第70話 堕落した勇者パーティー
○○○ジエイミの今
エクシリオさんがカクセイラン王国を後にしてから数ヶ月。
魔王軍との戦いは続きした。以前と違い仲間も一緒です。
エクシリオさんは魔王軍に寝返ったとの情報は定かではありません。
しかし、魔王軍との戦闘中にギャグを言う者がいたとの情報があります。
『あれは恐らくエクシリオ様が考えたギャグです……『布団がふっとんだ』……ぶふふふ……こんな面白いギャグ思いつくのなんて彼しかいません……ぶふふふふ!』
メイドさんは魔王軍にエクシリオさんがいると確信があるようですが……相変わらずギャグのセンスが分かりません。
エクシリオさんが魔王軍に入った。もしかしたら今後戦う時がくるのでしょうか……そしたら勝てる自信がないです。
そして戦いの中で魔王軍の動きが変わり、こちらに侵攻しては撤退を繰り返します。
一体何が目的なのか……これもエクシリオさんの作戦なのでしょうか……
今はパーティーの皆さんと酒場で休憩をしています。
そして、全員がカクセイラン王国で最近流行の『漫画』を読んでいます。
『漫画』というものは、絵と文字で物語が分かる本の一種です。私もドビーさんに借りて読んでみましたが本当に面白い代物です。
綺麗な絵柄に興味をひかれるストーリー。全てが新鮮であり心が躍りました。
今街では漫画ブームが訪れており、金貨で取引されるほどです。
以前仲良くなったユーシャインさんが広めた影響で、ファンの方々も漫画にハマり続けています。
漫画は本当に面白くて楽しいです。だけど……メンバーは皆漫画に熱中して魔王討伐が二の次になっています。
「でゅふふふ! ぐふふふ! がはははは!」
メイドさんはギャグ漫画を読み爆笑しています。
「うおおおおお! この技かっけぇぇえ! 真似してぇ! クンっ!」
ドビーさんは格闘漫画を読んで盛り上がっています。
「この人かっこいい……壁ドン……私もされてみたい……」
マジョーナさんも恋愛漫画というモノを読んでいます。
「五部五部」
ゴブリンさんも奇怪な冒険という漫画の五部だけを読んでいます。そもそも文字読めるのでしょうか?
「ふむふむなるほど! こうすれば戦いに役に立つな……ふむふむ、勉強になるぞ!」
アナスタシアさんはバトル漫画で戦い方の勉強をしています。実戦積んだ方がいいのでは……
とにかく、皆さんは漫画のせいで堕落しています!
このままでは皆さんがダメ人間になってしまいます!
「みなさん! 魔王軍が攻めてきたらどうするんですか」
「ちょっと待ってください。今最高に胸キュンポイントな場面なのですから!」
「ジエイミ悪い! 今最高に熱い展開なんだよ! ジエイミも読むか?」
「読みません!」
何を言っても無駄だと悟り、今回は一人で魔王軍を迎え撃つことにします。
最近は魔王軍の侵攻もやる気がなく。魔王軍自体が早く帰りたがっている節があります。
「帰って続き続き……」と連呼してますが……なんなのでしょうか?
私は酒場を出ると人気のないところへ向かいます。
さっきからずっとどこかで私を見つめている者がいました。
……それも相当の実力者です。恐らく魔王軍の幹部クラス……
「出てきたらどうですか。もう気付いていますよ」
すると、影の中から何かが現れます……覚えがありました。
「影縫いのアークジャドウ……」
〇〇〇四天王
「どうもこんにちは、勇者ジエイミ・メダデス」
以前エクシリオさんと入った最初のダンジョンで戦った四天王影縫いのアークジャドウ。今度は私に接触してきます。
一体何が目的。
「一体何の用ですか……」
すると、アークジャドウは両手を上げ敵意がないことを示しました。
「争うつもりはありませんよ。わたくしの目的は提案をしにきただけです」
「提案? どういうつもりですか……四天王のあなたが……」
「魔王様が直接話がしたいと申しております」
「……はい?」
何を言っているのですか……意図が何一つ読めません。魔王と話?
「魔王城へ来てください。魔王軍は一切手出しをしません。何も犠牲を出さずに魔王の元へ辿り着くことができます」
「……何が目的ですか」
「それはあなたが直接魔王の元へ赴き、あなたが判断してください」
それだけ言うとアークジャドウは消えていく。
明らかに罠だと分かります……だけど、直接魔王城へ行ける可能性がある。
そうすれば、魔王と戦い勝利すれば終わる……以前対面した時よりも私は強くなっています。だけど……勝てるかどうか不安がありました。
「お返事は行動で示してください。それではわたくしはこれにて失礼」
アークジャドウはそれだけ言うと姿を消します。
どうしましょう……単独で乗り込むのはあまりに危険です。
だけど……魔王軍に行けばエクシリオさんに会うことが出来る……真意を確かめることが出来ます。
行くしかない……行って、真実を確かめないと……
みなさんを誘っても漫画で無視されましたので、私は単身で魔王城へ向かいました。




