、今はそれを考察しているような暇はない。


 剣に視線を向けると、魔力による付与を相殺された状態で一撃をまともに受けてしまい、長剣は無事だった方の刃にもヒビが生まれ、剣身全体に刃こぼれが見て取れた。

 決して質の悪い剣ではないのだが、恐らくは向こうの剣は魔法銀(ミスリル)以上の硬度と魔力感応を持った材質で作られ、その上で最上級の鍛冶師によって打たれた業物だろう。


 得物のせいにしたところで事態は好転するわけではなく、戦況が良くなるわけでもない。

 やはり単純な剣術では向こうの方が上手であり、模倣で真贋に立ち向かったところで越えられない壁が歴然とあることを確認するだけだった。

 せめて秘匿しているアレ(・・)を使えれば違ってもくるのだが、生憎それを使えば確実に帝国側に感知されてしまう。それ故に今は手にある剣で戦う他ない。


 しかし、それで何も打つ手がないというほどに、クロウシスの底は浅くはない。

 模倣で勝てないのであれば、自らが持つ真贋で立ち向かうのみ。

 ただ出来ることならばそれは使いたくない手段だったが、あの竜頭の魔族はその程度の躊躇を持ち合わせて打ち倒せるほどに簡単な相手ではない。

 そのことを認めれば、これは適正な判断なのだ。


 長剣の根元、柄との境界に近い剣身を左手で握り血を滲ませる。

 斜め下に剣を構えると、溢れた血が剣身を伝って下へ――ヒビ割れた刀身の細かな溝にまで浸透していき、やがて切っ先にまで到達すると、長剣は冷め切らぬ溶岩のように赤い筋を無数に走らせ、まるで生き物の鼓動のように赤光が明滅する。

 準備を終えて、クロウシスはゆっくりと自分が開けた壁の穴へと歩き始める。

 鳴動する剣はまるで飢えた獣のように明滅を繰り返し、滴り落ちる血が屋内の床に落ちるたびに燻る火となってチリチリと燃える。

 戦闘と自身の血を立て続けに見たことにより、我知らず心の内に猛るものがあった。

 黄金の瞳の中で、真紅の幻影が陽炎のように揺れていた。



 夜明け前の通りで大剣を手に、たった今薙ぎ払いで建物へと突っ込んでいった男に対し、ヴォルフィードは油断なく出方を窺っていた。

 幾つかの攻防で相手の実力はある程度分かった――が、それは恐らく限りなく当てにならないモノだと理解していた。

 互いにまだ相手の実力を測りかっている段階であり、単純な剣技で言えば自分に分があるように感じているが、それも底知れない何かを持つ相手を前には幾分頼りない憶測に思えた。


 ――英霊精龍(カーディナルドラゴン)『焦熱の火山』バーンアレス。


 精龍神の中でも最強の力を持つといわれる存在をその身に宿した人間が居る。

 最初にその話を聞いた時は、その情報を持ってきた相手のことを含めて信用はしていなかった。

 だが、主の意思に従ってその動向を観察し、帝国の機械人形との戦いを見て徐々に興味を惹かれ始め、いざ本物の前に立てば自分の持っていた疑念のほとんどが払拭された。

 立ち振る舞いから物言い、そしてあの黄金の瞳と対峙して全てが納得という形に収まった。


 だからこそ、この程度のはずがない。

 そう確信的に思い剣を持つ手に力を込めると、崩れた壁の向こう側からそれは現れた。


 戦慄などという感覚を憶えたのはいつ以来だっただろうか、数度の当たりによって向こうが持つ剣は致命的な損傷を負っていたが、今はそのヒビが赤い脈筋に変わりまるで生き物の血管であるかのように、脈打つように赤光が鈍い明滅を繰り返している。


 先ほどまでのような一瞬で距離を詰めての攻撃はせず、悠然と歩いてくる姿は不気味であると同時に、それが本来のスタンスであることも窺える。

 それは強者の歩みであり、油断ではなく余裕を持って全ての事象に望む姿。


 気圧されるわけにはいかず、武者震いに近い戦慄を感じながらヴォルフィードが剣を後ろに引くと、一切の迷いと捨て去り、一人の武人として戦いを挑む。


 一足で距離を詰めると、風性魔力を常駐させた大剣を渾身の力で振るう。

 剣が生み出す気流が剛風と化し、剣を受けても誘発されている風の刃によっての追撃が行われ、同時に相手に剣に付与された魔力を根こそぎ薙ぎ払う。

 先ほど同様に袈裟斬りの初撃を、クロウシスは斬り上げでまともに受けて立った。

 風纏いし大剣の一撃を長剣で受けた瞬間、接触点は剣自体が持つ爆発的な破壊力が発揮されると同時に『風』による追加の刃が襲い掛かるが、それを長剣から燃え盛る『炎』が封殺する。


