5話。迷宮の中で…
書きたいことはあるのに、文章として書くと下手になってしまうのはなんででしょうね。
少しグロい描写が途中で挟まります。苦手な方は飛ばして貰って結構です。
僕達が迷宮を進んでいると、さっきまで争っていた人達が僕達にこっそりとついてきているようだった。安全な道を進みたいって事…なのか?
「構わず進みましょう。あの人達が俺達についてくると決めたなら、それはあの人達自身の責任。放って置く方が良いですよ。」
下手に抗議して時間を取られるよりは…と皆が賛同し、気にせず進むことになった。
「ストップ!玲谷!」え!?
声に驚いて止まっても特に何も起きない。
「急にどうしたの?」
「そこ、罠あるで。多分こうしたら…」色奈が僕の進むはずだった方向にメモを丸めて投げつけた。
…すると、メモが床についた途端に、人一人分の天井が落ちてきた。天井は床まで降りると、鎖が巻き取られまた上に戻っていく。
「た、助かった。ありがとう。でも、どうして分かったの?」見ると、紙がぺっちゃんこになっていた。…色奈に教えて貰わなきゃ、僕がそうなっていたのか。命の恩人だ。
「なんか危ない気ぃして。何もなかったらそれはそれでええし。」おぉ…すご「すげぇな!」…うん
「間に合って良かったわ。近くまで行かんと分からへんし。」自分の周りの危険を察知してるって事?か。
その後は色奈の危機察知もあり、順調に進んでいった。のだが、
「キャーー!!」っっ!後ろから悲鳴っ!?
「一体なにがあったんでしょうか…」
「取り敢えず私達で見てきますので、他の方はこちらで待っていてください!」後ろでなにが…
「僕も行きます!」何か出来ることがあるかも…
最悪を想定し、数人を置いて月熾さんと、僕。そして栗出さんとで、悲鳴のした方を見に行った。
どうやら、後ろからついてきていた集団の中で、罠にかかった者がいるらしい。
僕達が駆けつけると、
穴に落ち、液体に浮かんでいる女性?とその恋人なのか、穴の上から手を伸ばした体勢で、壁から出てきた槍に串刺しにされている男性がいた。
「うっ…うぷっ」吐き気が…
穴の中の女性は、液体に体を溶かされ、服など既に無かった。全身の皮膚が溶け、肉や骨が露わになっていた。顔は目玉や歯が飛び出てており、まるで絵にあるグールのようだった。
女性に手を伸ばしている男性は、全身にいくつもの槍が刺さり、刺さった部分から絶え間なく赤黒い血が流れていた。目は虚ろで、既に亡くなっていることが見て分かる。
あの時一緒に居ようとしていたら守れていたかも知れないのに。僕は…また…
「これは…俺達はまだしも、慣れてない者にはキツいものがありますね…」
「大丈夫ですか?無理そうなら私が状況を聞き取ってから、お伝えしにもどりますが。」うう…まさかこんなことになっているなんて…でも人に任せて自分は逃げるなんて!
「…いえ、大丈夫です。頑張ります。…栗出さんは大丈夫なんですか?」こんな…無残な状態で…
「ええ。…ここまでの方はあまり見ないですが、職業柄何回か。」
「あぁ、探偵の方でしたね。なるほど。ただこれはあまり慣れたいものでもないですよね。」あれ?月熾さんも…?
死んだ人と一緒に居た人達は、吐いている人や、気絶してしまっている人が多い。
「これでは状況を聞こうにも、聞ける人が居なさそうですね…」こんな状態なら、仕方ないよな…直接罠にかかる所を見ていない僕でも、目を背けたくなるのに…
「取り敢えず皆さんも合流して進みませんか?落ち着いたら、色々話したいこともありますし。」
「僕達が通った道に罠があったことが気になるんですが…」
「こうなると考えたくはないですが、俺達を見て罠の位置が調整されているとしか思えませんね…」調整!?そんなことされたら避けようがない…
「…」
せめて無残な状態となった遺体を救い出そうとしたが、合流するのが先であることと、また罠が連動して発動すると、全員を危険にさらす事になるという理由で止められた。
周りの人達を連れ、元の場所で待っていてくれた咲達と合流し少し進むと、広めの場所に着いた。そこには罠が無いとのことだったので一度休むことになり、待っていた人達に、状況をある程度ぼかして説明した。
「そんなことになってたんだね。玲谷は…大丈夫?」
「大丈夫。それよりも一緒に居た人達が…」
犠牲が出たことで、ゲームのように思っていた気持ちが無くなったのか、恐怖で叫んだり、鬱になっている人ばかり。現実を見て絶望を皆が感じていた時、
《やっと最初の犠牲者が出たか~。待ちくたびれたぜ。》クマの…ルリの声が何処からか聞こえてきた。
「この声…どこからだ!?」う~ん…スピーカーのような物は無さそうだけど…
「なんですかその言い方は!まるで犠牲者が出るのを心待ちにしていたようではないですか!」栗出さんの言うとおりだ。悪趣味じゃないか!
《いゃあ?俺様は待ってねぇぜ?待ってるのは…ハクだしな。だろ?》
あんな小さい子がそんなこと思ってるわけ無いだろ。きっと嫌々従ってるんだ《う…ん》え?
《でも…あれじゃ…できない…》本当に…?
「出来ないってどういうことなんですか?まさか…遺体をさらに辱めるつもりですか。」
「怒るべきはその子ではないですよ、月熾さん。子どもは親を選べないと言いますし。ハクさんをこのように育てた人に怒るべきでは?」
声は穏やかだが、静かに怒る2人に、周りは静まりかえった。
そんな空気も気にしていないのか、気づいていないのか、ルリはご機嫌で、
《面白いものを見せて貰った代わりに教えてやるよ。お前らの罠の位置を調整しているって考え。あたってるぜ。ただ俺らは、ある奴に細かい位置を教えて貰って微調節してるだけだぜ?うじゃうじゃと居るゴミ共の場所なんていちいち見てらんねぇんだよな》
と衝撃的な事を何でも無いかのように言った。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。拙い文章ではありますが、少しでも良いなと思っていただけたら、高評価、ブックマークのほど、宜しくお願いしても…良いでしょうか。