第71話 いざ魔族領へ!
〇〇〇迷子
私はわんわんモフルン丸さんに乗り魔族領へと足を踏み入れます。やはり禍々しい雰囲気を感じ、村を訪れると魔族がいました。
恐らく魔族領の生活水準は人間領より低いのでしょう。
戦闘の可能性も考えていましたが、誰も私を見ても特に反応がありません。
一応私勇者なのに、誰も無関心でした。
「あのすいません。魔王城へ行きたいのですが……」
もちろん無視されます。どうしましょう。魔王城へ行きたいのに道がさっぱりわかりません。魔王城への地図でもあればいいものを……
「こんなところにいたのか、勇者迷ってないか? 今歩いている方向魔王城と真逆だよ」
「貴方は……確か連勤のオトザ……」
以前のゴーレム使いです。ですが一体どうしてここに……
「それで? 本当に迷ってたの? おもろ……」
にやにや笑っています。
「ち、違います。ただ魔族領の現状を確認したかっただけです」
必死に言い訳を考えました。本当は迷っています。
「へぇ~色々考えているんだ」
オトザに案内されますと本当に別方向でした……よく見たら遠くに聳え立っているのが魔王城です。
どうして気づかなかったのでしょうか恥ずかしい……
わんわんモフルン丸さんに乗りながら移動します。
「ところでさっきからずっと気になっていたんだがその犬はなんなんだ?」
「わんわんモフルン丸さんです」
「そうか……」
「はい」
会話が続きません。正直かなり空気が重いです。
少しの間があり先に切り出したのはオトザでした。
「……ところで、勇者は魔族領を見て何を感じた?」
村を見てきた中でも窃盗などが行われていた。
「治安はよろしくないですね。貧困が目立ちます」
「これでも前より良くなった方なんだ。前は殺しだって平気で行われていた。死体だってたくさん転がってたさ、今の魔王が魔族領をより良い方向に導いていなければ」
魔王が……? あの少女がこの貧困を変えたと言うのでしょうか。
しかしそれをなぜ私に話すか、その意図は一体……
「勇者は漫画というものを知っているか?」
漫画……魔族領でも広がっている?
「目を通したことがあります」
「面白いだろう。あれは魔族領の輸出物だ」
「え」
信じられません……
「ど、どういうことですか……漫画が魔族領で作られたというのは……! では一体誰がこの漫画を人間領に持ち込んだ……」
「それも魔王に会えば分かることだ。生憎俺も詳しいことは喋れない。勇者の目で見て判断してほしいと、魔王からの言伝だ」
魔王エボルーテ・ドロプス……確か次に会う時は殺すと申していましたが、一体どういう心境の変化があったのでしょうか……
本当に疑問しかありません。
「おっと、そろそろ、魔王城だ。俺が魔王の元まで案内する」
雷がゴロゴロと強くなります。魔王城に辿り着きます……凄い威圧感がありました。
〇〇〇いざ魔王の元へ!
城内へ入っていくと、魔王軍のメンバーが私を強く睨んでいますが手を出してきません。
恐らく私に恨みがある者もいたはずですが……
「恐らく勇者はこう考えている『魔王軍の連中は誰も手を出してこない』だが答えはこうだ。魔王の命により、彼らは何もできない」
「魔王が……?」
「そういうことだ、だから身構えても誰も襲ってこない。魔王の命に逆らえば彼らは死ぬよりひどい目に合う」
「死ぬよりひどい目? そんなものがあるのですか?」
「それはネタバレだ」
「……はい?」
訊き返してしまいました。確か『ネタバレ』というのは漫画を読んでない人に向かって、その話の続きをバラす為……え? ほんとにそれだけ?
「え?」
「そろそろ魔王様の元だ」
「いやちょっと待ってくださいよ。ネタバレで魔王軍が支配できるわけ――」
「――魔王様、勇者ジエイミ・メダデスを連れてきました」
すると、大きな扉が開かれます。
魔王エボルーテ・ドロプス。彼女が待ち構えている……
勇者の天敵である魔王。私達は決して相いれません。
もしかしたら、魔王と勇者で決着をつける可能性だってあります。
そうなれば、私も覚悟を決めなければなりません。
いつでも戦う準備は出来ています。これが最後の戦いになるかもしれないのです。
――いざ……魔王の元へ!
「――久しぶりだな。ジエイミ。その装備良く似合っているぞ」
「え……」
ありえない……嘘だ。そんなことがあるはずがない。ありえない……
ありえないありえないありえない……何度も心で呟きます。
何度も幻想だと疑いました。何度も嘘だと信じたかった。
だけど……玉座にいたのはエクシリオさんでした。
「エクシリオさん……?」
「――そうだ。我が新たな魔王。エクシリオ・マキナである!」
つまり……私はエクシリオさんと戦わねばなりません。




