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ぎゃるめがっ!!!〜ときめきが魔力になる学園で、魔力ゼロなチョロかわギャルとバディになった話〜  作者: 河津田 眞紀@第一回Nola原作大賞早期受賞×2作
7.ギャルとチームメイト

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顔合わせ




「――うっうっ……まじサイアク……」



 学院に登校し、自分の席に着き。

 ヒメカは顔を覆い、さめざめと泣いた。


「ごめんね、ヒメカちゃん。すっぴんを見られるのがそんなにショックだとは思わなくて」


 隣で、リィトが申し訳なさそうに言う。

 その見た目は、前髪で目元を隠した上に黒ぶち眼鏡をかけるという、いつものスタイルに戻っていた。


 ヒメカは最初、何故リィトがその整った顔を隠すのかと疑問だったが……今ならわかる。

 元恋人の勢力――邪神徒(フェイスフル)に見つからないための変装だったのだ。


 ……そう。人間の顔というのは、一つの"情報"。

 だからこそ、繊細に扱うべきで……


 ヒメカは、ガッと机を叩くと、恨めしそうにリィトを見つめる。


「メイクは、ギャルの武装……言わば装甲なの……つまり、ブラジャーと同じ……」

「それはちょっと違うんじゃないかな」

「同じだよッ! 普段隠してるトコを見られたんだからッ! それ(すなわ)ち――」


 ……と、そこで。

 クラスメイトのメルリ・エンジュが近付いて来て、


「おはようヒメカ、リィトくん。昨日はありが……」

「――(すなわ)ち、おっぱい見られたのと同義だしッ!!」

「…………え」


 メルリの挨拶と、ヒメカの叫びが、タイミング悪く重なった。

 教室で聞くに相応(ふさわ)しくない単語に、メルリは顔を引き攣らせる。


「お、おっぱ……? まさか、今朝二人が一緒に登校してきたのって、そういう……」

「ちっ、違うよメルりん! や、違くもないケド!」

「そうだよ、エンジュさん。僕たち二人とも寮暮らしだから、たまたま一緒になっただけで……」


 ヒメカとリィトが慌てて弁明する。

 いくらバディとはいえ、出会って数日の男女が一夜を共にしただなんて、知られぬ方がいいだろう。

 ましてや、実際には何も起きなかったのだから、噂だけが一人歩きされては困るというものだ。


 ぱたぱたと手を振るヒメカたちを、メルリはジトッと見つめ、


「……そうね。ヒメカに限って、それはないか」

「そうそう! ……ん? どういうイミ?!」

「とにかく、昨日はありがと。あの後マネージャーに話して、ああいう怪しい仕事は外してもらうことにしたよ。元はと言えば、私がなりふり構わず仕事を受けていたのがいけなかったし……反省してる」


 それから、メルリは二枚の紙をヒメカたちに差し出し、


「今度、遊園地でミニライブをするの。やっぱりこういうところからコツコツとファンを増やしていかないとね。これ、チケット。よかったら見に来て?」

「いいの?! ありがと! あたし、アイドルのライブなんて初めて! 一週間後かぁ……超楽しみ! ぜったい見に行くね!!」

「リィトくんも……応援しに来てくれる?」


 言いながら、メルリが恥ずかしそうに尋ねる。

 その愛らしい上目遣いに、(はた)で見ているヒメカの方がときめきそうになる。

 だが、当のリィトは涼しげな顔で頷き、静かにチケットを受け取る。


「うん。僕でよければ、見に行くよ」

「やったぁ! 約束だよ? あ、そろそろ教室移動しなきゃだね。一緒に行こ?」

「え? 今日なんかあるんだっけ?」

「もう、ヒメカったら先生の話聞いてなかったの? 連休明けにある競技大会の説明をホールでやるって言ってたじゃない」

「きょうぎたいかい?」


 首を傾げるヒメカに、メルリは呆れたように額を押さえ、「はぁ」と息を吐いた。




 * * * *




 ――三科合同・賜魔術(アコード)競技大会。


 一ヶ月後に開かれる、一年生向けの行事だ。

 賜魔術(アコード)スキルの向上と、同級生との交流を目的としている。


 内容は、六人一組のチームで、制限時間のある障害物競走に挑戦する、というもの。

 と言っても、一般的な学校の体育祭で見られるような競技とは訳が違う。

 仮想空間の中で、山や谷、川や森といった障害(フィールド)を、賜魔術(アコード)を使って乗り越えるのだ。


 クリア時間が早かった上位十チームは成績が大幅に加点されるとあって、生徒たちの気合いも充分だった。



 ホールで競技の説明を受けた後、生徒たちは決められたチームに分かれ、顔合わせすることになった。

 愛神(ニナヨ)科・財神(ミスミ)科・健神(シラヤ)科から二名ずつ集まり、六人一組が作られるのだが、バディであるヒメカとリィトは同じチームとなった。


 ホールの隅で他のメンバーを待っていると、見知った顔が近付いて来た。

 同じ愛神(ニナヨ)科の財閥令嬢、ミコ・ミコシバだ。


「って、お嬢様じゃん。なんでいんの?」


 愛神(ニナヨ)科のメンバーは、ヒメカとリィトで二人揃っている。

 さては、来るチームを間違えたな?

