第68話 ネタバレの力は最強です!
☆☆☆老害登場
「ワシは納得いかぬぞ! 血筋もない者が魔王の座に就くなど! こんな奴はとっとと殺してしまえ……! 何が漫画だ!」
古臭い仕来りに囚われた幹部の老害が現れる。かなり自分に敵意を向けてるな……
「――落ち着け。言葉は慎重に選んだほうがいい」
「意見を申すか! とっととこいつをこの場から引きずり出すのだ! 何が漫画だくだらない!」
あーあー言ってはいけないことを……この魔王軍は漫画好きが八割を占めている。
いくら幹部だろうとその発言をしてしまえば、八割を敵にしたのと同然だ。
圧倒的少数派。それがこの老害だ。
「――今度発売する『ドラゴンモール』のネタバレをしようか。確か……」
もう彼らの扱い方を学んだ。
「「「……!!」」」
そう、ネタバレだ。彼らはダントツでネタバレに弱い。
ただでさえ漫画が好きなやつは他人の口から聞くよりも先に自分の目で展開を知りたいはずだ。
「それだけはご勘弁を! 今強敵と戦っててめちゃ良いところなんですから!」
一部の漫画のファンが焦り出す。それもそうだろう。
「――ならばどうすればいいか、分かるな?」
すると、一斉に視線が老害の元へ向かう。
そして老害を拘束した。
「放せ! 何をする! わしは古くから魔王様に仕えてきた――」
『追放』すると自分の能力が発動して面倒なので、別の就職先を既に用意しておこう。これで発動しないはずだ……
「――残念ながら『転勤』だ。君はそうだな、魔王軍の雷ゴロゴロ担当部署に移ってもらおう……そこで心を入れ替えるのだ。漫画は素晴らしいぞ?」
雷ゴロゴロ部門。良く魔王場を訪れた時になる雷を鳴らすための職人だ。
「なぜだ! いっそ殺せばよいものを!」
「――気に入らないものを排除してけばいままでの魔王と何ら変わりはない。我は魔王軍を新しくすると言っただろう? 何故理解を拒む? 君は漫画の魅力にまだ気付いていないだけなのだ。それを我の判断だけで決めては可能性を潰している。あまりに早計過ぎる」
「……まさか、そこまで……流石は魔王様!」
モブが褒め称える。うむ。苦しゅうない!
「そして雷ゴロゴロ部門は漫画好きが多い。きっと心を入れ替えてくれることだろう」
同調圧力による洗脳は例え頑固な老害でも勝てないだろう。後は雷ゴロゴロ部門に任せよう。
彼は雷ゴロゴロ部門の部署へと飛ばされる。
多分これで『追放』したことにはならないよな……
「――他に意見のあるものはいるか?」
老害の惨状を見ればもう誰も出てこない。
「――それでは今日から我が魔王だ!」
障害を取り除き、賞賛の声と共に自分は魔王となったのである。
「「「うおおおおおお!」」」
☆☆☆追放勇者の成り上がれ
しかし未だ自分の追放能力に関して未知数なことが多い。ここで一旦整理しておこう。
追放勇者の成り上がれは追放した相手に対し発動するバフ能力だ。
相手を確実に追放できるのは強みがある。
細かい発動条件などは未だ不明であるが、あの老害が強化されて戻ってきたらたまったものじゃない。
正直に言うとめちゃ使いづらい能力だ。気に入らない相手を追放しようとすれば、その相手は強くなって戻ってくる。
それに仲間に使う場合は追放しなくてはならない。それはもう仲間と言えないのではないだろうか……
え、これマジでハズレ能力じゃね? どうしたらうまく使えんだよ……
神様も何てハズレな能力を与えてくれるんだよ……これでは自分が無双することが出来ないではないか!
せっかく光魔法以外の力を手に入れたと思ったけど……正直使い道が全く見つからない……
果たしてこの能力を使って自分は生き残れるのだろうか、恐らくまだ敵と戦う場面は多いはず。
上手くして戦闘を避けて強キャラムーブで誤魔化すしかない。
魔王軍を率いるにしてはあまりに弱すぎる。




