8話。休憩所にて
休憩所の話…前回で終わるつもりだったんですけどね…
※この1話には、特に暴力的?な表現が含まれます。苦手な方は飛ばして下さい。
ハクがいつの間にか消えた後、2グループに分かれて取り敢えず休憩所を見て回ることになった。
示し合わせた訳ではないが、自然とこれまでの8人で集まり、左側の雑魚寝部屋と言われた部分から見に行くことになった。
「わあっ…広っ」
白く簡素なドアを開けると、10人は寝転べそうな程の広い部屋が広がっていた。
部屋の隅には毛布が積み重なっている。
「これもう一つあるなら、女性と男性で分けられるんじゃない!?」その手があったか!
「それが良いですね。女性の方達も安心するでしょう。」
「こんな状況になっている時点で安心もクソもないけどな」
「にしても不思議ですね。まるで俺達がこう考えることがわかっていたようです。」
普通部屋が2つあったらそう考えると思うけどな…
「考えすぎやろ!次礼拝室?見にいこぅや」
礼拝室の扉は、さっきの部屋とは違い、シンプルながらも見たことも無い植物…蔦のような装飾がなされ、真っ白でどこか荘厳だった。
「な、なんか綺麗やな…」
「礼拝室…わかりやすい…ね」
僕は宗教を信じていないけど、少し触ることを躊躇してしまいそうな雰囲気があった。
「?入るぞ~」
「ま、待って、蘭雨」躊躇ないな…
扉を開けると、真っ白な神殿だった。部屋自体は広くない筈なのに、その清らかさや荘厳さに圧倒されそう…
「すげぇ~」
「あれ、祭壇…ですかね?私が知っている宗教とはまたちがう形のような…」
「そうなんですか?」
そういえば…浮いている人と蔦みたいなのが描かれている不思議な祭壇だな…綺麗としか思わなかったけど。
「それに神像…ですかね?確かに俺も見たことはないですね。」
全部で9体…柱?居る像は、様々な特徴を持っていた。
真ん中に、中性的な容姿の竜の翼と角を持った像。そこから左右に分かれ、右側が女性、左側が男性のように見える。
左右は対照的で、それぞれ夫婦神と言われても納得してしまいそうなほどだ。
奥から、耳の尖った細身の像、がっしりとした小さな像、狼のような狐のような耳と尻尾を持つ像、人間?のような像…。
さらに天井には、輪郭がぼんやりとした小さな人々が空を飛んでいる様子が描かれている。
「り、竜人族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族、人族…それにあれは妖精…!?厨二病を通った者なら分かる…!」
さ、咲…?
「…ふん…天龍…ね…。…を…」
「? 誰かなんか言ったか?」
なにか聞こえたのか?
「いえ、気のせいではないですか?」
「蘭雨、もうボケだしたの?」
「そんな年じゃねぇし…」
気のせいだと思うけどなぁ。
「なんかここで言い合ってるのって失礼な気がするから、次行かない?」
ここまで綺麗な礼拝室でケンカしたくないや
「確かにな。凛、いこぅや」
「し、色奈…待ってよ…」
にしてもなんで礼拝室なんかあるんだ?しかも誰も知らない宗教?の…
「次は…水回り行きます?」
「そ、そうやね!はよ寝たいし」
って…そういえばお腹も空いてないし眠くもないな…
「蘭雨、まだお腹空いてないの?」
「そういや、いつもここまで動いてたら腹減る筈なんだがなぁ。」
「ここまで来ると、この空間は不思議で片付けてしまいたくなりますね」
「おい探偵、それで良いのか…」
「起業家の貴方ほどではないですよ。仕事が心配じゃないんですか?」
「ま、彼奴らがいれば大丈夫だろう。大きな山は超えたしな」
「ふ~ん…そうですか…」
な、なんか険悪…?
「ま、まあ!兎に角見に行きませんか?俺もまだ喉も渇いてないですけど、これからもそうとは限りませんし…」
礼拝室から出て、水回りと言われた部屋に行くことになった。
中に入ると、真っ先に目に入るのは、大きい噴水だ。
「なぜ室内に噴水があるんだ…?」
「水浴びするためちゃう?」え、てことは…
「これが…お風呂と手洗い…の代わり?」
「てことやな!や~夏で良かったわ」
そういう問題ではないよね?
