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冬見名結

 佐光グループの紹介が終わると、始業式の時間になった。

 佐光に「一緒に行くか」と誘われたが、ここで佐光グループと一緒に行動したら、あいつらと友達ルートに発展するような気もしなくもなかったので、適当に断って1人で体育館へ向かった。


 始業式では恒例の無駄に長い校長先生の話があったり、歌詞すら覚えていない校歌を斉唱したりといつも通りの始業式だった。


 ---------------


 始業式も終わり、そのまま下校となった。

 ほとんどの生徒は、今日1日で仲良くなったクラスメイトと親睦会的なお昼ご飯を食べに行くのだろう。

 俺は、特に親睦を深める相手もいないのでそそくさと帰っても良いのだが、今から外に出ると少し前に出て行った佐光グループと鉢会う可能性があるため、時間を潰してから帰ることにする。

 手っ取り早く時間を潰そうと睡眠をするために図書室へ向かう途中で後ろから声をかけられた。


「やっほ。藍人じゃん。まだ帰ってなかったんだ」


 振り向くとそこには、冬見名結(ふゆみなゆ)がいた。

 俺の中学時代をよく知る人物。

 そして()()()が惚れた女。

 この学校で俺と唯一の同じ中学校出身の女子。

 俺は中学の知り合いと同じ学校に通うのが嫌だったので親の反対を無理やり押し切り、わざわざ家からは少し遠いこの城北高校(じょうほくこうこう)に通っている。

 そんな彼女に対して俺は冷たく答えた。


「べつに、いつ帰るかなんて俺の勝手だろ」


 そんな俺に冬見はため息をついた。


「相変わらずだね。そんなんじゃ2年生でも友達できないよ」


「ほっとけ。作りたくないんだからそれでいいだろ。別に」


「えー友達がいた方が楽しいと思うけど。中学の時、楽しかったでしょ? 」


 何も言い返せなくなった俺に向かって彼女は続けた。


「図星じゃん。なら中学の時みたいに友達作れば良いと思うけど。友達の作り方忘れちゃったなら教えてあげよっか」


 そう言って冬見はニヤッと笑顔を見せる。

 あえて冗談っぽく言って、重い空気を作らないようにしてるのだろう。

 冬見は相手が欲しい言葉を欲しいタイミングで言える。

 顔はしっかりと整っていて、可愛くて美人。ダークブラウンの髪をボブにした彼女はコミュ力お化けである。

 いじられキャラもいじりキャラも相手によって器用にこなしている。

 頭もそれなりに良くて、校内順位では毎回30位以内に名前を見かける。

 運動もでき、バスケ部で3年生がいた時から唯一1年生でレギュラーとして試合に出場し、今では上級生を差し置いてエースとして活躍しているらしい。

 なんでも器用にこなしちゃう完璧女子。

 器用すぎて逆に不自然に見えるくらいだ。

 沈黙を貫く俺を他所に冬見は続けた。


「たしかナツと同じクラスでしょ? いいなあ私も1組がよかったなー」


 ナツ……? あー神田のことか。

 神田もバスケ部と言っていたので、部活繋がりで知っているのだろう。


「そっか。じゃあまたな」


 なんで俺のクラスを知っているのかは今は置いておこう。

 さっさと話を終わらして図書館へ向かおうとしたが、止められた。


「またな。じゃないよ! なんでそんな簡単に話終わらせられるのよ。ここは普通何組か聞き返すところでしょうが」


「じゃあ何組なんだよ? 」


「2組だよ。隣のクラス! 」


「そっか。じゃあまたな」


「ストーップ」


 なんでだよ。ちゃんと聞いたじゃん。

 冬見はふくれ面を見せていたが、知らないふりをして足早に図書館へ向かった。


 ---------------


 私、冬見名結は下駄箱前でクラス表を確認した。

 1組から順番に名前を見ていくと、すぐに目が留まった。

 それは彼の名前を見つけたからだ。

 10番佐野藍人。

 そのあとの私は1組の欄に自分の名前があることを願いながら見進めたが、残念ながら自分の名前を見つけることができなかった。

 もしかしたら見逃しただけなのかもと、淡い希望を抱いて今度は2組の欄を確認すると、そこに自分の名前があった。

 ――また彼と同じクラスになれなかった。

 やるせない気持ちでいると、後ろから声をかけられた。


「ウミ! 何組だったー? 」


 後ろを振り向くて、かわいい笑顔を振りまく私の親友《相棒》、神田夏がいた。

 1年の時から同じクラスだったナツは、同じバスケ部でずっと一緒にいた。


「2組だった! ナツは? 」


「えー、ショック。私1組だったんだけど」


「そっか。1組なんだ」


 ――できることなら私と変わってほしい。

 そう口から無意識のうちに出てきそうだったが、慌ててひっこめた。


「ショックだね。まあ部活で毎日会えるし」


 笑顔を見せてそう返した。


「確かに! じゃあ問題なし! 」


 私よりも綺麗な笑顔を見せた彼女は、「じゃあまた部活でー! 」と言って、同じクラスになったと思われる友達の元へと去っていった。

 ナツの笑顔はとても可愛く、周りを笑顔にするような不思議な力を感じる。


 ――いつかその力で()のことも……


ちょっとテンポが遅いような気がするので次の話からテンポ上げて書いていきます。

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