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第93話 修羅場は大変です

☆☆☆ヒト族


ちなみにヒト族についてメルから説明を受けた。


『人間族』とはヒト族と魔族の混血であり、この国の大半を人間族が占めている。


ヒト族というのは絶滅したとされる伝説上の生物。唯一ヒト族が在住するのがモブコザ村であり、周りとの繋がりを断ち切っていたらしい。


というのも、自分はエクシリオ・マキナではないので回想の出来事しか知らないが、あの村の中では強かったはず。ヒト族で魔法を使えるのは希少らしい。


つまり、ヒト族の中でエクシリオは最強なのだろう。


しかしそれは『ヒト族』の中での話だ。いざ『人間族』の世界に足を踏み入れればその力の差に彼は絶望したはずだ。まぁ、その前に自分が乗り移ったのだけど……


エクシリオが優れていると信じていたものは小さい世界の中だけだ。


大きくなりたいと世界に羽ばたけば羽ばたくほど自分の無力さを知る。


結局のところエクシリオはその実力と自惚れによりモブコザ村を出た。


確かに自分がマジョーナなら、あんなに利用しやすい生け贄はいないだろう。


簡単に殺せて勇者の代わりも務まる……使い捨てにはばっちりだ。


まぁ、自分が乗り移ったせいでマジョーナはとんでもない目に合ったのだけど……


後日ドビーから聞いたがジエイミを処刑しようとしたのは『勇者機関』だったらしい。


こいつらは勇者が勇者らしく死ぬことを信念に抱いており、戦いが終わることを恐れていたらしい。ずいぶん狂った信仰心だこと……


結局マジョーナはまた自分に騙されたということになる。恐らく次に会えばぶん殴られること間違いなしだ。


適当にでっち上げた『黒幕』という存在が実在して勇者機関だったのは驚いた、完全抜け落ちていたし適当に言ったんだけどな……


勇者機関の拠点もドビーが破壊してくれたので、今後ジエイミに何かしてくることはないだろう。ユーシャイン達も無事だったみたいだ。


☆☆☆修羅場その3


まぁ、立場は変わりジエイミが何かしてくるんだが……


「エクシリオさん……おはようございます」


今日も自室にてジエイミに押し倒されている。両手を掴まれ身動きが取れない。


「っぐ……放せ!」


「大丈夫です……今度は痛くしません。エクシリオさんの扱い方がなんとなく分かってきましたから! 要は花を扱うように……優しく逃げられないように……」


言われた通り力の加減が上手くなり痛くはない。花は逃げないだろ……


だけど、圧倒的な力に押しつぶされる恐怖感があり、普通にジエイミが怖い。


正直これならば、最低だと拒絶されていたほうがまだマシだったかもしれない。


本当に怖い……怖いんだよジエイミが……


「この状況じゃないとどうして口を聞いてくれないんだよ……」


「エクシリオさんが騙していた罰です。受け入れてもらわないと困ります」


「い、いや、怒ってないって言ってただろ。ただ適当な理由でっち上げてジエイミがこの状況を楽しんでいるだけじゃないのか?」


図星だったのか目を反らす。


「……えい!」


手に力が加わると痛みが走った。


「がががが! ギブギブギブ!」


「……だって、こうでもしないと。エクシリオさんと面と向かって話せませんから」


「い、いや、ふ、普通に話そうよ、ジエイミは、好きなこととかあるだろう?」


「エクシリオさんです」


好きであることを否定しなくなっている。


「それは相手だよ。趣味だ趣味!」


「エクシリオさんです」


「趣味がエクシリオってなんだよ! 弱い者いじめが趣味なのか? お前には勇者としての誇りはないのか!」


「だって……エクシリオさんが弱いのがいけないんですよ。それに勇者らしくあろうとすることが、最も勇者から遠ざかると提言しているがエクシリオさんじゃないですか!」


まぁ自分は最も勇者から遠い存在であるのは認めよう。


「それに……彼女に取られるくらいなら……このまま……」


「はい、ストップ」


そこにメルが入ってくる。装置による攻撃でジエイミは一瞬自分から手を放す。


「っち……邪魔しないでよ……」


「彼がかわいそうじゃない。ほらほらこんなに怯えている。はいはいよちよち~怖かったでちゅね~ママですよ~」


頭を撫でられるが正直馬鹿にしてるとしか見えない。なんでバブみ出そうとしてんだよ……


「……あなたには関係ない」


「いいや、関係あるね、そんな無理矢理力でねじ伏せるなんてほんと野蛮だよ。これ、マジでみんなに見られるんだよ? それに心を手に入れないと意味がないんだから」


「心ですか……」


「ほらほら、『自分君』こんな女ほっといて私とどこか行こうよ~ユーシャインのライブでもいいよ?」


それはお前が行きたいだけだろ。


「私は無理矢理なんて絶対しない。安心して! ただ君と仲良くしていちゃいちゃしたいだけだから。ほら、それに私って束縛しないタイプでしょ?」


正直に言うと今のこの状況では、メルのほうがまだ……少しだけましかもしれない。


それもメルの秘策なのだろうか、それとも完全にジエイミが暴走しており、手が付けられなくなっているのか。


「私も仲良くしたいです! エクシリオさん! どっちがいいんですか!」


「いや、どう見てもアレは仲良くする態度じゃないだろ。ジエイミ考えてくれ、誰でも屈服させられると恐怖を感じるんだよ」


ごく一部の変な人を除いて。


「……でも、エクシリオさんちょっと、喜んでいませんでしたか? 最近あまり抵抗していないですし」


「いやいや、なんでそうなるの? 抵抗しても無駄だから諦めているんだよ」


もはや肉食動物と草食動物の関係だろこれ……彼女の考えを改めてもらわないと、いずれ自分はジエイミの殺されそうだ。冗談じゃなくマジで……


「……今から、メルと自分はデートする。そんでもって、ジエイミ。普通を学んでほしい」


「え……」


こうして、自分はメルとデートすることとなる。

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