第94話 デートプラン
☆☆☆待ち合わせ
メルとデートをすることになり約一時間後。一度解散し自分は王都の広場で変装して街に溶け込む。
「あ! 自分君~~~いたいた~~」
待ち合わせの場所にメルは手を振り走ってくる。オネエが見繕った衣装で変装しており、喋らなければ本当に美少女であることを実感した。
「待った?」
「いいや、今来たところだ」
「嘘つけ~うそうそ~ほんとは私とデートしたくて仕方なかったんでしょ? 早まっていいんだよ?」
「いや、これがテンプレートだから」
「……そういえば、漫画にもそんな会話があったね……へえ、そちら側じゃこれがお決まりなんだ~」
そういうことだと、肯定する。
「それじゃあ、今日は私をエスコートしてくれるんだよね。めちゃ期待しちゃう!」
そうすると、メルは自分の手を優しく握る。ふとジエイミに強く握られた時が脳裏に浮かんだ……トラウマになっているなこれは。
デートは自分がエスコートするが、異世界の恋愛模様と元居た世界の常識がとうに離れていることは自覚している。
デートプランを練っているが、果たしてどれほどの通用するのだろうか……
「……今びくっとしたのって、ジエイミに強く握られたことによる影響かな?」
「そうだ……」
「私はそんなことしないって……確かに私の力でもよわよわな君を制圧することなんて簡単だけどさ、だって、それじゃあ本当の君を手に入れることなんてできないのだから」
こいつ、ほんとぐいぐいくるな。
☆☆☆占い師に気をつけろ
そのまま当たり障りのない会話をして王都の街を歩く。
すると、いかにも怪しげなローブを被った女性に声を掛けられる。
「……以前とは別の女性と歩いておいでで」
机には水晶が置かれ座っているローブの女性の顔は見えない。恐らくは占い師だ。
そして以前と違う女性と歩いていたというのは、恐らく喧嘩をさせるための作り話だ。
……この占い師、自分達に嫉妬しているのは明らかだろう。
「(何よ……二人で幸せそうにいちゃいちゃしやがって……こっちはこんな場所で占いやっているっていうのに腹が立つわ! 喧嘩でもさせてたろう!)」
みたいなこと考えてそうだな。
つまり、自分が二股している口実を作り破局させようという魂胆だ。
そこで一瞬メルと目が合った。恐らく彼女の知能なら、これは占い師の嘘だと気付いているだろう。
一瞬彼女は悪い笑みを浮かべ、そしてすぐに怒りの表情を作る。
「ちょっと……どういうことなの! 君は私のことだけを愛しているって言ったのに! 誰なのよその女!」
胸ぐらをつかみ優しい力で振り回す。
「い、いや、恐らくそこの婦人の見間違いであるだろう!」
「そ、そうなの……? じゃあ、この人の見間違いってこと?」
「いいえ、確かに貴方でした。私は占い師です。一度見た顔を忘れるわけがない」
ぜってぇ嘘だろ。
「どういうことなの! 私のこと遊びだったの! ずっと好きって言ってくれてたじゃん! 誰なのその女ぁぁぁぁ!」
「い、妹だ……」
これも嘘である。
「あんた妹いないって言っていたじゃないのおぉ!」
「生き別れた妹がいたんだ! ちょうど再会して感動したんだよ!」
「え、ほんと?」
感情をころころ変えている。メル……正直この状況を楽しんでいるだろ。
「いいえ、あれは確かに恋人のようでした。その女性に対し『愛している』と何度も言って……」
どんだけ作り話得意なんだこいつ。
「やっぱり違うじゃないのおぉぉぉ! どうしてそんな嘘つくのよぉぉぉ!」
自分のことを優しく突き飛ばす。
「もう! 最低! あの時の思い出も……全部嘘だったんだ!」
恐らく普通のカップルなら破局して、この嫌がらせ占い師の思う壺だったのだろう。
だけど、占い師は完全に喧嘩を売る相手を間違えた。
「……最低! 浮気男! 変態!」
占い師は勝利を確信しただろう。メルと自分が破局する。
「でも好きーーーーーー!」
そういいながら、メルは自分を抱きしめる。
「は?」
予想外の言葉に占い師はきょとんとした。




