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第53話 四天王は盛ってました!

☆☆☆パッド


アルシュルは彼女の巨乳が偽物であると一目で気づいたのだろう。


抱えていたのは胸の大きな秘密ではなく小さな秘密ではないか?


流石は普段胸を揺らしてるだけある。胸において彼女の右に出るものはいないだろう。


「あ、これは違うの…‥エシリクなら分かってくれるよね……ね? これはね……そ、そう! このスライムに! 胸が全部吸われちゃったの! だから私の胸が小さいとかそんなことは……」


ない胸元を隠すビドちゃんは必死に言い訳を自分に伝えるも、全く響かない。


「な、何か言ってよ! これじゃ私がバカみたいでしょ! ああ! そうだよ! 盛ってたわよ! 悪い!? どうせ私の胸は小さいですよ!」


そして当然キレだす。


「……」


面白いので何も喋らないで見ていよう。


「ほんっと何か言って……エシリク。私何回死ぬの? 胸が小さいことが不安? ……いいじゃんめちゃ可愛いんだし……なーんて……ねえお願い貶したりして……その冷たい目が一番辛いからぁぁぁぁぁ! あぁぁぁぁぁ!」


白い目で見るだけで泣きだす寸前だ。こいつほんとおもろいな。


「お願い……エシリク……怒って……無反応が一番辛いから……死ぬ……殺して……一緒に死の?」


流石にかわいそうなので、喋ってやるか……


「舐めてんのか? 胸を盛るとかお前……」


「あ、やっと喋ってくれた嬉しい……え、舐めてないです、え、やっぱエシリクも大きい方が好きだった? そうだよね~どうせ男は胸が大きくてかわいい女の子が好きなんですね~! はいはい分かりましたよ! 悪かったですね!」


「胸が大きいとか小さいとか関係なく、盛る行為というのは明らかに胸に対する冒とくだ。確かに小さいことをコンプレックスに思うのは仕方がない。それでも胸を盛る行為は絶対にしてはいけないのだよ!」


「どうしてぇ! いいじゃん少しぐらいアルシュル姉さまに近づかせてもぉ!」


やっぱアルシュルの憧れが胸を盛らせていたか……まぁそうだろうとは思ったよ。


「いいかい、ビドちゃん。少なくとも自分は異性の胸が好きだし、ありのままの胸が素晴らしい言いたい。小さくたっていいんだ……だが、胸を盛る行為というのはその本質を濁らす。大きいと思えた胸が小さかったなんてショック以外の他でもない。なら最初から小さいほうが良いだろう!」


何を熱弁しているのだろう。異性に胸の話なんかするの初めてなんだけど。めっちゃ恥ずかしい……


「アルシュルの胸だって! イルミルの胸だって! それは素晴らしきモノなんだ! 大きさは関係ないんだよ! でも胸を偽ることだけは赦せない! 何度でも言おう! それは胸に対する冒とくだ」


恐らくイルミルに聞かれていたら殺されるだろう。


「ご、ごめんなさい。まさかエシリクがそこまで胸に対するこだわりが強いなんて……」


うん、引かれているなこれ、フォローに回ろう。まじで恥ずかしい……


「だ、だから、小さいことを恥じるより、小さいからこその魅力を見せるべきなんだよ。自分は小さいのも好きだ。だから安心しろ。需要はあるのだ!」


「キっモ……」


ゴミみたいな目で見られる。イラッ!


「あ、なんつった? お前ユーシャインライブ出禁にすんぞ」


「それだけは勘弁を~~~!」


というわけで、この日を境に彼女は胸を盛ることをやめた。


☆☆☆魔王城。そして!


その後は、王国から一晩で魔王城に戻ってこれた。


ビドちゃんと一旦別れ自室へ戻る。


「ぐえぇえ……エクシリオ……」


オトザは酔いつぶれいた。二日酔いだろう、そんなに飲んでない気がするけど……


「大丈夫かオトザ」


「お、おう……飲み過ぎた。嬉しいことがあるとつい飲んでしまうのだよ……ぐえぇぇ」


そうか、彼なりに漫画で魔王軍が変わる兆しが見えたこと、それが嬉しかったのだろう。


今や、魔族領は漫画の話題で持ち切りである。そして自分のみが原作の知識を持っているため、魔王軍で成り上がるのも時間の問題だ。


読者は必ずしも『続き』というモノが気になる。それを武器にすれば自分はどこまでも行けるだろう。


「まぁ、このままいけばお前の望んだ魔王軍に変えることが出来るだろう。既に多くの者が漫画に支配されている」


「そうだな……まさかエクシリオがここまでやってくれるなんてな……だけどさ……一つだけ、問題が発生している。この状況を良く思っていない奴がいるのだよ」


「……マジで?」


急に現実に戻された気分になる。


「《《魔王様》》だ」


魔王……そうか、もうその段階まで進んできたというわけだ。


確かに今の魔王軍を変えるには絶対に避けては通れない道だ。最大の脅威だと思っていたトークビドウが思いのほか簡単に篭絡できたので忘れてた。


でも確か魔王のエボルーテ・ドロプスってビドちゃんと仲良かったはず。説得を彼女に任せれば上手くいきそうだな。意外と楽に魔王軍で成り上がれるのでは! ぐへへ……


「まぁ、想定のうちだ。策は用意してある……」


「魔王様が一筋縄でいくとは思えないが……ほんとに大丈夫か?」


一応人物像を掴んでおく必要があるがトークビドウの一件がある。


「オトザは魔王様と対面したことはあるのか? どういう印象を持ったか教えてほしい」


「あぁ、数回あるよ、変な口調で喋っていた。『のじゃ』とか、それでいて小柄な少女でありながら、圧倒的な力を感じたな。何というか……本当に凄まじい」


のじゃ……やはり、ビドちゃんのマントの中に入った時に聞こえていた口調と一致する。あれ……のじゃ? あぁ!


そして自分はかつての武道大会の時に迷っていたのじゃ王女を思い出す。


……そうか! そういうことか! あの時の彼女こそが魔王だったんだ! 


そうなれば……ユーシャインを武器にすれば上手く交渉できる。


「他には何かあったか?」


「他に……うーん。私的な意見であるが美少女であったな。よくわからないがユーシャインと並べるくらいの……?」


「あ、そういうのはいいです」


「なんでさ! あ、また来た気持ち悪い……俺はこれで」


そのままいうとオトザは去っていく。さて、魔王の攻略法も見つかったし、


いつでも魔王と対面できるように策を練って……


「た、大変です! エシリク様!」


突然自室の部屋が明けられる。恐らく家臣だろう。


「魔王様がお呼びです!」


……先に手を売ってきたのは魔王の方だった。よくある謁見の間で礼儀作法とか全く学んでないけど大丈夫だろうか……


でも、何とかユーシャインを使い交渉する。その作戦に変わりはない。


自分は家臣に連れられ謁見の間へ案内される。


大きな扉が開かれると奥の玉座に―――――


あれ? ――――なんかノイズが……視界がぼやけて―――――


―――――――――バタっ!


―――第六章。完!


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