2入学式
体育館の中に入ると、生徒の視線がこちらに集中した。
「ねぇねぇ、なんか私達注目されてない?」
こそこそと話す優衣にそれはそうだろうと言いたくなる。
幼少期から優衣は特殊だった。
この世には様々な能力を持つ人間が存在する。手から水を出したり、電流を操ったり、他にも透視、怪力など能力の種類はまさに十人十色、千差万別だ。そんな中優衣は何千年ぶりかで聖属性として生まれた人間だった。聖属性能力の主な特徴は怪我や病気の治療、悪しきモノを浄化することが挙げられる。
優衣はまさに5歳の時、悪霊に襲われそうになっていた妊婦さんを浄化能力で救ったことでその能力が世間に露呈した。それ以降優衣は総理大臣に要請され、悪霊や呪物の浄化に行くなどしてはニュースや新聞にその活躍が載せられた。
そうでなくとも、パッチリとした大きな目や小ぶりな唇。少しふっくらとし頬はほのかにピンク色で庇護欲をそそられるほど可愛いと周りから言われるほど優衣の顔は整っているのだ。
そのため現在のこの状況は必然といっても過言ではない。しかし鈍感なのか阿呆なのか優衣は自分の価値というものを全く分かっていなかった。
説明するのが面倒くさいので、とりあえず「そうだねー」とだけ言って自分たちの席まで歩いて行く。その間も周囲の生徒は好奇心を隠すこともなく、こちらを凝視し続けていた。
「麗依、横見て。めちゃくちゃイケメンがいる。」
先ほどまでの不安そうな顔はどこへやら。席についてすぐに優衣の関心は、壁側の席に生徒の方を向いて座っている生徒会に注がれていた。
「いいって。私は見たくない」
「お願い麗依!!一回でいいから見て!」
騒ぎ続ける優衣は、司会の先生がマイクのスイッチをいれる時まで五月蠅かった。
その後入学式は順調に進み、優衣の代表の挨拶も無事に終わった。
ちなみに優衣の代表の挨拶の終了とともに、私の意識も終了した。
「・・・い・麗依!もう、やっと起きた。」
「あれ・・私」
「寝てたんだよ。もうみんなクラス見にいっちゃったよ。私達も早く行こ」
確かに周囲にはほとんど生徒が残っていない。
起き上がり優衣とともに外に出ようとした。
「橘 優衣さん」
突然、耳に心地の良い低音ボイスが後ろから聞こえた。振り返るとまさにハッと息を呑むほどの美男子が立っていた。実際に優衣からはハッという声が聞こえた。
「生徒会の代表の挨拶素晴らしかったよ。もし、生徒会に興味があればいつでも待ってるからね。」
「は、はひ」
妹よ・・残念すぎる
「じゃあ僕は行くね。突然話しかけちゃってごめんね」
「い、いえ!」
そう言ってその人は去って行った。




