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ぎゃるめがっ!!!〜ときめきが魔力になる学園で、魔力ゼロなチョロかわギャルとバディになった話〜  作者: 河津田 眞紀@第一回Nola原作大賞早期受賞×2作
4.ギャルとアイドル

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異常なときめき




 ――翌日。


 ヒメカは、昨日の店でもらった試供品の香水をつけて登校した。

 百合の花に似た、清楚で甘い香りだ。



「おはよーメガネ君! 今日もよろー!」


 早速、隣に座るリィトにアピールする。

 ぐいっと近付き、肩をくっつけ、


「ねぇねぇ。今日のあたし、いつもと違うトコあんだケド……どこかわかる?」


 なんて、ウィンクしながら尋ねる。


 今日もメイクはばっちりキメてきた。

 さぁ、どうだと言わんばかりにリィトの反応を待っていると……

 突然、リィトはハッとなり、ヒメカの首筋をすんすんと嗅ぎ始めた。


「ちょ、メガネ君っ……く、くすぐったぃ……っ」


 ここまで効果があるとは聞いていない。

 首にキスされそうな距離感に、ヒメカはどぎまぎする。


「あのっ……さすがに教室でこんな……!」

「――どうしたの?」


 リィトは、低い声で遮り、


「この香水……どうしたの?」


 顔を覗き込むようにして、聞いてきた。

 その真剣な眼差しに、ヒメカはますます動揺する。


「き、昨日お店でもらったの、試供品……メガネ君にときめいてもらいたくて……」


 それを聞いたリィトは、眼鏡と前髪の奥にあるであろう目でヒメカをじっと見つめた後……


「…………そう。すごくいい匂いだね」


 いつものボソッとした声に戻り、ヒメカから離れた。

 未だ暴れる心臓を押さえながら、ヒメカは確信する。


(……なに今の。メガネ君、めちゃくちゃ食い付いてたじゃん。やっぱ匂いってすごいんだ……これは貰魔力(サレチカ)大量ゲットの予感がするッ!!)




 ――その予感は、まったくもって当たらなかった。

 今日も今日とて、いちキュンも鳴らないまま、放課後を迎えたヒメカであった。


「うわぁあんっ! もうどーすればいーのかわかんないよぉっ!!」


 涙を靡かせながら、ヒメカはスケーターをギュンギュン走らせる。


 匂い作戦もダメ。

 お色気作戦もダメ。

「あーん」作戦もダメ。

 完全にお手上げ状態だ。


 他のバディは互いにキュンキュンしまくり、順調に貰魔力(サレチカ)を貯めている。

 そもそも、バディをあてにせずとも、みなファンやオス豚から貰魔力(サレチカ)を稼げる強者(つわもの)揃いなのだ。


 その中で、ヒメカだけが未だに0。

 焦るなと言う方が無理である。


「まさか…………あたしって、カワイくない?!」


 がーんっ。と立ち尽くすヒメカ。

 そのまま、ビルの窓ガラスに映る自分を見つめる。


 ピンク髪に金のメッシュ。

 ばっちりキメたメイク。

 ハデハデにリメイクした制服。

 スタイル抜群なメリハリボディ……


「…………いや、めっちゃカワイイわ。間違いなく世界最強だわ」


 では、何故リィトはときめいてくれないのか。

 …………もしかして。


「……あのメガネ、ぜんぜん度が合ってないとか……?!」


 それだ。それしか考えられない。

 そうとわかれば、昨日のおねーさんのお店に行って、メガネを買ってこよう。


 なんて、度数もわからないのに昨日の店を目指し、スケーターを滑らせるが……


「…………あれっ?」


 昨日と同じ路地を進んだ先に、あの店はなかった。

 それどころか広場すらなく、暗いビルの谷間が続くばかり。


「おっかしいなぁ、この道で合ってるはずなんだケド……」


 仕方なく、元の通りに戻ったところで……見知った顔とばったり出会った。

 実戦演習でリィトと対戦した、ローカルアイドルのメルリ・エンジュである。


「おっ、メルりんじゃん。いま帰り?」

「げっ。同じクラスのギャル」


 綺麗に巻いた亜麻色のツインテールを揺らし、メルリが仰け反るが、ヒメカは構わずぐいっと顔を近付ける。


「メルりんも家こっちなの? あたしは学院の寮住みなんだ! それともどっか寄り道中?」

「会って早々うるさいわね……クリーニングを取りに行ってただけよ。今から帰るところ」


 言われてみれば、メルリの手にはビニールに包まれた衣類があった。

 その色味と質感に、ヒメカは首を傾げる。


「クリーニング? って、それ学院の制服じゃね?」

「……そーよ。学院のブレザー。あなたのバディが貸してくれて……ちょっと濡れちゃったから」

「ああ、あの時の。自爆してびちょびちょになったメルりんに、メガネ君がブレザーかけてたもんね。そんでわざわざクリーニングに? メルりん、めっちゃ律儀じゃん」

「あ、当たり前でしょ? 私のせいで濡らしちゃったんだから。っていうかナニよ、その『メルりん』って」

「え? だって、メルリ・エンジュちゃんでしょ? だからメルりん。かわいくない?」

「答えになってないし……まぁいいわ。それで……一緒じゃないの?」

「なにが?」

「だからっ……リィト君、一緒じゃないの?」


 言いながら、何故か頬を染めるメルリ。

 その反応を疑問に思いつつ、ヒメカは答える。


「一緒じゃないよ。メガネ君、授業終わるとすぐどっか行っちゃうから、あたしも困ってんの。ほんとは放課後もグイグイ攻めたいのに……」

「あなた、貰魔力(サレチカ)集めに苦戦してるみたいね。リィト君って、そんなに手強いの?」

「手強いってゆーか、鈍いっていうか……内緒だけど、あたしは不感症なんじゃないかって思ってんの」

「ふかっ……んんっ。彼、真面目そうだものね。私のえっちな攻撃にも無関心だったし……そんなところも素敵」

「え、なんて?」

「なんでもないわ。逆に、あなたがチョロすぎるんじゃない? 授業中もしょっちゅう『キュンキュン』鳴らして……昨日の演習では私にまでときめいてたでしょ?」

「えー、だって可愛かったんだもん。ミカモ先生もクラスのみんなもまじ最高じゃない? かわいくてかっこよくて、さっすが愛神(ニナヨ)科ってかんじ」

「……ヘンなの。普通、ライバル視するもんじゃない?」

「そーかな? あたしはあたし、みんなはみんなだし、それぞれ違う良さがあるから『キュン』ってくるんじゃん?」

「……今どきギャルのカッコしてるだけあって、やっぱ変わってるわね」

「いえーい。ありがとメルりん」

「褒めてないから。あ、そうだ。変わってると言えば――」


 メルリは思い出したようにバイタリストを操作し、


「あなたからもらった貰魔力(サレチカ)、なんかヘンなのよ。なんて言うか……数値が異常なの」


 そう言って、液晶画面をヒメカに見せた。



 

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