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ぎゃるめがっ!!!〜ときめきが魔力になる学園で、魔力ゼロなチョロかわギャルとバディになった話〜  作者: 河津田 眞紀@第一回Nola原作大賞早期受賞×2作
7.ギャルとチームメイト

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はじめてのお泊まり




「…………ん……」



 ヒメカは、目を覚ます。

 朝だ。アラームより先に起きてしまった。


(うぅん……いま何時ぃ……?)


 と、スマホに手を伸ばしかけて……固まる。

 …………隣に、リィトが寝ていたから。


「………………は??」


 そこで、ヒメカの脳裏に、昨夜の記憶が一気に蘇った――




 * * * *




 寮の門限を過ぎたため、リィトは本当にヒメカの部屋に泊まった。


 交代でシャワーを浴び、ヒメカの部屋着を貸し、そして……

 二人で同じベッドに、入った。


 もちろんヒメカは、心臓バクバクだった。

 だが、風呂上がりのしっとりした姿を見せても、可愛らしい部屋着姿を見せても、リィトは無反応だったため、『キュン』を引き出すにはもう同衾(どうきん)するしかなかったのだ。


「り、リィト……もう少し、その……近くにいってもいい……?」


 なけなしの勇気を振り絞り、ヒメカは隣にいるリィトに言う。

 するとリィトは、眼鏡のない目を柔らかに細め、


「寒いの? ほら……おいで」


 そう言って……ヒメカを胸に抱き寄せた。


 ゼロ距離で感じる彼の体温。

 ふわりと漂う、同じソープの香り。


 ドキドキさせるつもりが、女慣れした態度に完全に返り討ちにされ……

 ヒメカは全身を沸騰させ、リィトのバイタリストを『キュンキュンキュンキュン』と轟かせた。

 わかりやすすぎる反応に、リィトは「ぷっ」と吹き出す。


「だぁああもうっ! 笑わないでってばぁ!」

「ごめんごめん。ヒメカちゃんが、あまりに可愛くて」

「かっ……! えっ、まじ?! あたし、可愛い?!」

「うん、可愛いよ。まるで、サンタを信じている子どもみたいに純粋で」

「え? 信じるもなにも、サンタさんはいるじゃん」

「…………そうだね、ごめん」


 リィトが言葉を飲み込んだことに気付かず、ヒメカはぱっと彼を見上げ、


「ねぇねぇっ。リィトはさ、サンタさんにもらったものの中で、何が一番嬉しかった?」


 と、ワクワクした顔で尋ねた。

 サンタに纏わる楽しい記憶を思い出し、緊張を忘れたらしい。


 ……本当に、子どもみたいだ。

 そう言いたげな笑みを浮かべ、リィトは答える。


「いや、僕の家は…………」

「…………?」

「……ううん。そうだな……ゲームとか、かな」

「へぇー。リィトってほんとにゲーム好きなんだ。あたしの偏見かと思ってた」

「君が言ったような類いのはプレイしたことないけれど、ゲームは好きだよ。中学の頃は、よくゲームセンターにも通っていた」

「そうなんだ! どういうので遊ぶの?」


 ヒメカが、興味津々に尋ねる。

 リィトは、記憶を辿るように視線を上に向け、


「いろいろやったよ。シューティングとか、音ゲーとか、対戦ものとか……」

「対戦って、格闘ゲームのこと?」

「いや、カードを使ったり、将棋やオセロみたいな知能ゲームもあるんだ。例えば……」


 ……と、リィトがいくつか例を挙げていると。

 いつの間にか、ヒメカは目を閉じ……寝息を立てていた。


「……嘘でしょ」


 あまりの寝つきの早さに、リィトは目を疑う。

 だが、ヒメカは既に夢の中。

 そのツッコミに対する返事も、当然ない。


「………………」


 リィトは、呆れたように笑った後、


「……おやすみ。ヒメカちゃん」


 そう言って、彼女に優しく毛布をかけ直した――




 * * * *




(――そうだ……あたし、いつの間にか寝ちゃってたんだ……!)


 すべてを思い出し、ヒメカは赤面する。


 念のため、着衣を確認するが、服が乱れている様子はまるでない。

 本当に……同じベッドに寝ておきながら、一ミリも手を出されなかったらしい。


(いや、むしろそれでいいんだケド……でもでもっ、こんなメッカワなギャルと一緒に寝て、興奮しないトカありえる?! 女慣れしてるどころの騒ぎじゃなくない?! せっかくお風呂の後にメイクもし直したのに!!)


 安堵と怒りと情けなさでぐちゃぐちゃになり、ヒメカは脳内でのたうち回る。

 やがて、「はぁ」と息を吐き、


(……まぁいいや。とりあえずリィトが起きる前に、メイク落としてこよ)


 と、音を立てないよう、そっとベッドから降りた。


 そうして洗面所に向かう前に……ふと思い立ち、枕元を見る。

 そこには、リィトの眼鏡が置いてあった。


「……………………」


 ヒメカは、何かを思いついたような顔をしてから、その眼鏡をぱっと回収した。

 

 洗面台に立ち、ヒメカはメイクを落としていく。

 当然、メイクをしたまま寝るのは肌に悪い。普段なら絶対にしないのだが、リィトの前ですっぴんになるわけにもいかず、風呂上がりにわざわざメイクをし直したのだ。ギャルの矜持(きょうじ)、というやつである。


 つけまつ毛を外し、オイルでメイクを落とし、たっぷりの泡で洗顔する。

 生き返るような爽快感に、ヒメカは雫を散らしながら顔を上げた。


「ぷはーっ。さっぱりし………………」


 ……と、そのタイミングで。

 鏡に、自分以外が映ってることに気付く。


 ヒメカの背後……リィトが、壁に背を預けて、鏡越しに彼女を見ていた。


「おはよ、ヒメカちゃん」


 悪びれることなく微笑むリィト。

 ヒメカは……わなわなと震え出す。


(さ……サイアクッ! すっぴん見られた!? いや大丈夫! そのために対策を打ってんだから!!)


「ふっ。メガネならあたしが持ってるよ! コレがないとなんも見えないっしょ?!」


 そう。万が一、メイクをし直す前にリィトが起きて来たとしても、すっぴんを見られないよう眼鏡を回収していたわけである。


「あたしってまじ天才! メイクし直すまで返してやらないんだからね!!」


 などと、眼鏡を掲げ、勝ち誇っていたのだが……

 リィトは、にこっと笑って、


「ごめん。それ、伊達メガネ」


 ……と、非情な真実を宣告した。

 ヒメカは、ぴしっと固まる。


「……だ……て……?」

「いつものメイクも可愛いけど……すっぴんも可愛いね、ヒメカちゃん」


 な……ななな、な………………



「……んにゃあぁぁあああああっ!?」



 ヒメカの絶叫に、スマホのアラーム音が重なった……



 

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