転
「手下の男爵にやらせればいいんじゃね?」
そう言った時の使者の顔は見ものだった
まさに
<ガーン>
って感じだったね
王命をまさかの拒絶
まさに常識が覆った瞬間だもの
当然といえば当然であった
話を少し戻す
無事に盗賊退治で実戦を経験したところで
「魔族を討伐しろ」
とかお貴族様が偉そうに命令してきた
・・・地球から無理やり召喚して拉致しておきながらなにいってんだこいつと思ったね
おまけに一方通行で帰ることができない
よく自分が好かれているとか勘違いできるものだと逆に関心したね
この頃になると騎士団での訓練や盗賊討伐を通じて色々な人と知り合った
当然親しくなった人間もいる訳でそれなりの派閥もできた
・・・権力と言うのは数だからね
たとえこの国を亡ぼすための手ごま集めだという打算から始めていても派閥は派閥
勇者としての戦力が自由に使えるとなると派閥に入りたがる人間は結構いたね
・・・お互いに打算で成り立つ友情(笑)
ようやく嫌なことは嫌と言えるほどの力を派閥が付けた頃に勇者本来の仕事である魔族の討伐の話が来た
最初は請け負ったよ?
魔族相手に魔法や剣がどれくらい使えるかを知らないとお話にならないからね
結果として勇者の力は凄かった、ということが判った
いや魔王だって倒せるかもしれない
それが判るとお貴族様は増長してきた
・・・自分の力ではないというのにだ
勇者の力を自分の力だと勘違いするのには苦笑したね
まあ目の前では押し殺したけど
もちろん低調にお断りした
平民だけならいざしらず貴族が戦争で殺された?
絶対に許せない
ここは勇者の出番ですぞ?
だそうだ
もちろん断ったね
勇者を異世界召喚で拉致した貴族や王族は絶対に許さない
全員まるっと皆殺しだ!
というのがボクの本心
そのために今まで耐え難いを耐えてきたんだ
ここからはようやくざまあの時間だ
勇者の派閥でない貴族が死んだとしても全然問題がない
いや魔族よ、もっとやれ!
そう応援したいくらいだ
・・・実際に戦いにでなくて二次的に応援しているんだけどな
一応勇者派のお貴族様のためには戦っている
そのおかげで勇者派の貴族からの援護が凄い凄い
よっぽど国王派の貴族は嫌われていたんだね
という訳でお貴族様の討伐依頼を断っていたら最後には国王からの王命となった
もちろん断ったよ
それが冒頭
男爵位しかくれないくせに働かせようとかシワイんじゃね
そんなんだったら国王派の男爵に命じればいいんだよ
魔族なんて男爵程度で楽に討伐できるんだよね?
だったら勇者なんて頼る必要なくね?
今までの仕返しも込めて拒絶したのは間違っていないはずだ