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21話。活躍する者達

大変長らくお待たせしました……待ってないかもですが

「三戦目の相手はコイツだ! お前らの〝絆〟を見せてくれ!」

そう言って解き放たれたのは、しなやかな体躯の白い虎。

虎は檻からゆっくりと姿を現した。

そして、闘技場の中心に立つと、グゥァーオと吼える。その声は衝撃波として飛んできて、思わずたたらをふむ。

しかし、虎の狙いはそこではなかったようで、すぐに空より白が降ってきた。

「これは……雪?」

綺麗な光景に頬をほころばせるが、しばらくして雪は吹雪となり、強く体に打ち付ける。

すぐに周りが見えなくなり、仲間達の姿も見えない。視界が白に埋まる瞬間、サンゴの声がした。

「言うまでも無いだろうが、コイツはスノウタイガー。辺り一面を吹雪にし、四方八方から攻撃してくる。」

どこから来るか分からないなんて…勝てるとはおもえない…

「あぁ、安心してくれ!あいつは意外と脆い。攻撃を当てれば一発だぞ!」

そういわれても……


敵どころか仲間も見えないこの状況で、どうすれば良いと言うんだ……と、希望どころか絶望をたたきつけられたように感じ、意気消沈している……その時だった。

「どこ行った虎野郎! この俺が……」誰かの声が響いたかと思うと、真っ白な視界に赤色が見えた。……え?この赤って……まさか……

背筋が凍る。鮮やかな赤はすぐに白に飲み込まれていったが、脳裏に焼き付いたその色は、なかなか消えてくれなかった。


良く見えなかったとはいえ目の前で起こったことに呆然としていると、不意に肩を叩かれ、びくりと肩がはねる。

後ろに振り向き、身構えながら一歩飛び退る。

しかし、そこに居たのは栗出さんだった。

「あぁ、驚かせてすみません。しかし、“想定した場所に”居てくださって良かったです。」

「想定……ですか?」

そうして語られた説明は、簡潔ながらも納得のいくもので、だからこそ、疑問が残る。

「……そんなことを僕に話してしまって良いんですか?」

「なぜでしょう?」

その笑みは、生徒の導き出す答えを待っている先生のようで、逼迫した状況ながら、少し頬が緩む。

「僕が……栗出さんの役職に対抗するものだったとしたら……」

絞り出した疑問だったが、あっさりと答えられたが、栗出さんの答えは、予想もしないものだった。

「あぁ、大丈夫ですよ。想定通りであれば“皆さんの役職は判っていますから”……まあ、それよりも今は作戦ですね。」

「え……?」

最初はなにを言っているのか分からなかったけど、最後だけはかろうじて聞き取ることができた。……確かにこんな問答をしている場合じゃぁないよな


栗出さんの作戦は思ったよりも単純だった。僕の向きを調整して貰い、栗出さんの合図で攻撃する。その際、僕は指示した方角に真っ直ぐに進んで攻撃すればいいらしい。

「私もフォローしますので、あまり気負わずとも良いですよ」

栗出さんはそう言っていたが、どうしても緊張してしまう。周りは吹雪なのに手の汗で剣を落としてしまいそうで、改めて握りなおす。


どれだけ経っただろうか。数秒のようにも数分のようにも思える時間が経ち、耳元で声がした。

「今です」

反射的に駆け出す。走りながら左手で鞘を垂直に持ち、右手で柄を持ち、若干下げながら剣を抜き去る。

これまで意識していなかったが、剣を握るとどのように動けばいいのか手を取るようにわかる。これがスキルの効果……なのか?


一瞬吹雪が強くなったかと思うと、急に晴れ、目の前にはあの虎が佇んでいた。

咄嗟に剣を抜いた状態から切り上げ……浅い!?

大して虎に傷を負わせることも出来ず、飛び退る。一瞬の後、元いた場所を虎の爪が走る。……ひぇっ……肌が粟立つ。あんなのに当たったら……


躊躇していると、二度目の攻撃が飛んできて慌てて剣を構える……が、額に当たった衝撃で虎の攻撃は他所へ飛んでいった。

……え?

よく見ると、虎の額には弾がめり込んでいるようだった。……栗出さん……

深呼吸して、構え直す。さっきは飛び出したまま攻撃したから浅かったのかも知れない。

覚悟を決め、軽く跳躍し斬りかかる。

先程とは違い、やけにあっさりと虎に食い込んだ剣は、虎の肩を深く切り裂いた。


グゥゥゥゥ……

虎は呻いたかと思うと、ズンッという音を立てて倒れ、動く気配がない。……終わった……のか?

