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12話。友情

…双子、好きなんですよね

へたりこむ色奈と僕に殴りかかろうとする体勢で月熾さんに押さえ込まれる蘭雨。

「二人とも…ごめん」

考え無しで突撃したことを恥じる。


二人は駆け寄ろうとしたが、双子たちの攻撃は止まず、此方にこれなさそうだ。

「まったくだぜ。…ちゃんと俺に守られてくれよな」

「もう!心配したんだからね!こ、友だちなんだから勝手に居なくならないでよぉ…」

泣きそうな二人に、改めて自分の行動の迂闊さを知る。


そんなしんみりとした空気を変えるかのように、パンッと音が響いた。

「感動のシーンも良いけどよ。彼奴らを先になんとかしようぜ」

古梓さんの言葉で我にかえる。

僕たちが…処理…出来たのは3人。分身が消えると分かった以上、総当たりするしかなく、体力的にも皆でかかったほうが早いことは目に見えていた。

「よっしゃ!ウチに任せぇや。頼りきりじゃないこと見せたるわ!」

決して無理はさせられないが、色奈もそういってくれる。

他の人たちも「「おう!」」と決起ずく中、一人栗出さんが、なにか考え込んでいた。


「………」考え込んでいる栗出さんの双眸が、黄色く光ったような気がした。

「栗出さん…?」恐る恐る声をかける。

ハッと気づいて上げられた栗出さんの瞳は、何も変わらない黒だった。…気のせいか…

「失礼しました。皆で分身を削っていく作戦、良いと思います。」

「大丈夫…ですか?栗出さん…」

栗出さんの何もかもを識っているような瞳は、今まで青ざめた顔で震えていた凛に心配されるほどだったらしい。

「いえ、まぁ…冬野さん、少し此方に来ていただけますか?」

「なんや。どしたん?」色奈から離れはしないという雰囲気の蘭雨が共にやってきた。

「…実は、恐らくですが本体が分かりまして…」僕らに聞こえるかどうかの小声で呟かれた言葉に驚く。

「ホンマか!?…っと…どれや?」

「恐らく…コウギョクは正面の少し右。前から3列目くらいにいる方です。コクギョクは…一番奥の左側の方ですね。」

バレないように横目でチラリと見るが、違いが分からない…

双子たちは本体を悟らせないためか、ずっと黙っている。そんな状態でどうして本体が…?


「あの二人だけ、他の分身が動くよりも少し早く動いています。」

「…ああ、よぅ見てみたらそうやな…」

言われてもさっぱりなんだけど…僕だけ?

二人はその後もなにか話していたが、攻撃が飛んできたことで中断された。

「避けて!」なんとか避ける。作戦会議をしてる暇も貰えはしないようだ…

「冬野さん!攻撃の軌道をできうる限り教えて下さい!

蘭雨さんは、冬野さんの守りを!

月熾さんは全体を見て、フォローをお願いします!

暁宮さんは、他の方を守ってください!

藤弘さん、古梓さんは私と共に攻勢に出ますよ!」

栗出さんの鋭い指示が飛ぶ

「おう!「『はい!』」」


僕達は、連携も出来ないしそもそも戦えもしない。…でも、大切なものを守るためなら、勇気だって湧いてくる!

