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(株)流れ星

作者: 読色

 面接官は、就活生に視線を合わせ、真剣な面持ちで口を開いた。

「流れ星になりたいという情熱は素晴らしいです。あなたがこれからの夜空を担う人物であるることを期待しております。それでは意気込みをお願いします。」

 就活生は流れ星になるべく、アピールを始めた。

「私は流れ星になるため、この場所にやってきました!流れ星はただ流れるだけでなく、懸命に願い事を叶えるために輝くものです。私もその輝きの一部になりたいのです!」

 就活生は続けた。

「私はとても足が速いです。リレーの選手に選ばれなかったことはありません。この足の速さで、1級流れ星になるためにここに来ました。福利厚生面がしっかりしている御社であれば、最高な流れ星として御社に貢献することをお約束します。」


 面接官は彼の情熱に打たれた。彼の心の中に、星になるポテンシャルを感じていた。


「素晴らしい。あなたは正に人々の願いをのせて走るために生まれてきたのですね。内定です。文句はありません。」


 就活生の緊張が解け、合格の安堵が顔に浮かんでいる。

 面接官は微笑みながら続けた。

「それではこのまま、業務説明に入っても問題ありませんか?」

「はい。よろしくお願いします。」

「まずは、勤務時間帯の説明ですね。出勤は夜10時〜深夜3時までです。新人のうちは研修もあるので夜9時からのスタートです。」

「あの、すいません。今の働き方改革の時代に夜勤はちょっと…。」

「でも、あなた先程あんなにも流れ星への情熱を語っていたじゃないですか!!」

「申し訳ありません。ですが仕事とプライベートを両立させたいので、内定は辞退させていただきます。」


 それから25年後、流れ星人材の高齢化と深刻な人手不足のため、日本の夜空から流れ星は消えてしまった。


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