13話。動き出すもの
ちょっと短いです!
(追記:最後に~以下略)
少し確認したところ、休憩所は一階層のものと変わりないようだ。
攻略中は不思議と感じなかった食欲と尿意が襲いかかってくる。
干し肉を食べたり、用を足したりを各自ですますと、以前と同じように男女で部屋を分け、寝た。
礼拝室や食糧庫を確認する人も居たようだが、色んな事があり疲れ切っていた僕達は皆、泥のように眠ったようだ。
……事件が起こったのは、次の日の朝だった。
目が覚めると、部屋の入り口近くで眠っていた人が一向に起きないのだ。
始めは疲れ切っているのか と。熟睡しているのかと思っていた……
しかし、ピクリとも動かない男性を訝しんだ栗出さんが近づき、脈拍などを見る。
テキパキと男性の体を確認した栗出さんが、険しい表情で言い放った言葉に、部屋は静まりかえった。
「……亡くなられています」え……?
その後、現状を共有しなければと言うことで、女性達も呼んで部屋に集まることとなった。
「これ……亡くなってはるんよな……?」
思わずといった様子で零す色奈の言葉は、きっと皆も思っていたことなのだろう。
僕にもその男性は、眠っているようにしか見えなかった。
「ええ……確かに亡くなられていますよ。ハッキリしたことは言えませんが……見たところ、首の横の小さな穴が死因では無いでしょうか」
何か思うところがありつつも、困惑しているといった様子の栗出さんが見解を伝える。
皆戸惑いつつも、怖がりそうなものだが、それよりも本当に亡くなっているのか? という考えが先に来ているようだ。
そんな空間に、久方ぶりのルリの声が響く。
《あ~朝のお知らせだ。めんどくせぇ「ルリ……ちゃんとやる……」
へいへい……》
一瞬ほんわかした空気が漂いそうになったが、ルリの次の言葉で再び凍り付く。
《“今回の”犠牲者は一人。本格的に“暗殺者”が動き始めたみたいだなぁ……やっと愉しくなってきたぜぇ!》
……犠牲者……?まさか……僕達の中の誰かがやった……ってことなのか?
「暗殺者……ですか。俺は……また」
誰かの微かな呟きがなぜか鮮明に聞こえる
そんな空気も気にせず、ルリの“お知らせ”は続く。
《「そざい……いっぱい……ほくほく」
あ~んでぇ、今回のヒントは……“非公開”か。んじゃ、お知らせは以上だ》
ヒントやら素材やら……謎は深まるばかりだが、終わりそうな放送に、皆少しホッとしていた。
進まないと帰れないということはどうしてか知っているが、次の階層に進むのは全員でなくても良いだろう。……最悪僕一人でも……
そんな僕の考えを読んだかのように、ルリがまた話し始める。
《あ“~なんか休憩所に残れば……とか考えてるやつがいるが……ハクの“お人形”になりたくなければ進むのが吉だぞ》
「どういうことなんですか!?」思わず叫ぶ。
《ま、忠告はしたぜ。
「ルリ……勿体ない……」はいはい、いーだろ別に》
それ以降、ルリの声は聞こえなくなった。
「こんなことがあっても……俺達は進まなければいけないんですね」
沈痛な面持ちの月熾さんの言葉は、皆口にこそしないものの、心に感じていたことだった。
“生きて帰るにはなにを犠牲にしようとも、前に進まなければならない”のだと……
しんみりとした空気を破ったのは古梓さんたった。
「朝のお知らせ? とやらが終わったんだろ? だったら進むべきなんじゃぁないか?」
軽い口調ながらも、どこか呆れているようだ。
「そう……ですね。すみません」
「月熾さんの言葉が……ダメだった訳じゃない……みんなどこかで思ってたこと……です」
色奈が精神的に追い詰められて以降、凛がほんのり積極的になったような気がする。
それから、皆で手持ちの干し肉の補充をしたり(あまり減ってなかったけど)、水を飲んだりといった準備をする。……皆、これ以上進んだら自分が死ぬかも知れない……という恐怖を抱えながらも、務めて明るく振る舞っている。
「おぉ!やっぱ礼拝室っていうだけあって綺麗だな~」
「……ですね。彫刻なども細やかで、技法などは俺も気になります」
「……まあ、あまり気にしすぎるなよ」
「……はい」
「二階層まで、特に干し肉など消費しなかったので、さほど追加はせずとも良いですかね」
「……でもこれからは……どうか分からない……です」
「せ、せやな。動きの邪魔にならんくらいに持っていくか」
「水が綺麗なのは有り難いよね~食べ物もあるし、飢える心配はなさそう」
「そうだね。……咲は……いや、なんでもないよ」
「そこまで言われたら気になるよ~」
「「……」」
再び雑魚寝部屋の前で集まり、意を決して扉を開ける。
そこには、朝の一連が嘘かのように男性の体は無くなっていた。
「「え……?」」
皆戸惑う中、栗出さんと古梓さんだけがさもありなんといった顔をしている
「ああ……ハクさんが回収されたのですね。思ったより早かったです」
「“今度こそ”弔ってやりたかったんだがなぁ」
二人の言葉に呆然とする
まさか……あの時蘭雨が居なくなったのも……?
戸惑っていた人たちが、落ちつくと、二人に詰め寄る。
「あ、あんたらなにか知っているのか!?」
「どういうことなの!?」
複数人でまくし立てる皆だが、二人は慌てた様子もない。
「知ってるも何も……」
「ハクが言ってただろう?」
言われて思い起こすが、思い当たることは無い。それは他の人も同じのようで、黙りこくる皆に二人は呆れたようにため息を吐く
「ハクさんは始めの方でも“足りない”とか、さっきも“勿体ない”って言っていたでしょう?」
「それも誰かが亡くなった時にな。さらには一階層の二人も、母娘も、皆の意識が他所へ向いたときに跡形もなく回収されている」
「後は、二階層の双子は死体自体に興味は無さそうでしたしね」
「そう考えると、ハクが死体を集めてると考える方が自然だろう?」
「極めつけは先程のルリさんの発言ですね」
「まあ、まだ六階層まであるし、俺らの知らない奴が糸を引いてるやも知れないが。」
当たり前のように繰り広げられる二人の推理に、皆呆然としながらも納得せざるを得なかった。
その後、二人に詰め寄った罪悪感からか、その場には微妙な空気が広がった。
「ま、まあ……皆さんの疑問は解けたようですし、次の階層に進みませんか?」
「ええ、私も賛成です。“人形”とやらの時間制限がないとも限りませんし」
月熾さんと栗出さんの言葉に頷き、次の階層への階段を下る。
降りた先の扉を開くと、また同じような空間が広がっていると、
ーー皆思っていた。
ーーーーーーーーーーー
「僕……かわいくないの……やだ」
「えぇ……仕方ないなぁぼくがやってあげるよ」
「●●……ありがとぉ」
「まったく……作るのは○○の方が得意でしょ?ぼくは操る方が得意なんだけどなぁ」
久方ぶりのルリとハク。ルリの脅しに二人のすい…り?詰め込みすぎましたかね?
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