11話。新たな犠牲と勇者の覚悟
前話雑ですみませんでした…投稿すると何処を変えれば良いのか分からなくなってしまって…
※特にグロテスクなシーンがあります。苦手な方は読み飛ばして下さい
コウギョクの鋭い鞭の一撃で、少女はバランスを崩した。
足を踏み外し、マグマへ落ちていく少女。
「いゃだぁ…あついよぉ…ぉかあさん…」
周りが動くよりも一足早く、驚くほどの早さで駆け抜けたのは、少女の母だった。
ふわふわとした足場を一気に駆け抜け、落ちた少女を捕まえると、力を込めて抱きしめた。
そして、覚悟を感じる声色で、泣きじゃくる少女を抱えながら
「怖くないわ…ママも一緒に行くからね………みなさん…さよなら」
そういって親子はマグマに消えていった。
沈黙が広がった。
「ウチが気づけば…」悲痛に歪んだ顔で色奈が呟く。
「仕方の無いこと…とは言えませんが、全てを冬野さんに任せていた私達にも責があります。」
「そうだぞ。俺だって…バリアを展開していれば…」
皆、相次ぐ死に精神が削られていっているようだ。そういう僕だって、口先だけで動く勇気も無い無能なんだと痛感する。
ここは無慈悲な空間。命は容易くこの手から零れ落ち、掬い上げることも許されない…
暗い雰囲気の中、明るい声が響きわたり、
「あはは~♪おどれ~」「おどれ♪」
死を弔う暇など与えないとばかりに、鞭と光が飛んでくる。
「光、右!鞭、真ん中!…」
色奈の声で皆必死に避けていく。そろそろ…体力の限界が…
暫くして、
「飽きた~」「飽きた?」
「2つだったら良い~?」「そだね。」
そんな声と共に、攻撃が止む。警戒は解かずに居たが、色奈の「…大丈夫そうや」という声で全員がへたり込んだ。
…これ以上、色奈ひとりに負担をかけるわけにはいかない。
しかし、ここではそんな安堵も長くは続かない。
「つぎいこ~」「次だね。」
双子の声は更なる絶望を与えてくる。
「つ、次…?まだあるの!?」悲鳴のような声がどこからともなく聞こえてくる。
「ちょっと待って下さい!皆体力がほぼ尽きています!この状況で次のことをしても、あなたたちは“愉しめる”のですか?」
月熾さんが訴えるが、これまでの双子の理不尽さを見ていると通るようにも思えない。
「大丈夫でしょう」
「栗出さん…?」
「あの双子は“愉しませてね”と言っていました。自分たちが愉しくなるならある程度の要求は通るはずです。…それにあの人ですしね」
「なにか言いました?」あれ?最後…
「いえ?なにも」平然とした顔で返す栗出さん…なんだったんだ?
二人で話している間に、あちらでも話が進んでいるようだ。
「ス…仕方ないな~」「仕方ないね。」
「お願い~コクギョク~」「はぁ…分かったよ。」
コクギョクが面倒くさそうに杖を振る。
杖の先から淡い翠色の光が飛び出し、向かってくる。
またなにかあるのか!?と身構えるが、範囲が広く、避けきれない。
全員に光が直撃し、眩しさに目を閉じながら襲いかかってくるであろう怠さに備える。
十数秒経っても、怠さは無かった。むしろ疲れが取れるような感覚までする。
「回復…ですか。確かに俺達の回復を待つよりかは楽ですよね」
「ふ~ん…紫はデバフで翠は回復ってとこか。」古梓さんがため息を吐きながら面倒くさそうに話す。
光の色で効果が変わる?まるで物語みたいだな…と呟いてから、この状況自体が非現実的だったな…と苦笑する。
そこから数分も経たないうちに、コウギョクが怒りだした。
「も~いちいち考えないと気がすまないの?人間ってめんど~」「めんどくさいね。」
「もぅ良いかな~?」「良いでしょ。」
そういうと、コクギョクが指を鳴らす。
この場所に来たときと同じ状況だ。全員が武器を持って身構える。今度こそ…!
