第85話 死んだふりは有効です!
☆☆☆答え合わせ
……さてと、そろそろいいだろう。
自分はそのまま見た目だけが派手な光魔法を展開する。
「うおおおお! どうした? 急に魔王が輝き始めたぞ!」
「え、エクシリオさん……?」
「――リザルト……!」
シャキーン!
そして自分に光を集中させて、何事もなかったように起き上がる。
「……魔王が復活した?」
「――今のは復活魔法だ。この程度のことが出来なくて魔王など務まらないだろう?」
「な、なにぃ!?」
はい。嘘です。実は最初に食らった攻撃も自分の光魔法であり、用意してあった血をタイミングよく吹き出しただけでした。
つまり最初から自分は死んだふりをして、光魔法を使い、いかにも復活したように起き上がっただけである。
しかし、大衆は自分が死に復活魔法を使って蘇ったと信じている。
「……何? 復活魔法なんて伝説上の魔法だぞ……」
さっきまでヤジを飛ばしてた男がいいことを言ってくれた。
「――伝説上だと? 復活魔法を使える我こそが伝説である! だからこそ魔王なのだ。勇者として死んだ時だって復活を果たした。つまりはそういうことだ……」
全部嘘です。
「な、なんてやつだ!」「どうすれば倒せるんだよ!」「無理だぁ!」
自分はこの時のためにメルから『威圧感倍増装置』を借りていた。つまり、エボルーテ・ドロプスと光魔法により更なる威圧感を出すことが可能となっている。
この場の空気は全て自分が支配した。
「「「「「――――!!」」」」」
しかし、未だ不穏分子は残る。
「――演説中に暗殺とは随分と無粋な真似をしたものだ。しかし、何度やっても同じことだ。例えどれだけ強力な魔法を撃ってこようと……我は復活するぞ!」
処刑台から見える路地裏がざわついている。あいつらが、自分を暗殺しようとしたやつか……恐らくかなりの手練れであり戦えば必ず負ける。
「エクシリオさんなら、簡単にさっきの攻撃だって避けられたはずです!」
ジエイミナイス!
「――あえて避けなかった。いいや、避ける必要がなかったのだ……我の力を示す最高の演出だった。礼を言おう。これ以上やるというのなら相当な魔力の無駄遣いであろうな」
頼む……マジで頼む……これで退いてくれ!
「「「「「―――――!」」」」」
大衆は戦慄する。
先手を打たしてもらったのだ。
最弱の自分がこの場で死を回避する方法は一つだ。
『相手の攻撃よりも先に死んでいること』
そして、蘇ったことにより、エクシリオはいくら殺しても復活する最強の魔王であると伝わった。
そうすることにより、相手の戦意を削ぐ作戦である。
奥にいた怪しい連中は悔しそうな顔を浮かべながらこの場を立ち去っていく。
今回相手側の作戦はなんとなく分かっていた。ジエイミの処刑を餌にして自分をおびき寄せ拘束。もしくは命を奪うことだ。
相手は恐らく自分をよく知る人物である。臆病な性格を熟知しており表舞台に出てこないと読んでいたはず。
だからこそ、その相手は広場に出てきた人物ではなく、陰から様子を見ている人物をエクシリオだと判断するはず。
広場の陰には自分と同じマスクとマントを被せたドビーを配置した。
恐らくこの事態を招いた相手はまんまと引っかかってドビーを連れて行っただろう。
そして今頃、ドビーが連行され相手の基地に辿り着いたことだ。そこで暴れまわってくれることだろう。
☆☆☆エクシリオの声
疑問に思っていたであろう『声』についてだ。ドビーがどれだけエクシリオを演じようとしても、声まで真似ることはできない。
そこで必要だったのがユーシャイン宅へ向かうことだ。訪れた時には既に蛻の殻であった。恐らくはユーシャインは人質に取られているだろう。
つまり、相手はユーシャイン宅に訪れることを読まれていた。
しかし、自分の目的はユーシャインではない。音響担当である『花子』だ。
花子はあらゆる音を再現が出来る。だから昨晩のうちに連れていった。
なんとなく想定されるパターンの言葉を覚えさせ、ドビーに隠れさせる。そして臨機応変に自分の声を再生させた。
そうすることで相手はエクシリオだと信じさせることが出来るのだ。
そして花子の存在はあまり認知されていない。ユーシャインの関係者でも数えるほどしか知っていないのだ。
もし、花子であると見破られればその相手を洗うことも簡単である。
つまり、相手は自分達を罠にハメたつもりが、上手く利用させてもらったというわけだ。
誰かは知らないけど……恐らく相当気が立っているであろう。
まぁ、とりあえずは、ジエイミを救出するフェーズは整った。
さて……ここからが大事だ。