「え~私やだよ、しかもこの穴、壁に囲われてるとはいえ、トイレでしょ。信じらんない…」
え?咲の指す方を見ると、確かにトイレであろう穴が壁に囲われていた。…ちょ、直接ここにするのか?
「ん~、でもさっきから尿意も便意もねぇぞ?」
蘭雨、んなあけすけな…
「蘭雨はデリカシーが足らないの!もう、さっきも言ったけど~」
「分かった!わかったって!」
「分かってないでしょ!いつも行ってるじゃない~」
さ、咲…説教また始まっちゃった…
「触らぬ神になんとやら。だな」
「たたりなし。ですよ。」巻き込まれませんように…
咲の説教が一段落してしばらく、月熾さんがポツリと呟いた。
「もしかすると、俺達は極限状態なのかもしれませんね」
「いえ、それがあるとするならば、藤弘さん達ならまだしも全員ではないでしょう。」栗出さん?
「なんでなん?それっぽいけど?」
「少なくとも私はこういうことは慣れてるので。流石にここまでではなかったのですが…まぁ、色々…」
よく分からないけど、凄いことがあったんだな…
と、ひと息つこうとしたころ、突然声が聞こえた。
《あ~スマンスマン。忘れてたことがあった
「ルリ…おっちょこちょい…」
るせぇ!ハクは黙っといてくれ。
「ん…だまる…」》
何を見せられてるんだ僕らは…
《ほいっと… ‘ポチッ’》何かを押した音がする。
‘グ~’
音の主に視線が集まる。
「き、急にお腹空いて…それで…ウワァァ!!」
咲、ちょっと待って!…止める間もなく、目を疑うような俊敏な動きで部屋の隅に逃げていってしまった。
「俺も腹減った!のども渇いたし、食糧庫?てとこ早く行こうぜ!」
「せ、せやな。とりあえず行こや。ウチもお腹空いたしな」
「お水…ここだけ?」
「…少なくとも噴水の水は飲料用とも言えるみたいですね。」
栗出さんはなんでそんなこと分かるんだろう…
「ま、なら多少でも飲んでいくか。」
咲は躊躇していたが、皆が飲み始めたのを見て、自分も…と飲み始めた。
「ふ~生き返ったぜ!」
「意外と美味しかったですね。あ、噴水から出てる水は安全ですけど、下に貯まってるのとかは水浴び場でもありますし、飲まない方が良いですよ」
「はよ言ってぇな!」
「のんだ…の?」
「の、飲んでへんし!」
水回りの部屋から出て、食糧庫に向かった。
「おぉ~棚いっぱいに食べもんがある…」
「でも…乾パン?と干し肉しかない…」
バリエーションは無いな…この状況で求める方がダメかも知れないけど…
「ん!この干し肉んめー!」
「蘭雨はバカ舌でしょ!というか、毒とか入ってるかもなのになんでも口に入れないの!」
「まあまあ、いけるようやし、んな言わんといたってぇや」
はぁ…賑やかだなぁ
「食べ物は心配しなくて良さそうですね。次に休めるのはいつか分からないので、動ける範囲で持っていきましょう。」
「あ、栗出さん、藤弘さん、こっちに水を入れられそうな袋がありましたよ。」
「月熾さん!ありがとうございます。皆、1袋ずつ持っていこう。さっきの部屋の水汲めるだろうし。」
「…わかった…」
凛さんと話すのちょっと苦手だな…何考えてるのか分かんないや。
一通り部屋を見て回って、1つ目の雑魚寝部屋でもう一つのグループと合流した。
「やだぁ…帰りたいよぉ…」
小学一年生くらいの子が、お母さんに抱えられて泣いている。
「なにがあったんですか?」
「それが実は…」
どうやら、さっきのルリの声から疲れがドッと来て、急に泣き出してしまったみたいだ。
「この状況では仕方がないですよ。」
《ん?帰りたいのか?なら負ければ良い》
「「なっ!?」」それはつまり…
お母さんが子どもを抱えて、後ずさった。
なんか急に存在感出してきましたね。もう一つのグループ。…別に作者が忘れてたというわけでは無いんですよ?
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