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おはよ

 成田と別れた俺は自宅までの帰り道、これからの成田について考え事をしていた。

 先ほどはあのように言ったが、野球部に戻るのかは成田自身が決めることである。

 それなら俺が今解決すべき問題はクラスの方である。

 成田は友達を作ろうとしていた。だから、朝登校した際にはクラスのみんなに聞こえるように「おはよ」を言った。


 みんなが成田を避けている理由は、クラスの空気。

 先輩との件がきっかけでみんなが成田を避けるようになったが、今は成田と仲良くしてはいけないという空気に問題があると俺は考える。

 先輩との問題を解決したところでクラスに居場所ができるとは考えにくい。

 つまりこの問題を解決するにはクラスの空気を換えてやることが必須となる。


 家に帰った俺はクラスの空気を換える方法について考え、思いついた事があった。

 そんな俺は時刻が20時を過ぎていることを確認すると、携帯電話を取り出してある人物に電話をかけ急いで家を出た。


 ---------------


 次の日。

 俺は昨日と同じく早めの時間に登校した。

 下駄箱で靴を履き替えていると、声をかけられた。


「おはよ。たまには早く登校してくるのも良いもんだねー」


 声がした方を向くとそこには南がいた。


「おはよ。悪いな、部活もないのに早めに来てもらって」


 そう言って、俺たちは2人で教室へ向かって歩き始めた。


「問題ないよ。クラスメイトからの頼みだ」


 笑顔で言った南を見て、相変わらずイケメンだなと思っていると南が続けて言った。


「それに俺だけじゃなくて、みんなも来てくれると思うよ」


「そうか? 部活の朝練もあるのに大丈夫か? 」


 俺が不安そうに聞くと、南は答えた。


「きっとなにより最優先でくるはずだ。そういうやつらなんだよ」


 優しく南がそういうと後ろから声が聞こえてきた。


「おーい、わりい。遅れたわ。顧問の先生に適当な言い訳してたら捕まっちまってよ」


 その声は佐光の声だった。

 そんな佐光を見て南が口を開いた。


「どーせ宿題やるの忘れたからとか言って抜けてきたんだろー? 」


「こわ。なんでわかるんだよ。見てたのかよ? 」


「相変わらずバカだね。日直でとか言って適当にごまかせばよかったのに」


「あー、その手があったか」


 そう言いながら頭を抱える佐光を見て、南は笑っていた。


 教室に3人で入ると、中から女子2人組に声をかけられた。


「あー! やっと来た。こっちはずっと待ってたのに」


「3人ともおはよ」


 神田と平松が俺達3人を見て言った。

 そんな2人に俺達は近づき、佐光が先ほど俺達に言ったことを伝えた。

 2人はそれを聞くと「バカだなー」なんて言って笑っていた。

 俺はそんな中、何とか間に合ってよかったと安心してから4人に対して頭を下げてから口を開いた。


「悪いな。みんな色々忙しいのにわざわざ来てもらって」


 そんな俺の言葉を聞いて4人は順番に口を開いた。


「気にすんなよ、藍人。友達の頼みくらい聞いてやるよ」


「早起きの機会が出来て、むしろありがとうって感じだなー」


「そんなことで謝んないでよ! 」


「クラス委員として当たり前よ」


 本当にいいやつらだな。

 ――こいつらならあいつの居場所を作ってくれる。

 そう思っていると教室のドアが開き「お、おはよっ! 」と聞こえてきた。

 ドアに目を向けるとそこには成田の姿があった。


 教室にいたクラスメイトは成田の方に目を向けたが、誰も「おはよう」を返すことはなかった。

 一瞬の沈黙が流れる中、佐光の大きな声が沈黙を破った。


「おはよ! 」


 それに続くように、神田と平松が口を開いた。


「成田じゃん! おはよー」


「成田君、おはよう」


 返されると思っていなかったであろう成田は、嬉しさよりも驚きが勝っているのか固まっていた。

 そんな成田を見て、南が口を開いた。


「自分から挨拶しておいてなに驚いてんの。こっちこいよー」


 それを聞いた成田は涙を溜めた目をしっかりと拭いてから、笑顔で近寄ってきた。

 そんな成田に対して、俺も笑顔を作ってから言葉を発した。


「おはよ、成田」




読んでいただきありがとうございました。


「面白かった」とか「続き早く読みたい」と思っていただけましたら、モチベーションにもなりますので評価とブックマークをよろしくお願いします。


また明日もお楽しみに!

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