 突然鼻先で燃え上がった紅蓮の炎に、ヴォルフィードは目を見開いた。

 そしてその僅かな隙を突かれて剣を押し返されると同時に、クロウシスが攻勢に出る。

 一歩の踏み込みで地面を砕くと、業火を宿した剣が横一文字に振られる。それを大剣で受けるが、柄から感じる手応えが尋常でなく重い。

 剣を押し返すと同時に全身の捻りで溜めを一瞬で作ると、最速かつ最大の力を持って剣を振り下ろすが、先ほどまでのように回避やいなしなどはせず、斬り上げでそれを受けてくる。

 剣の損耗を意識していない攻撃に対し、ヴォルフィードも考え方と戦い方を変えて対応する。


 それぞれに火と風を纏った剣が連続して打ち合い、その度に純化した魔力が赤と緑の光を放って闇を鮮烈に照らす。

 膂力には圧倒的な差があることには変わりなく、まともに打ち合うと明らかにクロウシスの方が剣の跳ね返りの反動が大きい。しかし、その反動を利用した動きでより速く剣を振るい、紅蓮の弧状の軌跡を描きながら炎剣が舞うが、剛風を纏いし大剣も唸りを上げて炎を散らす勢いで打ち鳴らされる。

 炎自体が膨大な質量を持っているかのように、長剣と大剣の差を埋めて数度の交錯にも耐えて響き、静寂に包まれた街に澄んだ金属音と、付与された魔力同士が拮抗して炸裂する爆発の重低音が何度も響き渡る。

 

 膂力に押し切られることもなければ、速さに差し切られることもない。

 拮抗した双方の演舞は、最終局面に至る。

 

 長剣の損耗を一切考えない一撃を大剣で受け、その手応えと重さに感嘆しながらもヴォルフィードは手首を返しでそれを打ち払うと、すぐさま反撃に転じる。

 片腕で柄を持ち打ち下ろした一撃を、横薙ぎの一閃で弾かれて僅かに上体が後ろに反れるが、今度は柄を両手で持ち上体を前へと戻す勢いを利用して再度打ち下ろす。クロウシスも横薙ぎで剣を弾いた反動で体を横へと回転させ、その遠心力を利用した払い斬りで、炎をたなびかせながら剣を滑らせる。


 先ほどの巻き戻しのように、互いの全力で振るわれた剣身がぶつかり合う。

 その打ち合う衝撃に光の軌跡が踊り、大気を揺らす。

 剣を振り切った体勢を保ったクロウシスに対し、ヴォルフィードは剣を反動で上にかち上げられてしまい、その体勢が大きく崩れる。その好機をクロウシスが見逃すはずが無く、攻撃後の筋肉の硬直を振り払うかのように足に力を込めて前へと踏み込み、炎に包まれた剣でヴォルフィードのがら空きになっている脇腹を剣で一閃した。


 滑り込むように踏み込み、そのまま剣を滑らせてすれ違い様に剣の根元に近い位置まで胴体に潜り込ませての一閃で斬り裂き、クロウシスは石畳の床をブーツで削りながら制動を掛けて停止した。ヴォルフィードは打ち上げられた剣を両手で掴んだまま静止し、見開いた眼をやがて静かに細めて口の端を吊り上げた。


「私の負けですな……」


「よく言う。手加減された挙句に認められた負けなど、意味はない」


「だが、最後は全力でした」


 そう言うと、振り上げていた大剣を下ろして振り返り、クロウシスの持つ長剣の指して笑う。


「その剣が持ち堪えていれば、間違いなく私は今頃血の海に沈んでいたでしょう」


 クロウシスの持つ長剣から炎の衣が剥がれ落ちると、そこには剣身が根元からへし折れてしまい、折れた剣身が細かな粒子となってサラサラと風に乗って空へと溶けていく姿があった。

 単純な消耗などという生易しいものではなく、元来金属と相性の良い炎性魔力を高出力で無理矢理付与し続けたことで金属を構成する元素が自壊を起こし、剣は跡形も無く崩れ去った。

 強く握ると柄さえもまるで砂糖細工のようにボロボロと崩れ去り、クロウシスの手元には僅かな粒子の除いて何も残らなかった。


「一概にそうとも言えぬだろう。お前の体に剣が当たった瞬間、お前はそれを冷静に観察する程度の余裕は十分にあった。つまりはあの状況でも、やろうと思えば何か手は打てていたはずだ」


