第82話 こうして私は処刑されます
〇〇〇牢屋にて
私は牢に入れられています……まさかこんなことになるとは思いませんでした。
事は数日前、エクシリオさんに貰った書状を王に届けた時のことです。
急に衛兵さん達が私を取り囲みます。皆が凄い喧噪でした。
「……ど、どうしたのですか?」
「ジエイミ・メダデス! 貴様は王宮の出入りを禁じていたはずだ!」
いいえ、そんな話は一度も、それに以前にも王宮へ入ったことがありますが、その時はこんな事にはなりませんでした。
「ご同行願おうか! ジエイミ・メダデス!」
言われもない罪で私は囚われ、心当たりはあります。エクシリオさんの言っていた黒幕が動いたのでしょう。
黒幕は王族と直々に絡んでいる……敵は思ったよりも強大でした。
そして今日……私は処刑されます。
逃亡を図れば王都民を殺すと言われ、何も出来なくなりました。
もう、私のせいで誰かが死ぬのはこりごりです……勇者が必要のない世界になるのなら、それはそれで幸せでしょう。
だって、魔王がエクシリオさんであれば、争いはもう起こらない。
だけど……最後にもう一度エクシリオさんに会って伝えたかった。
それはきっと叶わぬ願いでしょう。
「……はぁ」
そして今日。私は処刑されます。日が昇り王都の広場にて。
「勇者ジエイミ・メダデス……時間が来ました」
王都の近衛兵は顔を反らしました。
「……僕も家族の命が掛かっているのです。すみません」
「いいえ、それがあなたのお仕事ならば仕方ないです。家族を大事にしてください」
なるべく笑うようにしていましたが、無理でした……
「僕は……貴方が王に反旗を翻したなど……信じられません。あなたは勇者です……誰よりも気高い理想を持っていたはずなのに……!」
「そう思ってくれたのなら……大丈夫です」
それ以降会話が続かず私は王都広場の処刑台へ送られました。
〇〇〇いざ処刑へ
王都の人々は私の処刑に反対の声で溢れかえっていましたが、近衛兵たちによって鎮静化されます。
「それでは……ジエイミの処刑を開始する」
ギロチン台に送り込まれます……あぁ、これで……私の全てが終わりになります。
「さようなら――え……」
しかし、ものすごい魔力の波動が大空から降り注ぐ。太陽は掻き消され空は暗闇に包まれていく。大きな雷鳴が轟いた。それは以前訪れた魔王城の様に……禍々しいものでした……
「なんだあの闇魔法は!」「敵襲か!」「尋常じゃない魔力量だ!」
「――皆さん! 逃げてください!」
そして、その魔法は一気に地上へと降り注がれます。恐らくここにいる全員は死にます……手足の自由さえあれば、ここにいるみんなを守ることが出来るはずなのに……!
「だめだ! もう逃げても間に合わない!」
「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁl!」」」」
――――――
――――
――
全員が目を反らす。そして死んだと思いました。
「あれ……? 何も起きていない?」
しかし、私を含め誰一人として負傷者はいません。どういうことでしょうか……状況が全くの見込めないです。
そしてそこには、変なマスクを被り角の生えた魔族がいました……あれ、この衣装どこかで……漆黒のマントが靡きます。
「……魔族だ。一体いつの間に……」
「まさかさっきの魔法もこいつが……」
重圧感。以前対面したメルより……エクシリオさんよりも……こんな相手が魔王軍に……あれ、このマスク……もしかして……
「――我は魔王! エクシリオ・マキナだ!」
そして、彼はやはりエクシリオさんでした。