一瞬立ちくらみがしたかと思うと、怪しげな紫の空が広がる公園に居た。思いも寄らないことで周りも固まる中、誰かが呟いた「ここは…?」という声が広く響く。
「何言ってるの~?」「どうしたの。」
「さっきから言ってるじゃない」「ね」
「ここはアタシたちの」「ボクたちの階層」
宙に浮いている双子が愉しげにキャハハと笑いながら続ける。
「次はかくれんぼ」「鬼ごっこ」
「鬼はアタシたちで貴方たち。」「ホンモノのボク達を倒してみて」
「「さあ、遊ぼう?」」ニタリとした笑みを浮かべたかと思うと、コクギョクが杖を振る。
途端に灰色の光が溢れ、双子を包んだ。
…次の瞬間、双子は増えていた。
「…え?」
誰かがそう呟く…いや、僕の心の声が漏れたのかもしれない。
双子たちは不気味に揃った動きで笑う。
「「『ホンモノはだぁれ?』」」
ー数分後、僕達は必死に四方八方から飛んでくる攻撃を避けていた。時折色奈から何処に攻撃が飛んでくるか知らせる声は上がるが、頼り切らないと心に決めたばかりだ。双子たちが武器を振りかぶるのを予兆として、皆で支え合いながらなんとか避けていた。
しかし、そんな状況も長くは続かず、数を増し、止む様子のない攻撃に皆が疲れ始めた。
“双子を倒せば良い”そう思うかもしれない。ただ…これまで平和な場所で暮らしてきた僕達だ。いくら非日常にあって麻痺しているとはいえ、人を傷つける勇気など無かった。亡くなっている人が居るのに だ。
もう自分がやるしかない。と震える手でこれまで使うことのなかった剣を握りしめる。
剣術などやったこともない。皆、経験のある武器や役職にみあう武器を持つ中、僕にこの剣が渡された意味を考える。
…僕は…勇者だ。既に犠牲があるとしても、更なる犠牲が出ないよう皆を守り、闘うのが使命なんだ…
意を決して剣を構えた。顔を上げると鞭が迫ってきていたが、切り落とし、振るわれた方を見る。
なぜだか、出来る気がした。ふかふかとした足場を蹴り、跳躍する。一人のコウギョクと同じ高さまで跳ぶと、剣を振るう。
体の動くままに従い、コウギョクの首を落とす…
首に食い込む剣から、直に感触が伝わってきた。
ブチブチという音。柔い肉を切る感覚…固い骨さえも断ち切り、コウギョクの首は斬れた。
1拍の間が空き、首から赤い血が吹き出る。生暖かい鮮血を浴びながら、呆然とする。
落ちていく自分を他人のように見ながら、血は同じ赤なんだ…と、とりとめの無いことを考えた。
それが良くなかったのだろう。何処からか黒の光が飛んできた。それだけならまだしも、鞭も向かってくる。
落ちている今、避けられるとも思えず、誰かの息を飲む声が聞こえる中、諦め、目を閉じる。
「蘭雨…咲…ごめんな…」
でもやっと勇者らしいことが出来たかもしれないと微かな喜びを感じながら、最期の時を待つ。
気のせいだろうか。目を閉じる寸前、キラリと光る一筋の線が見えた気がした。
いくら待っても気だるさも衝撃も訪れず、ふかふかとしたものに落ちた。
恐る恐る目を開けると、飛ぶ前の場所だ。
さっきの攻撃と光の線は!?と攻撃が向かってきていたであろう方を向くと…
額にダガーを生やすコウギョクの一人と、頸に穴の空いたコクギョクの一人が居た。
二人は赤い血を流したかと思うと、ボロボロと崩れ、消えていった。
慌てて自分の体を見ると、至近距離で被ったはずの血は綺麗さっぱり消えている。
ダガーと銃…と、栗出さんと古梓さんの方を見ると二人とも武器を振り抜いた姿で止まっていた。
しかし、僕が起き上がったのを見ると、駆け寄ってくる。
「無茶はしないでください!何のために私たちが居るんですか!」
「すみません…」ただただ謝ることしか出来ない。
「それは、あそこの二人に言った方が良いだろ」
古梓さんの言葉に、示された方を見る。
そこには、へたりこむ色奈と殴りかかろうとする体勢で月熾さんに押さえ込まれる蘭雨が居た。
「二人とも…ごめん」
考え無しで突撃したことを恥じる。
考えてたネタを逆に書いて慌てるアホは私です…
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。よろしければ下の☆マークを1つでも押していただけると作者のモチベーションに繋がります!(もし気になればブックマークもして頂けると嬉しいです(o_ _)o)




