表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

殺人鬼プータロー【某企画参加作品】

作者: 猫凹

 男は晴れてプータローとなった。


 職を失って半年。自暴自棄になり、失業保険は全て、趣味のアニメとフィギュアに注ぎ込んだ。家賃の滞納を重ね、とうとうアパートも追い出された。



 住所不定、無職。



 手許に残った所持金は硬貨数枚。最後に一風呂、と思い、銭湯の暖簾をくぐった。 愛想のない爺と耄碌した婆が経営する小汚い風呂屋。

 脱衣場で全裸になると、タオルで前を隠して浴室のガラス戸を開けた。



 そこに、妖精がいた。



 湯煙の向こうにぼんやりと浮かぶ、小柄な白い影。


 男の脳裏に、愛して止まなかったSFアニメのキャラクターが蘇る。



 まさか……ユキちゃ――



 湯気が晴れた。後ろで一つに結った白銀の髪。充血したかのような紅い眼。白色のスクール水着に身を包み、手にはアカスリ、ピンク色のゴム長靴。


 彼女は男を目に留めると、歯の無い口でにんまりと笑って言った。



「おひぇなか、ながひまひょうかぇ?」



 男は絶叫した。魂が血の涙を流すような、絶望に満ちた慟哭だった。



   *



 ――無職男、銭湯経営の老夫婦を理由もなく殺害――



 後日、死刑執行を目前にした男は、取材の記者にこう語った。


「家も職も失って、失う物は何もないと思っていた。でもそうじゃなかった。奴らは……俺の魂を汚した」


 新聞に載った意味不明な言葉に、世間の者は蔑みと嘲りを込め、男を「殺人鬼プータロー」と呼んだ。


 しかし、ごく僅かな選ばれた者たちだけは、男が守ろうとした物を知っていた。彼らは、独り死刑台に赴く男を思い、心の底で惜別の言葉を送った。



 グッドラック。



(了) 

間に合わせですみませんorz

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] うーん 構想は、面白いんやけど もう一捻り欲しかったかなー でも面白い構想やと思います。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