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衛生兵 ベルナ  作者: mask
雑誌記者 カリナ

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1/11

終戦10周年

 世界は初の世界大戦の傷が癒えないまま二度目の世界を巻き込んだ戦争をしてしまった。

 列強国はそれぞれの大義を掲げ、二つの大きな陣営に分かれ、いつ終わるかもしれない地獄のような戦場で互いを消耗させた。

 しかし、資源も人も使い潰した末に、六年にも及ぶ戦争は終結した。

 それから十年後ーー


「ん、ん〜」

 若手女性記者のカリナ・ベルナは自分のデスクの上で目を覚ます。

 寝ぼけ眼で昨日の夜に淹れた余り物のコーヒーを啜る。

 当たり前だが冷めている。

「おはよう。なんだ。また徹夜したのか?」

 カリナに声をかけたのは編集者の先輩である男性記者のハディ。

「おはようございます。まだ記事が埋まらなくて」

 大きく欠伸してカリナはボリボリと頭を掻く。

 彼女の記事の下書きはまだ半分も埋まっていない。

「戦勝記念日の記事だったか? また大変そうな記事を任されたな」

「まあ、初めて編集長に任された大きな仕事なので」

 普段のカリナは街中で起きた窃盗や殺人事件などを記事にしているが、今回は違った。

 かつて起きた第二次世界大戦の記事だった。

 毎年、戦勝記念日が近付くと話題になる。

 しかしそれは他の出版社も同じだ。

 競合他社を出し抜くためには他が得られていない情報を記事にしたいとカリナは考えていた。

 だけどすでに終戦から十年目。

 当時の人からの情報は出し切っていて、目新しい話はなかった。

 それがいっそうカリナを悩ませていた。

「去年はハディさんが担当したんですよね? 何かないですか? 記事にしてない話とか、伝手とか」

「ん? ああ、そうだな」

 自分のデスクに着いたハディは引き出しに収めていたファイルから何冊かをデスクに置く。

「去年は色々調べて記事にしたからな〜。残ってるのは……」

 ハディの手が止まる。

 訝しかんだカリナは隣のハディの手元を覗く。

 『戦時中の連邦特殊部隊について』

 殴り書きにされた題名がカリナの目を引いた。

「ハディさん、これは?」

「いや。ちょっとした噂だよ。結局は証拠や証言が足りなかったから記事にはしなかった。それに……ちょっとな」

 気味の悪そうな、少し怯えた表情のハディにカリナは興味が出た。

「中を見せてもらっても?」

「ああ、構わない。だけど記事にするなよ。真実味の薄いガセネタかもしれないからな」

「はいはい」

 カリナはファイルを開く。

 それはハディが、ある男性に取材をした記録だった。

 相手は戦時中敵国だった帝国軍の元兵士の男性。

 今はカリナたちと同じ連邦領で暮らしているらしい。

 名前、年齢は匿名希望。

 職業は印刷所の社員。

「身近な場所に居たんですね。しかも帝国の人が」

「ああ、俺も驚いたよ。従軍していた知り合いは多いが、帝国から移り住んでた人が居たなんて。連邦語が流暢だから気付かなかった」

「でもどうして連邦に? 戦争は十年前に終わったっていうのに」

「珍しくもないぞ? 戦時中に捕虜になって戦後も帰れなくなった人なんて。帝国との国交が回復したのだって最近だしな」

「そういうものなんですね」

 カリナはページを捲った。

 

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