第80話 王都に着いて
☆☆☆目が覚めて
「――くん! ――くん!」
――――あれ、声が聞こえる……
「――くん! ねえ! 自分君! 人間領についたよ! 王都だよ!」
どうやら意識がぶっ飛んでいたようだ。しかし無事に着けたのは奇跡かもしれない。
とりあえず王都に着いたみたいだ。日が暮れ、夜になっていた。
「飛ばし過ぎだ……死ぬかと思ったぞ……」
「死んでないからいいじゃん! やっぱ飛ばすと気持ちいね!」
いや、その気持ち全然わかんない。
とりあえず、戦力は自分とメルだけ、まずは情報を集めないとな……
「では、メル。二手に別れよう」
「嫌だ別れたくない! 私のこと捨てるの? 使い捨て?」
別れ話持ちかけた彼女じゃないんだから!
「今はそんなふざけている状況じゃない! 後で何かしらの望みを聞くから!」
「ほんと? 分かった行こう!」
嘘泣きなのですぐに泣き止む。
王都の関門は存在感抹消装置を使い難なく突破した。
☆☆☆酔っ払い
そして、冒険者達が集まる飲み屋街へ向かう。出来上がったやつらで溢れかえっていた。
日が出れば勇者が処刑されると言うのに能天気な奴らだ。
「うぇーい……もう飲めねえよぉ〜」
外で酔い潰れてるおっさんに聞くとするか……
「少し話が聞きたいのだが」
「あぁん!? こっちは今嫌なことがあってんだい! 話? そんなもん他のやつに聞けやい!」
うっざ……これめんどくさい奴だな……
「くっそぉぉ! 何が国家反逆罪だ! ジエイミちゃんがそんなことをするわけないじゃねぇかよぉぉお!」
……ジエイミの知り合いか。
「聞かせて欲しい、勇者ジエイミのことを」
「嬢ちゃんはな! ヘルファントムロードを倒した時に一緒にいたんだよぉ! 確かにあの時の嬢ちゃんは弱かったがよ! 危険を顧みずに立ち向かっていた! それに老い先短い俺達のことだって心配してくれた! どう見ても勇者だ! 先代の勇者とかゴミだろぉ!」
否定はしないが言われると腹が立つ。
「そんな優しい嬢ちゃんが! 処刑だ? ふざけんじゃねぇよ! 処刑されるなら先代の勇者だろぉ? 調子に乗りやがって!」
「どうして、ジエイミが処刑されることになっているんだ?」
「知らねぇよ! でもなぁ! 噂によるとさぁ! 王を暗殺しようとしていたとかそんな話が広まっててよ! 嬢ちゃんにそんな真似できるわけねぇんだよぉ!」
王を暗殺……なるほど、そんな噂が広がっているのか。
「嬢ちゃんは俺達冒険者にも優しく接してくれていた。陰謀だ! こいつは王族側の陰謀なんだよ! くそがぁぁぁ! 俺らのアイドルを……」
……え、アイドル?
「え、ジエイミってアイドルなのか? それならユーシャインがいるだろう」
「……ユーシャインは現在王族の命により活動休止中だ」
……え、ユーシャインが活動休止? それも王族の命によるものだと……キナ臭くなってきた。
王族……確かに自分が勇者時代にも接したことはない。だから情報が全く見当たらない……
しかしユーシャインにまで手が及んでいるとは、彼女達は無事なのだろうか……心配になってきた。
「もう……何を信じればいいんだよ……おい、そこのあんた教えてくれよ! 俺達は魔王を倒すためにここまで頑張ってきたんだ! 勇者は魔王を倒す存在なんだろ? なのにどうして嬢ちゃんが民に処刑されなきゃならないんだよ!」
「――常識を信じているから常識を疑うことを知らないんだ。自分で考えることだな」
「常識を? どういうことだい! なんだい? あんたはもしや他人に考えを押し付ける自分の意見がない奴か?」
なんで煽ってくんだこいつ……
「答えは簡単だ。誰かの意見じゃなく、自分の心で感じて判断することだ……」
さて、とりあえず行くべき場所が決まったぞ。一度ユーシャインの安否を確かめる必要が出来た。




