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9話 従者のお仕事

よろしくお願いします!

翌日、学園が終わって、私は門をでた。

門の前には、迎えの馬車がずらりと並んでいる。

が、私は、そこを素通りした。

普通、貴族の子どもは馬車で学園に通うけれど、私は馬車に乗らない。


そう、走っている!

屋敷が近いこともあるけれど、もちろん、理由は体を鍛えるため。


さあ、今日も走るぞ! と、気合いを入れた時…あれ、ルド?!


ルドが門の前でちょこんと待っていた。不安げで、心細そうに立っている。

どうみても、自分より年下の少年みたいだよね…。

が、私を見たとたん、嬉しそうに近寄って来た。


「おつかれさまです、マチルダ様。お迎えにあがりました。今日からよろしくお願いいたします!」

そう言って、丁寧に頭をさげたルド。


「あ、こちらこそ、よろしく…。って、迎え…? ええと、私、いつも走って帰るんだけど…?」


ルドは決意を込めたように言った。

「はい、お屋敷の方にお聞きしました。従者として、ぼくも一緒に走ります」


「…え? いや、…でも、ルド、走れるの…?」


どう見ても、体力がなさそうなんだけれど…。


「この学園までお迎えにくるのに、実家の馬車で来ました。なので、体力は温存してあります。片道ならなんとか走れるかと…」


「そう…」


色々、つっこみどころが多すぎる…。


まず、迎えにくるのに実家の馬車って…。さすが、シュバイツ商会のご子息。

従者のルドのほうが、お金持ち感がすごい…。


「では、マチルダ様。おかばんをお持ちします」

ルドは、そう言って、私のほうへ両手をさしだしてきた。


「あ、いや、このバッグ、重いから」


「いえ、お荷物は従者であるぼくが持ちます」

なにやら決意をこめたような目で、私に訴えてくるルド。


まあ、無理だと思うけど、持ってみたらわかるか…。


「じゃあ、お願い」

そう言って、バッグを手渡した。


そのとたん、ずんと、ルドの両手がさがる。


「お、…重い…。…なんで…?」


「バッグの底に、おもりを入れてるの。せっかくバッグを持つなら、鍛えたいからね。だから、ルド。バッグは私が持つ。気を使わないで」

そう言って、ルドからバッグを取り戻す。


「そんなに努力をされているなんて…、マチルダ様はすごいですね…」

ルドが、尊敬のまなざしで私を見ながら言った。


「いや、それほどでも…、フフフ」


ルドのまっすぐな賞賛を受け、私の心は舞い上がる。

いつも、あまり褒められない私としては、素直に嬉しいから。


そんな舞い上がった心に水を差すかのように、

「おい、マチルダ」

と、背後から声をかけられた。


えらそうな声。振り返らなくても、誰だかわかる。面倒な奴がきた…。


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