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第47話 魔族領娯楽化計画再始動します!

☆☆☆素晴らしい提案


こいつがクソ雑魚四天王であり、ユーシャインのガチオタであると分かれば自分の娯楽計画を上手く持ち込めるのでは……


彼女を味方につければ魔王軍での地位もあがり、動きやすくなる。


「ところで、トークビドウは」


「ビドちゃんでいいよ」


ビドちゃんでいいのか、信頼は勝ち取れている。それなら彼女を動かすことが出来れば……娯楽計画が始められる!


「び、ビドちゃんは想像力は人一番強いとお見受けする。それにあの本の絵だってかなり精密なものだ。努力の跡が見られる」


「そ、その話は……な、無しで、あれは私の理想なので……忘れて」


顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。しかしここで食い下がる自分ではない。こいつはちょろい。押せば落とせることは確実だ!


「いいや、ビドちゃんの絵は上手い!」 


特にアルシュルの胸は一流の漫画家にも匹敵するほどだ。ならば彼女に物語を作らせること……原作は……自分がやればいい。


何せ……異世界に著作権は存在しないのだから!


「もうその話はやめよ? 恥ずかしいから! ……あ、でももっと褒めてほしいかも……褒めて?」


どっちだよ……


「才能っていうのは何かに対し平等に振舞われるものだと自分は考えている。君は物語を紡ぐのは上手い。そしてあの絵心は君にしかないモノだと思う」


「ほんと……? ふふふ……」


顔を赤くしながらにやける。


「そこで、自分はある計画を考えている。それは、魔族領に新たな娯楽を作ることだ」


「……アイドルですか、アイドルならユーシャインに勝てないのでやめた方がいいよ。結局最初に始めたユーシャインが一番なのですから。そもそも何があってもアルシュル姉さまに勝てるわけないです」


熱烈に語るな。ちなみにユーシャイン結成後もカクセイラン王国の各地ではアイドルグループが作られたみたいだが、どれも歌の力でユーシャインには到底及んでない。


魔族領でアイドルを作ることも可能であるが、それではユーシャインとの競合相手が増えるのはあまりよろしくない。


それに熱狂的なファン同士のひどい戦争にもなりかねないからだ。目の前に奴とか特にめんどくさそうだ。


「いいや、アイドルはカクセイラン王国の物だろ。確かに魔族領でアイドルを作ることは考えたが、それはビドちゃんが止めると分かっている」


「なるほど……では、他の娯楽を……え、まさか、そこでその本が?」


彼女は自分の視線に気付くと理解してくれたようだ。


「そう、君には魔族達の心を打つような物語を描いてもらいたい。そして娯楽として世界に発信していくのだ」


彼女に計画の許可をもらうのではなく、彼女自身を計画に引き入れること。


「……え、無理なんだけど。何言ってんのエシリク」


拒否された。それは羞恥心故だろうか?


「無理、絶対無理だから、大体ね、私小さい頃にそういうの描いてて皆に笑われてたのよ『お前はいつまでそんなつまらない事考えているんだ』『ブスが調子乗んな? そんな世界はどこにもないのよ~』とかめちゃ言われたいし、それでその絵をびりびりに破かれて笑いものにされたのよ!……思い出しただけども無理……気分悪い」


恐らくトラウマだろう。だから他人に自分をさらけ出すのが怖いってパターンだ。だから理解者を演じる必要があるな。


「最低だなそいつら、ビドちゃんブスじゃない。それはビドちゃんの可愛さに嫉妬しているだけだ。それに人の作ったものをびりびりに破くなんてその価値を理解していない」


「だよね! 私可愛いから嫉妬の対象になっていたんだよ。村の男子にも人気あったし。え、今可愛いって言った……?」


後その性格がいじめの対象になっていたと思う。めんどくさいもんこの人。


「いや、普通に美少女でしょ、可愛いよ、ビドちゃん。ユーシャ……なんでもない。うん。髪とかピンクでかわいい!」


ユーシャインに顔負けしないと言おうとしたがそれは地雷だ。多分、私なんかと比べるとか失礼とキレだすに違いない。


「う、嬉しい……男の人に美少女って言ってもらったのなんて、私の頭の中だけだよ……あ"り"が"と"う" エシリクゥゥゥ!」


抱き着かれ泣かれると服に鼻水がついた。きたねぇ……


「と、とにかく、君に悲しい事情があるのは理解した。だけどいつまでも、その本に描き記しているのでは、あまりに陳腐ではないか? 君の理想の世界は、自分が読んだことによって作品になった。それは一種の娯楽だ。誰かの生きていく活力になることだってある」


「で、でもぉぉ! 可愛いって言ってくれたよぉぉ! えへへ……」


こいつ話聞いてんのか? 


「……だから君には、君にしかできない作品を作ってくれ! そして魔族領に新たな娯楽を誕生させるんだ!」


そう、あちらの世界では当然の様に溢れかえっている物語。そして彼女には画力がある。自分にはあの世界で現代知識があるのだ。


自分はこの魔族領で『漫画』を流行らせる。


「だから、自分の計画に力を貸してくれ……ビドちゃん」


「……ほんとにわたしでいいの? 弱いよ?」


「この計画に力は必要ない。ただ、より面白くしたいという意思だけがあればいい。自分の示した物語に君が絵を乗せるんだ。描くこと……君は誰よりも得意なはずだろ?」


「うん。多分誰よりも描いてきたと思う……弱かったから、その……」


彼女は強くなることよりも描くことを選んだ。何かを作ることに対する執着は人一倍強い。だからこそ、この世界では新鮮なユーシャインに食いついていた。


つまり彼女と娯楽は非常に相性がいいはずだ。


「その弱さは誇りだ。弱いから、努力をするんだ。だったら少し位自分を認めてもいいじゃないか? ビドちゃん。君は……面白くなれるんだ」


「……うん。でも、失敗しても怒鳴らないでね、誰かに笑われても全部エシリクのせいにしていいなら……うん」


何という責任転嫁。でもまあ、彼女のメンタルがよわよわなのは分かっているので、非難は全部自分が引き受けてもいいだろう。


自分は多少なりとも悪く言われようが耐えることが出来る。


「大丈夫だ。全部自分の責任でいい! どんと構えてろ! つまらないなんて言われても君は悪くないから! うん!」


すると、納得してくれたようでにっこりとほほ笑む。


「……じゃ、じゃあ……よろしくエシリク!」


こうして、自分はビドちゃんを仲間に引き入れた。


ここから娯楽計画が始まるのだ!


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