 暗に最初から剣があの瞬間に折れることを予期していたのだろう、という指摘に対してヴォルフィードはやや罰が悪そうな顔をすると、地面に剣を突き刺した。


 ――パチパチパチパチッ。


 荒れ狂う闘争の気配が徐々に静まりを見せ、静けさを取り戻し始めた広場に小さな拍手が木霊する。

 見上げれば、空中の形無き玉座に座していた魔族の王が笑顔で手を叩いていた。


「いやいや、なかなか面白かったよ。最近、ヴォルは運動不足だって言ってたから丁度良かったんじゃない?」


 ニコニコと二人を見下ろしていたヘキサティオンが、不意に手で顔を覆うように触り、その手をまるで見えない仮面でも取るかのように滑らせると、その場の空気が一変した。


「――ヴォルフィード。僕の下した命令を言ってみろ」


 声音にも先程までの無邪気な響きは一切なく、感情の無い声に怜悧な鋭さが加わって聞く者の心臓に見えない短剣を突き刺すかのような、魂が底冷えするような声だった。

 小さな紫紺の瞳には怒りとも失望とも取れる苛立ちが微かに揺れ、忠臣である竜頭の魔族が自分の出した命令を履行しなかったことに対しての詮議を行っている。


「王より下された命は、この者が真にバーンアレス神を宿した者かの真偽を確かめることです」


「違うな。僕はそうであるならば、その存在を引きずり出せと命じたはずだ」


「御意。しかし、真にそうであるならば、こちらの思惑通りに進むとは王も思われていなかったはず」


 暗赤色の瞳を一切逸らすことなく、主である冥王の紫紺の瞳を見上げて竜頭の魔族は奏上する。


「今がまだ時期でないことは、王も分かっていらっしゃるはず――そして、この帝都でこれから始まることを考えれば、すぐにその時は訪れる。違いますかな?」


 真摯な言葉は、これは手を抜いた結果ではなく、むしろよりヘキサティオンの望む結果を生み出すための行動であることを示唆し、不本意な結果を生み出さないための行為だと弁明していた。

 世界でも自分の『眼』とまともに視線を合わせることの出来る相手を前に、ヘキサティオンは凍えるような視線を向けていたが、やがて口をへの字に曲げると溜息をついて目を瞑った。


「……はぁ。口ではまだ敵わないなぁ。分かったよ、分かりましたっ。確かにこの場で一筋縄でいくような相手なら、つまんないから僕がこの場で殺してたさ」


 老獪なる忠臣の言葉に耳を傾け、まだ幼い(・・)王は退屈そうに不可視の玉座に浅く腰掛けて、だらしなく背もたれに頭をつけるとズルズルと体をズラす。

 その様子にヴォルフィードは深く息を吐くと、クロウシスへと向き直る。


「重ね重ね見苦しいところを見せてしまい、申し訳ない」


「苦労しているようだな……」


 僅かな皮肉を込めて言うと、ヴォルフィードもまた裂ける様な口を自嘲気味な笑みの形に変える。


「事情は知りませんが、噂が事実なのであれば貴方様の方が余程ご苦労をされているでしょう」


 やはり魔族との混血とはいえ、竜族の血を引くヴォルフィードには他の魔族とは多少違った感情を持っているのか、そう言った時のヴォルフィードの表情は心なしか陰っていた。


「クロウシス。この帝都はこれから荒れるよっ! だからさっさと本性を現して僕を楽しましてよねっ! 期待通りに面白かったら、僕が直々に殺してあげるよっ!!」


 物騒なことを笑顔で言うと透明の玉座から立ち上がり、剣をしまいガントレットになっていたローブを再び元に戻してそれを被ったヴォルフィードの肩に乗る。


「君は頭も勘も良さそうだから薄々気付いていると思うけど、もうじきここは闘争の坩堝になるよ。何がどう始まるかは具体的には教えて上げないけど、そろそろ目障りだからこの国は僕が潰すことは断言しとくよ」


 意図も容易く重大なことを宣言するが、その表情には嘘や勢いで口走ったことではないことを如実に現した自身に満ちた笑みを浮かべていた。

 フードの中から見える暗赤色の瞳もまた、それを否定することも窘めることもしなかった。


「じゃーね」


 軽い挨拶を残し、最高位の魔族とその従者は白む闇の中へと消え去った。

 後に残ったクロウシスは、広場の噴水へと目をやる。

 戦いの余波で噴水は砕け散っており、そこにあった天使像は再び破壊されて足の脛当たりから砕け散っていた。その近くにある家屋の二階からは火の手が上がっている。

 ベランダ部分が派手に壊れていることから、そこはクロウシスが最初に突っ込んだ建物であることが分かる。その出火の原因は、左腕の治癒の際に噴出した大量の血液が、戦いの途中でクロウシスの採った血液中の魔力を燃焼させて戦うという荒業をした際に呼応して発火したものだろう。


 ここの近辺は居住地区でありながら、人の気配がまったくしない。

 日中でも静まり返っている内縁街は、今もまだ内包しているはずの上流階級者の姿を包み隠して、生活感のない虚無な様相を崩すことなくそこにあった。


 これだけの騒ぎを起こしていながらも、ここに警邏の人間すら来ないのは恐らくはあの魔族が何らかの手段を講じていたのだろう。

 別段結界のようなものが張られたような感覚はなかったが、それを感知させないほどに高度な力と技術を持っているのであれば、それはそれで興味深かった。

 この世界の魔族の頂点に立つ一角と遭遇出来たことと、その力の一端に触れられたことは収穫と言える。


 フードを目深に被り直すと、クロウシスもまた流民街へと闇の中に消えていった。

 

後書きを活動報告にて書いております。

よろしければ、本文読後にお読みください。


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