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第50話 漫画は魔族領で大ヒットでした!

☆☆☆革命の魔族領


それから少しの時が経ち、自分は魔族領の村を歩いていた。


「ゴムゴム波~~!」「螺旋卍固め!」「はいお前の名前書いたから死亡~」


魔族領の子供達は漫画に夢中になり、ごっこ遊びをしていた。明らかに漫画の影響が見える必殺技の数々だ。


「こらー! 泥棒よ!」


「――万引き冤罪……無料食処(むりょうくうっしょ)!」


あ、子供が店で食べ物を盗んでいるぞ! 冤罪でもなんでもねぇだろ! 実行犯だ!


以前見た魔族領の村は死んでいる。食に飢え、治安も悪かった。オトザがいなければ自分は一瞬で死んでいただろう。


いや、今も食い逃げしてるし治安に関しては良くはなっていないな。


子供だけではなく大人も漫画という物語に惹かれ、集団で金を出して買っていた。大勢で読み合いをしており、金よりも価値のある物として漫画は扱われるようになったのだ。


そして民同士の絆も深まり合い、こちらの懐も良くなるというwinwinの関係である。


「よしよし……計画は順調だ。さてと……」


村の確認も終わったので魔王城へ戻る。そして魔王軍の連中も……


「うわぁ! この展開クソおもしれえ! どうなってるんだ!」


「うおおおお! なんだこの画期的な娯楽物は!」


とのことで、魔王軍でも大盛況だ。


やはり漫画の力はすごい。魔族の心すらも掌握できる。その手腕も全部ビドちゃんのおかげであることは忘れてはならない。


しかし、ビドちゃんのセンスは侮れない。彼女は呑み込みが早く、多くの技法を習得していった。元居た世界でも漫画家としてやっていけるのではないだろうか……週刊で。


☆☆☆パーティータイム


自室で盃を交わした。


「「(カンパーイ!)」」


自分とビドちゃんとオトザは三人で昼間から飲んでいる。漫画が大ヒットして金がガポガポ入ってきた打ち上げのようなものだ。


ビドちゃんはジュースを飲んでいる。


「しかし、本当にすげぇな、まさかこんなうまくいくなんて思ってなかったぞエシリク! 戦うりよっぽど稼げるぞ~がはははは!」


「まじで~自分天才だから、楽勝よ。このまま漫画描き続ければ、魔族領は安泰だってマジで。絶対受けるから!」


「……もう無理……眠る」


オトザは酒に弱いのですぐ酔いつぶれる。


「……寝た?」


すると、ビドちゃんが普通に喋り出す。


「寝ている。オトザは酒に弱いからな。それなのに調子に乗って飲むからだ……」


「はぁ~~~別にオトザが悪いわけじゃないんだけど、とりあえず外に移動させておこっと」


ビドちゃんはオトザを外に出す。


「さてと……エシリク。私は頑張ったよね。ご褒美が欲しいんだけど……」


ご褒美を求められても果たして彼女に渡すものって何かあるのか? 大抵四天王パワーで手に入りそうなものだが……


「ご褒美。さて、どれのことやら」


適当にはぐらかす。


「私めちゃ頑張った。漫画めちゃ売れた。そしてめちゃ懐儲かった。」


「……ビドちゃんは何が欲しいわけ」


「……そ、その、エシリクって、いろいろと物知りなわけじゃん」


マスク越しでも顔が照れているのが分かる。あ、これは自分に目一杯褒めてもらいたいとかそう言う奴か……全くモテるって辛いねぇ~


甘やかしてやれば懐くけど……


「あぁ、自分はある程度知識があると自負しているな。頭でも撫でようか?」


全部パクりだけど。


「そ、その……エシリクの知識には、その……すっごくエ、エッチなやつとか……ないの? それを描きたいなって……」


何言ってんだこいつ。いや、え……え……?


「……ない」


秒で拒否する。


「え」


「ないですよ。何を言っているのですかビドさん。そんな知識はないに決まっています」


棒読みで敬語になってしまう。


「嘘よその言い方! 絶対とんでもエッチを知っているでしょうに! 教えなさいよあなたの性知識! どうせ途方のないものが眠っているんでしょ!」


秒で見抜かれる。


「い、いや、ダメだ! これだけはダメなんだ! 分かってくれ!」


胸ぐらをつかまれ振り回される。普通にきつい。


「どうしてよ! いいでしょそれぐらい! どうせあなたのことだから変態的な知識があるに違いない! 私はそれが欲しいのよ! そして漫画に描いて……ぐへへ」


笑い方が普通にキモイ。こいつ……変態だ!


「ダメだ! 戦争になる! 沢山の命が犠牲になるのだぞ!」


「え……それは困る……」


戦争という言葉に手を止める。よし、何とか解放された。


「例えば、ニーソとタイツどっちがいいと思う?」


「タイツだね、暖かいから」


「自分はニーソ派だ。太ももの食い込みを見るとテンション上がる」


「でもタイツは透けた足が見えてとってもいいよ! 確かに太ももの食い込みも……っは!」


ビドちゃんは気付いたようだ。


「そう、性癖は多種多様であり。足に履くものだけでも無数にある。その行為を描いてしまえばそれはもはや性癖の押し付けに過ぎない! そこで特殊なエロ知識を不平等に与えてしまえば、ニーソ派とタイツ派で世界が分断され戦争の子だ……火種になってしまうのだ!」


というかこいつ自分が異性と分かって性知識教えろとか頭狂ってるだろ。どれだけ頭ドスケベなんだよ……


絶対ス〇ブラの大乱闘でピンクファ〇コン選んでパンチしまくるタイプの女だ。


それか、ガ〇ンでメテオしまくるやつ。


「確かに……?」


納得していないようだ。どうにかそういう話題は気まずくなるし、こいつの性癖も知りたくないので逸らさなくてはならない……


彼女はユーシャインのファンなのだ。絶対アルシュルでそう言うの描くだろうしな、避けなければならない。あ、ユーシャイン。それがあったか!


「そんなものよりも余程素晴らしいご褒美を自分は用意していたのだが?」


「……そんなものって、私にとっては大事な知識なのにぃ……それより凄いご褒美なんて思いつかないし、大したことなかったら、その倍は教えてもらうから。それでいい?」


「あぁ、構わないさ。いくらだって教えてやるさ」


生憎勝機しかなかった。なにせ……自分のご褒美は……


「聞いたからなあ? 吐いた唾飲み込むな? エシリク……」


喧嘩腰で聞いてくる。


「それはこちらのセリフだぞ。タココラ。満足したらお前どうすんだ? タココラ!? ビドちゃん!」


「お? やんのか? こっちが勝ったら土下座させて靴舐めさせるからな? そして踏んずけてけっちょんけっチョンにしてやるからな? その後も……ぐへへへ……」


調子に乗らせておこう。どうせ勝つのは自分なので


「あぁ! そうとなれば、カクセイラン王国に向かうぞ!」


「……」


ビドちゃんはフリーズする。


「え!!!」


そう、ご褒美を渡すためには一度カクセイラン王国に戻ることが必要だ。





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