表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢リリアナ断罪されたので旅に出ます 『悪役令嬢観光録』 ―文化を巡り、文明を繋ぐ旅―  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/92

Scene14「観光外交成立」

万国観光都市リベル――世界円卓会議場。


 巨大な円形ホールの天井には、各国の紋章旗が静かに揺れていた。


 かつて激しい対立が交わされたこの場所は、今、異なる空気に包まれている。


 緊張ではない。


 ――静かな期待だった。


   ◇


 中央円卓には、各国家代表が着席している。


 霊脈国家。


 天空連盟。


 自然同盟。


 砂商連合。


 そして数十を超える中小文化国家。


   ◇


 議長席に立ったのは、国際観光調停議会議長だった。


「これより――」


「新観光外交協定の最終確認を行う」


   ◇


 霊導投影盤に、協定条文が展開される。


   ◇


 《国際観光相互文化認証協定》


 ✔ 国家文化尊重条約

 ✔ 共同観光交流ルート設置

 ✔ 文化交流教育制度

 ✔ 観光交通公平利用規定

 ✔ 観光格付け制度永久撤廃


   ◇


 条文が読み上げられるたび、各国代表が静かに頷いていく。


   ◇


 天空連盟代表が言った。


「自由観光は、無秩序ではない」


「文化理解が、自由を支える」


   ◇


 自然同盟代表が続く。


「観光は文化破壊ではない」


「尊重が伴えば、保存になる」


   ◇


 霊脈国家代表が、ゆっくりと息を吐いた。


「交通は支配手段ではない」


「文明を繋ぐ道であるべきだ」


   ◇


 議長が確認する。


「本協定に、異議はあるか」


   ◇


 ――沈黙。


   ◇


 やがて。


 議長が静かに宣言した。


「本協定は、満場一致により承認された」


   ◇


 円卓会議場に、穏やかな拍手が広がる。


 それは勝利の歓声ではなく――


 合意の音だった。


   ◇


 続いて、象徴儀式が行われる。


   ◇


 各国代表が、円卓中央へ進み出る。


 手にしているのは――


 文化土産。


   ◇


 砂商連合代表は、小さな水晶瓶を差し出した。


「契約水です。旅人同士の信頼を示す水」


   ◇


 天空連盟代表は、羽細工の空舞飾を差し出す。


「飛翔の祝福を意味します」


   ◇


 自然同盟代表は、香草束を差し出した。


「土地の記憶を保存する香りです」


   ◇


 霊脈国家代表は、霊導羅針盤を置いた。


「文化航路を示す道具です」


   ◇


 それらの品が、円卓中央に並べられる。


 色も形も、意味も違う。


 だが――


 互いに否定しない存在。


   ◇


 会場の一角。


 リリアナは、その光景を静かに見つめていた。


   ◇


 フィオが、小声で言う。


「すごいな」


「国が……土産交換してる」


   ◇


 ザハルが腕を組みながら頷く。


「交易より、難しい交渉だ」


   ◇


 エルナが、中央の土産を見つめて呟く。


「……流れ、繋がってる」


   ◇


 リリアナは、ゆっくりと目を細めた。


   ◇


 ――文化が、行き交っている。


   ◇


 武器ではなく。


 制度でもなく。


 理解と記憶を運ぶ形で。


   ◇


 彼女は、静かに思う。


   ◇


(文化が行き交う場所に――)


(争いは、根付かない)


   ◇


 円卓中央で、各国代表が互いに礼を交わす。


 国境を越えた挨拶が、静かに交差していく。


   ◇


 議長が宣言する。


「本日をもって」


「国際観光外交制度は、正式に発足する」


   ◇


 拍手が、再び広がった。


   ◇


 その光景を見つめながら――


 リリアナは、小さく呟いた。


「旅人は――」


   ◇


 風が、円卓会議場の高窓から流れ込む。


 各国旗が、同じ風に揺れる。


   ◇


「国家を繋ぐ」


   ◇


 その言葉は、静かに空間へ溶けていった。


   ◇


 第六アーク――終幕。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