第67話 新たな魔王の誕生
☆☆☆魔王の任命式
数日後。メルは魔王軍全員を城外に集めた。そして魔王と四天王に関する全ての真実を打ち明ける。
その真実に部下たちは驚嘆していた。
「嘘だ……まさか魔王が既に死亡していた?」
「ありえない……では今までずっと双子の妹が魔王を演じていたというのか……? 一体いつから……全く気付かなかったぞ」
彼女は四天王トークビドウでもなく魔王エボルーテ・ドロプスでもなくメルとして立っている。
非難の声もあるかと思ったが衝撃が勝っており、反論するものはいない。
「だから……私は魔王に相応しくないのかもしれない。別の誰かにこの座を譲ろうと思うんだ」
こういえば、信頼がある奴らがついてくる。現に四天王改め三銃士の忠誠心はかなり強い。真実を知った後でも誰一人としてその忠義が変わることがなかった。
ネタバレには負けたけど……
不服な者もいるのも事実だ。確かに力無き魔王では不安が出るのは仕方がない。だけど同調圧力には勝てない。四天王及び三銃士が全員賛同してくれているのだ……
「……そう、ならば……!」
そこでメルは自分を指す。え? こんなの予定には……
「エクシリオ・マキナ……君に魔王をやってもらう」
「え?」
周囲がざわつき始める。視線は全部自分に向かった。
「え、エクシリオ? ……あ、エシリク卿か……確かに彼であれば統率も取れているし、優秀であり信頼もある、だが先程の話によると……彼は元勇者であり魔王軍の敵だった存在で……」
「エシリク卿は確かにギャグのセンスが素晴らしかったが……魔王となると」
ほれ見たことか、自分では魔王になることは無理だ。
三銃士は頭を抱えている。まさか自分が魔王に任命されるとは思わなかった。
打ち合わせではメルが魔王のままのはずだ。どうしてこんなことになっているんだ。
メルを見るともの凄いドヤ顔をしていた……こいつ謀ったな……!
しかしどうして自分が魔王にならなくてはならないのだ。魔王軍から否定の声が上がるのは確実だ。
それを分からないメルではないだろう。すぐに漫画を取り出した。
「漫画を作ったのは彼だ。他のもな!」
「「「「「――!」」」」」
騒めきが消える。
「……まさか、あのクソ面白い漫画を作っていたのがエクシリオ……?」
はい、全部パクりです。全て元居た世界のパクった漫画である。
「『ドラゴンモール』もか! 『オネペース』もか!」
「……そうだ」
「「「「うおおおおおお!」」」」
すると、一瞬にして魔王軍の連中は自分を祭り上げる。どんだけ漫画パワー強いんだよ……
「「「エクシリオ! エクシリオ! エクシリオ!」」」
「ちょっと待ってくれ! 自分はまだやるなんて一言も!」
「「「魔王! 魔王! 魔王!」」」
しかしそんな声は魔王軍の歓声によりかき消される。
もうこれ、自分が魔王やるしかなくなるじゃん……
偽物の勇者やってたし、偽物の魔王ぐらいならどうとでもなるか。
だからやるしかない……かっこつけるしか……
「――我は魔王! エクシリオ・マキナだ!」
光魔法を闇のエフェクトに変えて威圧感出しとこう。
「「「うおおおおおおお!」」」
「――我は本日から魔王軍を革命する! 古い仕来りは全て排除していく! 何故だか分かるか!!」
こういうのも他人に考えてもらおう。めんどくさいし。
「――今各自が思ったことが真実だ。何かしら現状の魔王軍に対する不満を持つ者がいるはずだ。違うか?」
「「「「うおおおおおおおお!」」」」
多くの賛同の声がある。よし……これならいける!




