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第88話 暴露系魔王。暴走系勇者


☆☆☆メルの追い込み


ジエイミは何も言えずにその場に膝をついた。


「それでは、私がずっと憧れていたあなたは……全部幻だと……」


「そうだよ! 彼は大嘘つきで、ずっとジエイミのことを騙していたんだよ? 勇者であることだって重責だったろうに、そんなしょうもない奴を勇者だと思い込んでいるなんて……笑えるねぇ! きゃはは!」


そうだ……認めるしかない。


ウソツキ! ダマシタナ! フザケルナ!


そんな罵詈雑言が聞こえてくる。


そうか……これが今まで自分が騙し続けてきた罰だというのか。


やっぱり拒絶の声は……来る。自分の存在を否定されているようだ。


結局嘘はいつかバレるんだ。作り物の全ては淘汰されていく。


ジエイミに嫌われることが、おそらくメルの目的だ。


暴露系魔王のメル砲により、自分はこの後に破滅的なざまぁ展開が訪れることだろう。


つまり、自分の異世界ライフは終わりを迎えたというわけである。


「そうだ。君が抱いた理想は全て、自分が演出した偽物の虚像に過ぎない。ジエイミ……」


「――エクシリオさん!」


「ぐうぅ!」


ジエイミに腕を引っ張られる。そして自分は抵抗もできないまま組み伏せられた。


簡単に押し倒される。ジエイミと自分のパワーバランスを考えれば何も出来ないのは当然だ。


抵抗しようにも微動だにしなかった。全く何もできない。


「……本当だったのですね。エクシリオさんは今、本当に全力で抵抗しています……でも……こんな力が弱いなんて……」


痛い。痛い痛い。イタイ!


「ジ、ジエイミ……」


「……メルのことはいいです……私への弁明が聞きたいです……どうして言ってくれなかったのですか……」


更に力を加えられる。


「っぐあぁっ! ジ、ジエイミ!」


「……エクシリオさん……エクシリオさん! 何か言ってくださいよ……」


何か言おうとしても痛みが勝り。悲鳴しか出ない。


「っぐ! っぐ!」


どんな策略も言い訳も結局は暴力によって打ち負かされる。彼女の全力に自分が抗えるわけもなく、ただ地に這いつくばるだけだった。


「私……全く力を加えてないですよ。簡単に抜け出せるじゃないですか……エクシリオさん……お願いですから……負けないでくださいっ!」


本当に自分が最弱の存在であるのかを確かめているのだ。


頭では理解しているが、現実を受け止められない。だからこそ、ジエイミは今自分を襲っている。


もしこれが最強の勇者であれば、簡単に拘束を解いてジエイミを倒すことだってできる。


でも……無理なんだ。この状況を打開する方法などないんだよ……


駄目だ。意識が遠のいてくる。


「ちょ! ちょ! ちょっとジエイミ! それ以上やるとエクシリオが死ぬから! ほんとに雑魚なんだって!」


メルが慌てだす……彼女の目的は自分の死ではないのか?


「メルは黙ってろよ!」


ジエイミの声は裏返り乱暴になっていた。恐らくこの暴走はメルの想定を超えている。


「エクシリオさんと私の問題に……あなたが入ってこないでよ……!」


更に自分の腕に力が加わる。そうか……これが自分のバッドエンドなんだ。


つまり……これで終わり。このままジエイミに殺されて終わるんだ。


なら、もう……いいのかな。


エクシリオサン! エクシリオサン! 何度もジエイミに呼ばれる。


うるさいうるさいうるさい……自分はエクシリオじゃない!


「……うっせぇよ!」


「え……」


☆☆☆ブチギレ


その言葉でジエイミの力が弱まった。もう我慢する必要がないんだ。全部言ってやる……


「……そうだよ。自分はどうせ何もできない雑魚だ。お前が思い描いていた最強の勇者なんて最初からいないし、素の自分はこんなしょうもない奴だよ!」


「……エクシリオさん……」


「あぁ忌々しい! そもそも自分は最初のダンジョンで死ぬ予定だった偽物の勇者だ! そんなやつを最強の勇者って勘違いするなよ!」


「なら、どうして最初の時点で弱いと言ってくれなかったのですか!」


そもそも、ジエイミと最初に出会った時は自分の人格ではなく、エクシリオの人格だ。それもチョロいからメンバーに引き入れたという最低の理由である。


「……かつてのお前と同じだよ。自分なりに勇者としての役割を果たしていただけだ。ジエイミだって最強の勇者であろうとした時期はあっただろ」


ジエイミは孤独を貫き最強の勇者であろうとした。その暴走を止めたのは自分である……だが……


「……ですが、それでも。何か言ってくれれば!」


「言った途端に失望するだろうが! 今までの言動だって全て弱い自分を隠すための嘘なんだよ!」


「……エクシリオさん……」


「クソ……こんなはずじゃなかったんだよ! ジエイミの様に強ければ……こんな威力もない光で何ができるっていうんだ馬鹿らしい! 照明担当しかできねえよ! 馬鹿みたいじゃないか! そんなもんいらん!」


全力でジエイミに光魔法を放つが傷一つない。


「……それは、エクシリオさんが弱いからですよ」


「知っているさ! こんなこと言ったってどうしようもない事だよ……それでも怖かったんだよ……お前に失望されることが!」


「え」


「……ジエイミは自分を信頼してくれていただろ。それ以上の感情を持ってくれていたことだって分かっていたさ!」


「……えぇ!?」


あんな態度で伝わってないと思ってんのか?


「だが、それは結局のところ最強の勇者像『エクシリオ・マキナ』でしかない。最弱の自分には何もないんだよ、だから! お前にバレるのだけは嫌だった!」


「エクシリオさん……き、気持ちが……? え!」


「せめて、お前の――」


全部言ってしまえ!


「――はーい! そこまで!」


そこで、メルが自分とジエイミを突き放す。とりあえず伝えたいことは伝えられた。後はどうとでもなればいい。



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