第48話 四天王は漫画家を目指します!
☆☆☆ビドちゃんとルーちゃん
ユーシャインについて永遠に喋り続けるビドちゃんであったが、あのままでは終わりが見えないので、自分の部屋に戻ることにした。
ビドちゃんと現魔王ことエボルーテ・ドロプスは幼馴染であると推察する。というのも本人に聞いた限り、幼い頃いじめられている所を助けてもらったことがあったらしい。
その恩義もあってかビドちゃんは魔王に仕えている。タメ口で話し合うほど仲が良い親友だ。つまりコネだな。仲いい人がトップにいるとクソ雑魚でもここまで簡単に出世できるのか……
だが、トークビドウとしては威圧感倍増装置の恩恵あってか、そのほかの四天王に対し抑止力となっている。つまり、彼女という存在がいるだけで裏切り対策にもなっているのである。
ちなみにいくらクソ雑魚と言っても魔族としての雑魚であり、試しに力比べしたら自分が完敗した。つまり、最弱は自分であることに変わりはない。
『え……エシリク雑魚すぎない? 大丈夫? こんなかわいい雑魚に負けて恥ずかしくないの? あ、もしかして手心加えていた? あ、でも自分より弱い人初めて見たかも……えへへ……ちょっと嬉しい』
馬鹿みたいに煽られたので、秘密全部ばらすぞと脅したら、すぐに泣きだし土下座した。
どれだけ自分が弱いか痛感した。なんで魔族最弱にも勝てないんだよ……腹が立ってくる。
するとオトザが現れる。慌てている様子だった。
「エクシリオ生きているか! 聞いたぞ! あのトークビドウに捕まったって! 魔王軍ではその噂で持ち切りだ! 期待の新人が死んじまったって……ぶふふふ!」
そのギャグで持ち切りなんじゃないのか?
「まぁ色々あったのだ。察してくれ……」
正直に言えば疲れた。
「その傷……まさかトークビドウに……?」
「あぁ、少し自分の実力を見せようと……その結果の怪我だ」
ビドちゃんにつけられた傷なので嘘は言ってない。あんなしょうもない戦いだと彼は思っていないだろうが……
「それで報告があるオトザ」
「吉報か?」
「トークビドウをこちら側に引き入れた。それにより魔族領娯楽化計画が始動できそうだ」
「……」
オトザはフリーズする。そして意識が戻った。
「……あはは~またまた御冗談をエクシリオさん~あの堅物のトークビドウを仲間になんて……もっとマシな嘘を……あれ、この会話前もしなかった?」
「生憎交渉は得意なんだ。かの……彼に有用な条件を提示したら受け入れてくれたさ、自分はトークビドウの傘下に加わることが出来た」
彼女というのは止しておこう。一応トークビドウは男ということで通ってるらしいので。
「嘘だぁぁぁぁ!」
腰が抜けたらしい。
「だから近日中に魔族領娯楽化計画を始動させる。そのための準備に取り掛かろうと思う。企業秘密なので暫くここに立ち入らないでくれ」
「どうして……」
「これは、トークビドウ直々の命令だ。配下である『十二の刺客』の一人と共に行動することになった」
十二の刺客。トークビドウが率いる謎の戦闘集団。正体を知る者は存在しない。裏切り者を始末するときに現れるとされる伝説的な存在らしい……
が、十二の刺客はビドちゃんの妄想の中のキャラであり、うっかり、書き綴った本を部下に見られたせいで、魔王軍ではトークビドウには十二の刺客がいると噂されるようになっていたらしい。完全に彼女の黒歴史である。
正直見られた時の本人は気が気じゃないだろう。あの性格だし。絶対一人で部屋で発狂していた。
「……まさかあの十二の刺客が力を貸すとは……分かったよエクシリオ。正体を知って殺されるのは御免だからな。だが、その完成した娯楽を見せてはくれるのだろうな?」
「あぁ、それはもちろん」
「楽しみにしてるぜ!」
そういい、オトザは消えていく。
☆☆☆数日後!
「ぁぁ……もう無理。辛い……明日が来なければいい……」
自分はビドちゃんと長い夜を共に過ごし続ける。正直かなり疲れていた。
漫画を描く知識はほぼ皆無なので、その場のノリでビドちゃんに描かせた。
原作は元の世界からパクってきたものであり上手く漫画に落とし込ませようと画策する。
最初は上手く描けないことも多く、ぶつかり合うこともあったが自分が弱いの当然負ける。そのたびに彼女は自己肯定をしていた。
『……もしかして私強かったりするの? エシリク雑魚?』
『違う! そういう時は『ざぁこ♡』っていうのだ……」
試しにメスガキを言わせてみるか……
『ざぁこ♡ざぁこ♡……こんな感じ? 言われて楽しいのこれ?』
『いや、お前に言われると腹立つだけだわ、もうやらなくていいよ』
『腹立たないでよぉ! はぁ~~~~! でも煽りに使えそうだわね今の』
そんなこともあった。少しコツを掴むとビドちゃんは漫画をみるみる描いていく。
これは上手い……自分が中学生の頃に描いた厨二漫画よりよっぽど出来がいい。デッサンもしっかりできておりアナログでここまで描き込めるのは一種の才能ではないだろうか。
原作は大ヒットした漫画なので内容はお墨付きだ。後はビドちゃんの頑張りに頼るしかなかった。
モチベーションを上げるために何度も『可愛い。天才。美人。神絵師様』と言いまくった。そのたびに調子に乗り描き続ける。まじでちょろいんだが。
そしてようやく、一冊目の漫画の原稿が完成する。
「で、できたぁぁぁあぁ! やったー! エシリクー!」
「うおおおぉぉぉ!」
正直徹夜明けなのでテンション上がってビドちゃんとルンルン気分で踊った。
「しっかし、エシリクよくこんな物語思いつくよね、私凄いわくわくしてきた。普通に才能あるんじゃないの? こんなの普通思いつかないよ」
……だって元居た世界のパクりだもの。自分は何も凄くない。
「でも~それ超えて私は天才。こんな物誰も作ったことないもん……へへ……可愛いし天才って……完璧すぎない私……?」
めっちゃどや顔をしてこちらを見てくる。はいはいそうですね。
そして……この世界で初めての漫画が完成した!




