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1話 憧れの方

「無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?」のスピンオフとなりますが、この作品だけでも読めます。

よろしくお願いいたします!

私、マチルダ・ターナー、10歳。


私のお父様は子爵であり、騎士でもある。

というのも、ここは辺境。隣国と国境を接する大事な場所。攻め込まれた歴史もある。

辺境伯様のもと、ターナー子爵家は代々、騎士として辺境を守ってきた。


で、私のお父様は、現在、辺境騎士団の副騎士団長を務めている。


5歳の頃、お父様について騎士団に行った日、私の視線は釘付けになった。

視線の先は、騎士団の練習試合。


金色の髪の毛を後ろでひとつにまとめ、騎士服を着た、すらりとした女性。

騎士団長様であり、辺境伯様であり、なんとこの国の王妃様だという。


大男の団員相手に軽やかに剣をふるうその姿に、雷にうたれたような衝撃が走った。


私も、あんな騎士になりたい!


その日から、私は3歳年上のアール兄様と一緒に、お父様に剣を習いはじめた。



それから5年、剣をにぎらない日はない。

なのに、お母様が、私に剣の練習をやめて、刺繍をしなさい、などと言うようになった。


「なんで? 騎士になるのに刺繍は必要ないよ? お兄様も刺繍はできないし」

私がそう言うと、お母様は大きなため息をついた。


「マチルダは女の子でしょ。お父様のように騎士になって、ゆくゆくはこの子爵家を継ぐアールとは違うの。あなたは、騎士になるのじゃなくてお嫁にいくの。だから、剣の稽古ではくて、立派な令嬢になれるように学ばないといけないわ」


え? 私が女の子だから騎士になれないの? そんなの嫌!

私は、絶対に騎士になる!


そう思っていたのに、剣の腕は強くても、お母様に弱すぎるお父様。

お母様の指示で、私はお父様の剣の稽古を受けられなくなった。


そのかわり、刺繍を習わされたり、マナーのレッスン、ダンスのレッスン、お茶会…。

そんな日々が始まった。つまらない…。


ある日、お母様はおでかけ。その間に、刺繍の宿題をだされた私。

不機嫌な顔で、ぶすぶすと針をつきさしていたら、お父様が私を外へと連れ出してくれた。


馬車に乗って行きついた先は、辺境伯様のお城。

お父様は、今日は騎士ではなく、子爵としてお仕事をしにきたみたい。

だから、騎士団の練習場じゃなくて、お城へと入っていった。


お父様を待つ間、メイドさんが、お茶とお菓子を用意してくれた。

美味しく食べ終わった時、部屋の扉があいた。


その瞬間、私は小さく悲鳴をあげて、立ちあがった。


というのも、お父様の前を歩いてくるのは、私の憧れの方!

そう、辺境伯様で王妃様、そして、騎士団長様!


最初に見た時のように、今日も、輝くばかりの金色の髪をうしろに束ね、かっこよく騎士服を着られている。 

衝撃のあまり、ぼーっとしていると、お父様に声をかけられた。


「マチルダ、辺境伯様で王妃様で、私の上司、騎士団長様だ。ご挨拶をしなさい」


私はあわてて、たちあがって、カーテンシーをした。


「マ…、マチルダ・ターナーと申しますっ!」


「ほー、この子が、ブライトの娘か。いい目をしている。よろしく」

そう言うと、騎士団長様が、すっと私のほうへと手をさしだしてきた。


えっ! もしかして私と握手をしてくださるってこと?!


私は、ドレスで自分の手をおもいっきりふくと、ふるえる手をさしだした。


騎士団長様がククッと笑う。美しいハシバミ色の瞳がきらりと光った。


目があっているのが夢のようで、ふらりと倒れそうになるが、差し出した手をがしっとにぎられ、ひっぱりもどされる。


さすが、騎士団長様! すごい力だわ!


読んでくださった方、ありがとうございます!

この週末に、多めに更新いたします。よろしくお願いいたします!



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