“僕は勇者だ。”自分に言い聞かせ、栗出さん、古梓さんに視線を飛ばす。

「遠距離攻撃の手段を持つ私たちが本体を狙います!藤弘さんは周りの分身と、向かってくる攻撃の対処をしてください!」

さっそく飛んできた鞭を切り落としながら、二人の方を見る。

二人はお互いをチラリと見ると、頷き合い、ほぼ同時にダガーと弾を放った。

焦ったかのように向けられる分身たちの攻撃を、色奈の声で避けたり、鞭を切り落とす。


複数放たれたダガーと弾も、分身たちが身を挺して防ぎ、各一・二個となっていた。

それも分身に防がれようとしたとき、壁となっていた分身たちが消えた。

見ると、双方共に心臓部分に短い刀で斬られたような傷がある。

「月熾!ナイスだ!」古梓さんの叫びに、その人物を見る。

月熾さんは、弧を描くように戻ってきた二振りの短刀を受け止め、優しげに笑う。

「任されたことですからね。やり遂げますよ」

ダガーと弾が双子の本体に迫り、突き刺さる。双子たちの攻撃が弱まっていき、終わると誰もが感じた。


…それは、一瞬の出来事だった。

色奈の悲鳴のような叫び声が聞こえ、色奈の方を向く。

すると、分身たちの攻撃が色奈達を襲っていた。

蘭雨が苦々しい表情で、スフィア・バリアを展開する。しかし、「ポイントがっ!」という声と共にバリアは、淡い光となって消え、色奈を複数の鞭と紫の光が襲う。

盾で庇う蘭雨だが、その背中には、黒の光と鞭が迫っていた。

「蘭雨っ!」駆け出すが、間に合わない。

蘭雨は、色奈をいっそう強く抱きしめると、分身たちの攻撃をその身に受けた。


やっとの思いで駆けつけた僕らは、思わず目を逸らした。

色奈に抱えられた蘭雨を見る。僕と同じ茶色の服の背中がビリビリに破け、赤い血が滲み出る。傷口は、グズグズに溶け、見ていられない。

「蘭雨!蘭雨!なんでウチを庇って…」

色奈の悲痛な叫びに反応したのか、蘭雨がうっすらと瞼を上げる。

「不思議…だよな…なんでか庇っちまったんだ。…そんな顔すんなよ。俺は多分他のやつだったとしても庇ってた。でも…最期に守れたのが色奈で俺は嬉しいぜ?」

内臓に響いたのか、時々カハッと咳き込みながら、蘭雨はどこか誇らしげにしている。

「蘭雨…アホやなぁ…でも、あんがとう。…つらいんやろ…もう喋らんとき…」

「ははっ…つっ…色奈…好きだっ…」

切なげに蘭雨を見つめる色奈にそう言い、一際大きくガハッと咳き込むと、満足そうな笑みを浮かべ、空へと旅立った。


「言い逃げは…ずるいやろ…」蘭雨を抱えて遠くを見つめる色奈にかける言葉が見つからなかった。

沈黙が場を支配する。度重なる犠牲者に、親しい友人の死…皆滅入っていた…


静寂をかき消すように、明るい双子の声が響き渡る。見ると、確かに攻撃が命中したはずなのに、跡すら残っていなかった。

「ノルマたっせー」「だね。」

「…あれぇ?思ったより生き残ってるね」「ね」

「どうする?」「どうする?」

「でも別に大丈夫かな?」「大丈夫だよ」

「じゃあ、またね~」「またね」

そう言い、コクギョクが指を鳴らすと、次に僕らが立っていたのは白い部屋で、双子は消え、代わりに休憩所への扉と人形があった。

疲れ切った皆も、緊張の糸が切れたのかへたり込み、通夜の後のような雰囲気ながら、もそもそと水を飲んだり干し肉を食べたりしている。


しかし、色奈は蘭雨を抱え込み、動く気配がない。…無理もない。自分を庇って人が死んだという事実が受け止めきれないのだろう

皆今はそっとしておこうと考える者が多かった。

そんな中、古梓さんが二人に近づき、持っていた水を渡す。

「いつまでそうしているつもりだ?」

怒りを堪えている表情から一転、どこか懐かしそうだが哀しげな顔をすると、

「…友の死が堪えるというのは身にしみて分かる。でも…だがな、だからこそ“生きろ”と言われたお前が生を放棄してどうする!」一喝した。

途端ほろほろと涙を流した色奈が古梓さんに蘭雨を渡し、立ち上がる。


「…確かにウチらしく無いわな。…いつか…思い出話もって会いにいったるわ…待っとってな…」

小さく呟かれたそれは、誰に聞かれることもなく、宙に消えた。

「みんな待たせてもたな!はよ入ろうや。…あ~やっと寝れるわ!」

皆が休憩所に入っていく。

失ったものは数多く、亡くした者は還らない…ただ、残された者は前に進むしかない…


バタンという音と共に静まりかえった場所は人形と扉以外、なにもない空間が広がっていた。

これははたして恋愛なのでしょうか…

(なんか意味深に終わってますけど、続きます!)


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。よろしければ下の☆マークを1つでも押していただけると作者のモチベーションに繋がります!(もし気になればブックマークもして頂けると嬉しいです(o_ _)o)

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