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第74話 宣戦布告

〇〇〇元魔王と勇者


「エボルーテ・ドロプス……一体私に何の用で」


以前会った時と何か雰囲気が違うようでした。確か口調も変だったような気がします。


「あ~その名前はもういいから。今の私は四天王メル。魔王である『彼』の忠実な手下だよ……っふ」


何故か得意げに笑います。いったいどういうつもりでしょうか。


「信用できませんね。あなたがどうして魔王の座を譲ったのかも理解できない。エクシリオさんを」


「残念。私もあなたのことは信用してないからお互い様だね。まぁそれもそうか……ふふふ」


不敵に笑います。やっぱり彼女は苦手です。そもそも元魔王であり倒すべき敵だったのですから、すぐには切り替えられません。


彼女の笑い方は正直に不快で、見ていてイライラしてきます。


「……何がおかしいのですか」


「べっつに~でも、ほら、一応さ戦いは終わるわけだし、そんなに敵意向けなくてもいいじゃん。仲良く仲良く。まぁ、勇者なんて野蛮だもんね~」


「喧嘩を売っているのですか?」


「暴力で物事を解決しようとするのは短絡的だね。こわこわ~」


彼女の目的は何なのでしょうか……意図が読めません


「それは力無き者がする言い訳です。文句があるならそちらから殴ってくればいいじゃないですか」


「へぇ~それじゃぁ『彼』も同じだね。言い訳が得意なもんで~」


だめだ。見透かされている……彼女はこんな性格だったのでしょうか?


「エクシリオさんのことは関係ありません」


「『彼』は力で解決しようとはしない。新しい考えの元に魔王軍を支配した。憧れているのなら少しは見習ったらどなの?」


得意げになり笑う……


「えぇ、エクシリオさんのことは見習っています。あの人は恐らく歴代の勇者の中でも最強の……」


エクシリオさんの魅力は語りつくせません。


「ぶぶ……ふふふ……あはははは!」


しかし、いくら私が説明をしてもメルは笑うばかりです。


「何がおかしいのですか?」


「いいや、なんか安心してね……ちょっと邪魔な存在かと思ったんだけど……いや~よかった……よかった」


すると、メルは手を伸ばし握手をしました。


「え……」


「ごめんね。ジエイミ。少し警戒しちゃったみたい」


警戒。それは今も私は解けていません。彼女が一体何を考えているのかさっぱりです。


「どういうことですか……まるで今の私を警戒していないみたいな言い方は」


……彼女が黒幕の可能性も存在します。エクシリオさんが魔王についた方が都合がいい……だけど理由が思いつきません。そもそも知らなすぎます。


「ああ、うん。全然警戒していない。恐らくひそひそ話の内容もなんとなく推察できるし、そういう話じゃないって理解したから。はぁ~ほんとよかった~」


メルは安心していました。


「……ジエイミは『敵』じゃないって思ったから」


敵じゃない……?


「はい……?」


どういうことでしょうか……すると、メルは一回転して言います。


「――私は『彼』のことが好きだから」


「え……」


好き……? エクシリオさんのことが?


「あなたも好意を抱いているみたいだけど。まぁ、そんなもんでしょ」


何も言えません。確かに私はエクシリオさんのことをその……お慕いしています。


ですが、その気持ちは伝えていませんし、今後伝えることはないと思います。


「恐らくこう考えているんでしょ『私とエクシリオさんでは釣り合わない! だから気持ちを伝えるなんてことはしない!』みたいなものでしょ? 情けないね」


過剰な演技に腹が立ちますが、図星です……彼女の洞察力は侮れません。


「まぁ、そうやって一生届かない恋に焦がれてればいいよ。その間に私がもらっちゃうから」


「……ダメです!」


「ん?」


「嫌です……エクシリオさんは……嫌です嫌です……」


私だって、エクシリオさんのことは大切に思っています。その気持ちは恐らく彼女にだって負けてはいません。


「止める権利はないよ。私は絶対に欲しいものは必ず手に入れる。『彼』しかいないもん。私を受け入れてくれる相手なんて……生憎冗談でもなく本気で私は『彼』に恋をしている。気持ちを伝えられないあなたなんかに――」


彼女の表情は明らかにエクシリオさんに恋をしています。


「――私だってエクシリオさんのことが好きですよ!」


私もここにエクシリオさんが好きだと宣言します。そうです……どうあがいても好きです。


「だったら、勝負になる。彼を手に入れられるかの勝負だ。まあ、私が勝つんだけど」


「随分と自信があるみたいですね」


「まぁ、レベルが違いすぎるからね。私はあなたよりも『彼』を知っているんだし……『エクシリオさん』とか言っている時点で……ねぇ?」


分かったことがあります。彼女は例え魔王でなくても私の敵でした。


神経を逆撫でしてくるような……心から受け付けない相手です。


エクシリオさんと私では確かに釣り合わないかもしれません。


だけど……メルにだけは、負けたくありません。なぜでしょうか……恐らく勇者と魔王の血筋がそうさせているのではないか……私には分かりません。


エクシリオさんがメルと楽しく笑っている所を見ると、嫌です。


「貴方に……エクシリオさんは渡しません……」


「そうだね……ふふふ」


やはり不敵に笑います……なるほど。


状況はメルの方が有利です。私はこの後和平の書状を届けに王国に戻らなくてはなりません。


その間もメルはエクシリオさんとずっと一緒にいます。


つまり、これは……私がエクシリオさんに会わせないための時間稼ぎなのではないでしょうか?


だとすれば……利用できるものはすべて利用させてもらいます!


「……!」


「ちょっとどこ行くの!」


こうしてエクシリオさんの元へ走りました。


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