「働かせてください!」
なんでもあり。
「イーベ、君は明日休みなさい」
「……い、今なんと言いましたか?」
「明日休みなさい」
「ク、クビだあああああああああああああああああああああ」
「休みだと言っているだろう!?」
上司の突然の宣告に、私は職場にも関わらず雄叫びをあげた。
聞き捨てならない、今この先輩の口から「休みなさい」と言われた、だと…?
「なんで、そんなにこの世の終わりみたいな顔をしているんだ。イーベ、君は働き者だ。それはここの誰もが知っている。君が部下でとても助かっていることだらけだ」
「だったら、私明日も働いて…」
「だが、働きすぎだ…!この前の休みはいつだ?もうひと月も前じゃないか!しかも、その日もじっとしていられなくて、針子の仕事に臨時で入ったりと、休んでいなさすぎる!」
「ですがっ、私としては働くのが生き甲斐でしてっ…!」
「わかっているが、今回はダメだ。上司命令だ、イーベ。明日は必ず休暇を取りなさい。他の部署の助っ人にも行ってはならん」
上司はそこで一回区切ると、とても怖い顔で私に近づいてきた。
「でないと、明後日も休みにするぞ」
「そ、そんなあっ!後生ですから!」
思わず上司の脚にしがみついて、泣きついた。
困る困る困るっ!私って、ずっと何をやっても楽しくなかったのに、仕事だけはイキイキとしていられるのっ!
それでいてお給料も発生されて、役に立てば感謝もされる。
こんなに素晴らしいこと、他にないのにっ…!
「ダメだ!ちなみに休まないと、どんどん延期されていくからな!」
「死んじゃう〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「生きろ、そのために休め」
私と上司のやりとりに、周りで見ていた同僚たちが苦笑いしている。
「まー、イーベはどっからどう見ても働きすぎだし」
「一人に負担をかけているんじゃないかって、もっと偉いとこからお達しが来たらしい」
「あーなるほど。それで今回は強めに雷が落ちてるわけね」
と、口々に聞こえるので、床に擦れる勢いでしがみついていたところから、涙目で上司を見上げた。
「そうなんですか…?」
「魔法庁庁長が、さらに上の機関からお小言を頂戴したらしい…。そこまで休ませないのは何事かと、危うく庁長の首が飛びかけた」
「えっ」
私の声とともに、周りもザワッとした。
そして、残念なものを見るように、私への視線が集まってくる。
こ、こんな大事になっているとは…。
「ついでに俺の首も飛びそうだが、それはまだいい。イーベ、このまま行くと君がクビになるぞ」
「なんで!?!?」
「休むのも仕事のうちなのに規定を守らないからな、不良職員扱いで解雇まっしぐらだぞ。いいのか?」
「よ、よくないっ、ですぅ…!!」
「わかったら明日は休め。何がなんでも休め!頑張って休むんだ、いいか!?」
「ヤスムノガンバル…、死ぬ…」
「死なんっ!」
「うわあああああんんん」
びゃあびゃあ泣く私に、何人かがそろりそろりと手を挙げた。
「あの、俺も休暇申請していいですか…?イーベの休みに付き合いますよ」
「あたしも!ほら、みんなで過ごしたら少しは気が紛れるかもだしっ…!」
「イーベが他所の部署に働きに行かないように、見張りもできますしね」
「みんな……!」
上司の脚にまだコアラ状態だった私は、ついでに上司のズボンで涙を拭いた。
「そういうことなら、何人か休みにするか」
「よっしゃ、魔法比べで勝負しよーぜ!」
「上位三人が休みなっ!」
「おい、まだ仕事中なんだから退勤後にしなさい」
「ありがとうみんな〜〜〜〜っ、まじで私のこと見張ってて!自分で何しでかすかわからないからさっ!」
「そこ、威張るところじゃないからなイーベ」
こうして、私の休暇のためにたくさんの同僚たちが手を貸してくれたのだった。
ちなみに、次の日はちゃんと魔法庁でも王城でも働いていない。
一緒に休みになった同僚たちが連れ出してくれた街の屋台で、呼び込み役をやっただけなので、ギリギリセーフである。
セーフ、だよね…?
了
お読みくださりありがとうございました!!
247日目。