 と、ヒメカは考えたのだが、ミコは艶やかな黒髪をさらりと靡かせ、答える。


「あら、ご存知なかったの? わたくし、愛神(ニナヨ)科と財神(ミスミ)科の両方に籍を置いているんですの。人数調整の関係で、今回の大会には財神(ミスミ)科として参戦いたしますわ」


 財神(ミスミ)科とは、財の神・ミスミに認められた者が所属する学科だ。

 その者が有する経済力――『財魔力(ザイチカ)』が、賜魔術(アコード)の源となる。


 ミコの言葉に、ヒメカは驚いたように返す。


「えっ、そうだったの? さっすがお金持ち。財の神にまで認められてるとかヤバ!」

「複数の科に在籍するのはそう珍しいことではなくってよ。ほら、あの双子モデルも、愛神(ニナヨ)科と健神(シラヤ)科を兼学しているでしょう? バレリーナとしても世界的に有名だから」


 ミコの視線の先を見ると、モデルのクルルとクロロが歩いていた。

 健神(シラヤ)科は、健の神・シラヤに属する者の学科。

 その者が有する身体能力――『健魔力(ケンチカ)』が、賜魔術(アコード)の源となる。

 

 クルルとクロロのバイタリストの色は、愛神(ニナヨ)科を象徴するマゼンタと、健神(シラヤ)科を象徴するシアンのバイカラー。

 ミコのものはマゼンタと、財神(ミスミ)科を象徴するイエローだった。


「へぇー、知らなかった。んじゃ、同じチームってコトでよろしくね、お嬢様。つーか、こないだ雪だるまに思いっきり顔面から突っ込んでたケド、大丈夫だった?」

「ふ、ふんっ。そんな瑣末(さまつ)なこと、覚えていないわ。わたくしはニッポンの未来を牽引するミコシバ家の者……過去は振り返らない主義なの」

「おぉ、さっすがお嬢様。ココロザシが違うね」


 感心するヒメカの横で、リィトは……ミコの顔を、じっと見つめていた。

 そのことに気付き、ヒメカは不審に思うが……すぐにピンときて、リィトに耳打ちする。


「まさか、また鞭でビシバシされないか心配してんの? だいじょぶだって。さすがのお嬢様もチームメイトにはドS発揮しないんじゃない? 成績かかってるし」

「……何の話?」


 と、リィトが聞き返した、その時。


「――お、君たちがチームメイトか?」


 後ろから、声がした。

 振り返ると、筋骨隆々の男子生徒と、ショートカットの女子生徒がいた。

 バイタリストの色はシアン。つまり……


「もしかして、健神(シラヤ)科の二人?」

「ああ。俺はソウマ・ソーマ。そんで、こっちが」

「ヒグレ・ユサ……よろしく」


 ソウマは豪快な笑顔で、ヒグレは控えめな声で自己紹介した。

 ヒメカは目の横にピースを作り、元気に応える。


「よろしく! あたしは愛神(ニナヨ)科のヒメカ・ヒメツカワ! メッカワ☆ヒメカって覚えてね!」

「同じく愛神(ニナヨ)科のリィト・カミナヅキです。よろしく」

「ミコ・ミコシバと申します。今回は財神(ミスミ)科として参加いたしますわ」

「えっ。もしかして、あの世界的企業ミコシバの?!」

「トレーニング機材でいつもお世話になってる……会えて光栄」


 ヒメカ渾身のウィンクをスルーして、ミコに興味を示すソウマとヒグレ。

 その様を、リィトは何とも言えない顔で眺めた。


「これで五人揃ったね。あとは財神(ミスミ)科からもう一人来るはずだけど……」


 リィトがそう言った、直後。

 一人の生徒が、他チームの注目を集めながら、こちらへ近付いて来た。

 

「――さぁ、オレのチームメイトはどんなメンバーなのか?! このあと、ついにご対面っ! ……っと」


 スマホの自撮りを止め、ぱっと顔を上げる男子生徒。

 襟足だけをブルーに染めた茶髪。

 常に微笑んでいるような糸目に、高めの身長。


 その姿を見て、ヒメカは目を輝かせる。


「ゆ……ユーウォッチャーのホトヤン?! まじ?! うちらのチームなの?!」

「すげぇ、本物だ!」

「配信、いつも視てる……」


 ソウマとヒグレも、興奮を露わにする。


 ホトヤン――体当たり系企画からゲーム実況、果ては楽曲リリースまでこなす、登録者数800万人超えの大人気ユーウォッチャーである。


 チームメイトからの熱い歓迎を受け、彼はパッと手を上げる。


「どもー! ホトヤンことホトギ・クラガノでーす! なにとぞなにとぞー!!」

「やばーっ! 動画のまんまじゃん!」

「君、めっちゃギャルだね! ピンク髪に金メッシュとか、超イケてんじゃん!」

「えーうれしー! つか、こないだの配信視たよ! 彼女できたんでしょ? おめでと!!」

「たはーっ、ありがとー! オレいま恋愛運絶好調だから、正直愛神(ニナヨ)科もイケる気がするんだけど、今回は財神(ミスミ)科ってことでヨロシク!」

「……すごいテンションですわね」

「あはは……」


 ヒメカとホトギの怒涛のやり取りに、ミコとリィトは思わず苦笑いをした。


「とにかく、これで揃ったね。それじゃあ、ホトヤンことクラガノ君に、あらためて自己紹介を……」


 というリィトの仕切りで、ヒメカたちは一人ずつホトギに挨拶をした。



 

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