第90話 究極のリアリティショー
☆☆☆リアリティショー
『リアリティショー』
台本もない人物達の生活風景を切り取った番組である。主に恋愛をテーマにしており番組の影響で恋人に発展することもあるとかないとか……よく知らないけど……
大衆が求めているのは究極のリアリティだ。それが魔王と勇者を巻き込む形のリアリティショーがあれば、ここにいる大衆どころか、この世界全てを巻き込んでエンターテイメントになる。
結局自分ができることは最初からこれしかない。エンターテイメントで乗り切ること、しかもこれはノンフィクション。勇者と魔王の物語だ。
今回は自分自身もエンターテイメントとして参戦する。
先程のジエイミとのやり取りを大衆は見ていたはずだ。
小恥ずかしい喧嘩であったが、大衆たちは皆興味をそそられていた。
皆が固唾を飲んで、口喧嘩を見ていた。
勇者であることを除いても、やはり他人のイザコザというものに惹かれるものだ。
「……何よ、リアリティショーって……私聞いてない!」
「あぁ、最初から言っていないからな。メル。ジエイミと行動していた時に装置を使って覗いていただろう?」
ジエイミに正体を打ち明けようとしたとき、不自然にメルが現れたことを覚えている。
「……」プイッ
目を反らす。つまり、何かしらの装置を使い盗撮していたというわけだ。こいつ最低だな。
彼女があのタイミングで入ってくるのは明らかに出来過ぎていた。
何かしら映像のようなものが存在していることとなる。
メルの装置を使えばこの異世界でドラマを作ることが出来るが……
彼女が協力するかで言えば否である。
彼女の目的は恐らく自分の命ではない。自分の地位を貶めることだ。
命を奪うのであればこんな回りくどいやり方はしないし、二人きりの時を襲えば簡単に殺せる。
「その反応は肯定と見た。自分とジエイミの行動を監視したのは、恐らく裏で繋がることを恐れていたからだ。いつ裏切る算段を立ててもおかしくないからな」
「え?」
メルの顔が点になる。
「え?」
自分の顔も点になる。
「「え?」」
違うのか? 全く見当違いなことを言っていたみたいだ。
「「……」」
「……と、考えさせることがお前の狙いだ。しかし、真実はまったく別のとこにあることだろう。ここでは言わないがな」
なんとか潜り抜けた。
「なるほど…‥私が覗き見た風景を大衆に公開することが目的というわけね……だけど、そんなこと私がするわけない。『そのリアリティショー』とやらにも参加すると思うわけ?」
流石はメルだ。考えが読まれている。
「参加する? ははは!」
彼女がリアリティショーに参加しないことなんてとうに分かっていた。だからこそ退路を立つ。
「何がおかしいの?」
「《《もう参加しているぞ》》」
「え?」
メルは意表を突かれた顔をする。このあとはこじつけだ。
「リアリティショーは起きた事象全てがエンターテイメントとなっている。先程行われたジエイミとの問答もそうだ。お前はこの事態を招いた当事者であり元凶だ。だからお前の答えは関係なく既に参加していた言うわけだ」
罠にハマったことにしておこう。
「つまり私は既にリアリティショーの参加者だと言いたいの? まさかそこまで計算をして……」
してないね。
「その条件はとっくにクリアしている。メルは魔王でジエイミは勇者だ。そして自分はただの最弱種だ……この三人つまりは……」
これから言うことは、正直に言えば恥ずかしいし、見当違いなら最悪だ。
確証はある……どうしてメルがこのような行動を起こしたのか……
だけど、この状況を潜り抜けるにはもう、これしかない……もう逃げたりはしない!
「《《二人は自分に好意を抱いている》》」
「「!!」」
二人に戦慄が走る。