気がつくと周りを覆っていた霧も晴れ、戸惑った様子の皆と、……倒れ伏し、体の下から血が滲み出る男性が居た。

「っつ……!」誰かの悲鳴が聞こえたかと思うと、古梓さんが駆け寄った。

「……だめだ。こいつは……もう……」そんな……

「……器用なものですね」沈痛な面持ちの古梓さんを見て哀しみを感じていると、微かに笑みを浮かべた栗出さんがなにかを呟いたような気がした。


「終わったな! じゃあ……こいつらは回収するぞ!」

どこかうれしそうな笑顔のサンゴがやってくると、虎と古梓さんが抱えたままの遺体に手をかざし、一振りすると大きな虎は勿論、彼の血も跡形もなく消えていた。


「さて……さっさと次に行くんだったか。」

サンゴはそういうと、端の方にある檻に近づき、開け放った。


もはや待ってくれと言うつもりも無く、皆もう慣れてしまったのか、落ちついた様子で武器を構えつつ、檻の方を見やる。

開け放たれたと同時に檻から強い風が吹く。瞼の間に微かに見えた細長い影は体をくねらせ、ゆるりと空に飛んでいった。

眼を細めながらも見上げると、宙に溶けて消えてしまいそうな空色の龍が怒りのような恐れのような瞳でこちらをにらみつけてきた。

「……龍?」

なぜか少し目を輝かせた咲がこぼすと、それが聞こえたのか、サンゴが楽しそうに応える

「おお! よくわかったな!こいつはスカイドラゴン……つってるがまぁ、龍だな」

どこか過去を思い出しているような懐かし気な顔をしたサンゴが切り替えるように続けた

「こいつは常に空を駆け、攻撃を仕掛けてくる……まぁ、見てたらわかるだろうが。あ、顎の下にある逆鱗が弱点だが……攻撃すると怒るから気をつけろよ~」


その声が合図となったのか、龍は空でゆったりと一周すると、黒い雲が龍を中心に集まり始めた。

ポツリ

頬に水が当たる。かと思うと雨は強まり、雲はゴロゴロと不吉な音を奏で始めた。

「ひえっ……雷……?」

「り、凛、落ちついてぇや。だ、大丈夫やて」

凛と色奈が震えながら、互いに抱きしめ合っている。……ま、まあ雷が怖い人は一定数居るだろうし仕方が無いか……

音に気づいてすぐ……だろうか。龍の睨んだ先に光が走り、ドガーンと大きな音を立てて雷が落ちた。

ひえぇ……これが、この龍の能力……?

光が眩しく、しばらく目を瞑っていたが、光が収まり、恐る恐る目をあけると雷が落ちたであろう場所に大きなクレーターが出来ていた。


「おお!早速だな!こいつの能力は……まぁ置いといて、攻撃方法は雷だけだ。見て避けたら大丈夫だから簡単だな! じゃぁ、頑張ってくれよ!」

簡単って……サンゴの声が聞こえてきたかと思うと、空の龍が再び渦を巻き、複数の雷が落ちてきた。

ひっっ!! 何度も掠りそうになりながらも必死に避ける。

「目の向きや!」

色奈の叫びにハッとなる。確かに、龍が睨んだ先に数秒後、雷が落ちている。

とはいえ、落ちる場所が分かったとしてすでに僕らは体力を消費している……避け続けられるとは思えない……

まだ数は少ないとはいえ皆が必死に避ける中、息切れしてくる人も出てきた。

「お前らは攻撃してあの龍の気を引いてくれないか?その隙に私が逆鱗まで届かせる。」

そんなこと……できるのかなぁ

そう思いつつも、何か手のありそうな古梓さんならもしかしたら……と期待を持ち、少しでも助けになればと剣を構える。

怯えている色奈たちを除いた動ける人たちが武器を構えたその時、しばらく雷が止んだかと思うと、ひときわ大きな雷が、槍をへっぴり腰で構えていた男性に飛んでいった。

「避けて!!」

悲鳴のような色奈の声が響くが、雷の速さに間に合うわけもなく、男性に直撃した。

光が収まったそこには、人だったであろう黒い塊がただポツンとあった。

「くそっっ!」

古梓さんの悔しさを感じさせる叫びに気を取られ、暫く気づくことができていなかったが、なぜか龍は追撃をせず、空に浮かんでいる。

大きな雷の後は不思議と雷が飛んでこないのか、彼だったものを横目で見ながらも一息つくことが出来た。

「雷が止んでいるうちに!皆さん攻撃を!」

栗出さんの声に、皆が思い思いの攻撃を繰り出す。先ほどの雷に恐れをなしたか、構えた人より攻撃の数は少なかったが、龍の気を引くのには十分だったようだ。


龍はうっとおしいとでも言うように首を数回振ると、再度武器を構えた僕らの方を睨んでくる。

遠目に見ると全く聞いていないようにも見えるが、僅かに傷が付いているようだった。

ひっそりと龍の下の方へ向かう古梓さんを横目で見ながら、次々と攻撃をする皆。でも僕の武器は近距離武器の剣……何かできることはないかと思いつつも、目の前で起こるであろう決着に目が離せないでいる。

龍が皆の攻撃に気を取られた隙に、真下に着いていた古梓さんがダガーを数本、少しずつタイミングをずらし、放つ。


古梓さんのダガーは龍の逆鱗に直撃し、一本目は砕け散ったが、二本目が逆鱗の先に鋭く突き刺さる。

龍は、グゥゥッと呻いたかと思うと、怒りに染まった瞳の色が薄れていき、ゆっくりと目を閉じた。

そして、大きく揺らぐと、真っ逆さまに落ちてくる。マズいっ!

だんだん迫り来る巨体に、脳が警鐘を鳴らしているのか、心臓がバクバクと脈を打つが、足はすくんで動いてくれない。

もしあんなのが僕らの上に来たら……押しつぶされる……僕らに影がかかるが、皆一様に怖がって固まっている。


しかし、サンゴが軽く跳躍し龍に触れると、迫ってきていた龍は消え、古梓さんの近くにダガーが数本降ってきた。

「うぉっ、危ねぇ」

ブックマークありがとうございます!でも不定期なのはきっと変わりないです……


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。よろしければ下の☆マークを1つでも押していただけると作者のモチベーションに繋がります!(もし気になればブックマークもして頂けると嬉しいです(o_ _)o)

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