第45話 沈黙のトークビドウ
☆☆☆魔王にバレた!
自分はトークビドウのマントに隠れている。そして足が出てることを気付かず魔王にバレてしまった。
「えっとこれは……」
「もしやビドちゃん……バレたのか? ならすぐ口封じのために生かしてはおけないのじゃ! 始末しなければ!」
疑いの目を持たれるのはやばい。マントで隠れて表情まで読み取れないがなんとなくプレッシャーを感じる。
「ほわわわわ! これは、ち、違くて!」
そしてトークビドウは完全に気が動転している。恐らくアクシデントに弱いタイプだろう。何も反論が浮かんでこない……ならば……!
「……? これはね! ユーシャインの間で美脚が流行っていると聞いて、足を長くしてみたのだけどどうかな?」
そういい自分は足をぶん回す。
「そ、そうなのか? でもこんな急に足が長くなるものか?」
「……? 足長美脚装置を作ったの。だからこれは機械なの! 機械で足を綺麗に見せているのよ!」
足を高速でバタバタさせる。
「ははは! そうじゃな! 確かにビドちゃんずっとスタイルに自信がないって言ってたのじゃ! 足短いしな! がはは!」
「……あ? 誰が足短いつった? 殺すぞ」
なんで突然キレ出してんだこいつ。魔王にそんな態度取っていいのかよ……友達感覚のノリだな。
「お、おっと、すまんすまん。そういうことなら安心したのじゃ、ビドちゃん。いくらアレを落としたからって暴走だけはしないほしいのじゃ、では妾はこれで……」
魔王が出ていったようだ。
自分はトークビドウにマントの中で助言をしていた。それに彼女も乗ってくれたおかげで何とかこの危機を脱することが出来たのだ。
☆☆☆饒舌のトークビドウ
「あー、危なかったぁぁぁぁ! 危なかったよぉぉぉ!」
すると自分はマントの中から出る。トークビドウは泣きじゃくる。
「……って、さっきの助言からして絶対あの本の中身見たでしょ! あぁぁぁぁぁあああ! 私がユーシャインの大ファンだってバレたぁぁぁあ! 私の妄想がぁぁああ!」
マントの中でトークビドウは悶えだす。
「終わった終わった終わった終わった……私はどーせユーシャインの間に入りたい女ですよ! 笑いたいなら笑えばいいでしょ! 大体ね! 落とし物の中身を見るなんて最低! あなたほんと最低! うぎゃああああああ!」
こいつほんと落ち着きないな、何が沈黙のトークビドウだよ、饒舌なトークビドウに改名しろ。
「落ち着いて、それぐらい大したことじゃないだろ、別にユーシャインなんて――」
きっとそれが彼女にとっての地雷だったのだろう。
「――は? 大したことない? 殺すよあなた。ユーシャインを大したことがないって言った? あなたに何が分かってんのよ! ユーシャインはカクセイラン王国で活動中のトップアイドルグループなのよ! コルルナちゃんめっちゃ可愛いのよ! 獣人族のイルミルちゃんもめちゃ可愛いし! そして何よりもアルシュル姉さま! あの素敵な表情! そしてお姉ちゃんスマイル! マジ最高なんだから一回見てみれば分かるから!」
そう言われ拷問部屋の後ろに扉があり。そこには大量のアルシュルのサインが飾られていた。こいつガチオタだな。あのサイン会何回も来ているなんて……
「毎回私はサイン会行くんだけど、ほら、ここ私の名前入れてくれたんだよ! 『ビドちゃん』ってめっちゃ優しくない? それに曲だっていいんだよ! 分かる?」
するとユーシャインの曲を歌い出す。うん、まぁ歌えている。
そんな熱烈に話さなくても全部知っている。なにせ自分はそのユーシャインの生みの親なのだから……
「大体あなたは……って」
そこで彼女はふと冷静になる。
「あ、あぁぁぁぁぁぁあぁ! やっちゃった! やっちゃったよ! ついカっとなって喋っちゃった! あぁぁぁぁあ!」
トークビドウはこちらに近づいてきて、胸をポコポコと叩く……痛い痛いって……
「バカバカバカ! 今の全部忘れろ! 忘れろ! 死ね! 殺す! それか一緒に死んで!」
心中しようとしないでくれ! しかし……あれ?
かなり力を入れて叩かれるが、なんで彼女の攻撃が《《痛い》》で済むんだ? 普通に殺意ある攻撃なら自分は吹っ飛んでいるはずだ。
だってこいつは……魔王軍最強の四天王ではないのか?
「忘れるなんて無理だろ。それに殺せるならもうとっくに殺しているだろうに……だって君は最強で……」
「……私にそんな力ないんだよ~! 最強四天王トークビドウなんて全部眉唾物の作り話なんだって!」
「え? いや待ってくれ……え?」
すると、トークビドウはマントを脱ぎ、本来の姿を現した。
ピンク色の長い髪をした美少女である。綺麗な赤い瞳をしており、魔族特有の角も生えている。普通にかわいい見た目をしているな……
そしてなにより……胸がでかい。アルシュルと比べても、いや胸は比べるものではない。その魂が大切なのだ……
とにかく胸がでかい。そこが一番印象に残った。
「どーせ、トークビドウは最強の四天王って噂信じてビビってたんでしょ? はい残念。そんなのただの噂だからあなたは最初から騙されていたのよ! へへ……」
うっざ……どや顔するなよ。するとすぐに顔が落ち込みだす。
「へへ……どうせ私は雑魚ですよ……最強四天王の正体はこんなくそかわいい女の子ですよーだ……笑いたければ笑えばいいでしょ……あなたも笑いなさいよ!」
そしたらまた突然キレ出した。こいつほんと情緒不安定だな。
しっかし……トークビドウは本来最弱である。だが、最強とうたわれている。あれ? これどこかで聞いたことが……
そう、自分こと、勇者エクシリオ・マキナとほぼ同じである。言わば魔王軍版エクシリオ・マキナ。つまりキャラが被ってるのだ……
どうすんだこれ……




