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第44話 落とし物のせいで魔王城は大パニック!

☆☆☆ハプニング


先ほどの通路に戻ると、周りが慌てていた。何があったのだろうか?


自分より下の地位である魔族がいたので聞いてみよう。


「一体どうした?」


「エシリク卿! 大変です! とにかく大変なんです!」


「驚くのは後で良いから事態を説明してくれ。これでは自分も驚けないだろ」


「事態の全貌は掴めていないのですが、トークビドウ様が怒りに満ちた形相を浮かべて徘徊しています。噂によると『何かに気付いた』とのことです。そして誰かを探している様子でした」


……え? もしかして、自分の計画に気付かれたのではないか?


「そ、それは……一大事だな。しかし、マントを被っているのに怒っていると分かるものなのか?」


「あの威圧的なオーラは怒りに満ちている証です。私もトークビドウ様があそこまで、誰かを探しているような素振りをしているのは見たことがありません」


「そ、そうなのか……誰を探しているか、君に心当たりはあるのかね?」


「いいえ私には……あぁいかないと! とにかくエシリク卿も気を付けて!}


そうするとこの場に一人取り残される……


やばいかもしれない。自分の娯楽計画がどこからか漏れた?


もしかしたら、オトザがチクった可能性がある……そしてトークビドウに自分を処刑……いいや、それはない。


オトザなら自分を殺そうと思えばいつでも殺せる。わざわざトークビドウを使うなんて回りくどいことはしない。


そしてもう一つ。自分が原因ではない場合もある。どこかに裏切り者がいたとしてそいつを処刑しに来た可能性だって否定しきれない。


いくら考えても無駄なので、落とし物を届けに行くか……


落とし物などを取り扱う部署の扉を開こうとすると、直感で身体に威圧感が出てくる……これは……


「ひっひぃ! 落ち着いてくださいトークビドウ様。ここに在るもので落とし物は全てです!」


会話から考えると、トークビドウは落とし物を探している。ここに訪れている理由も恐らくは自分が拾った本が原因だろう。


ってことは、あれ描いたのってトークビドウなのか? まだ断定はできないけどその可能性が高い。


……どうするか、ここで自分が届けたことにすれば、何かしらのコネを手に入れることが出来る。凄い大切なモノを拾った恩を売れるのだ……


しかし、中身が中身だ。見られたと知られれば口封じのために殺される可能性もある。黒歴史を他人に見られるなんて自殺モノだろう。


安定を求めるなら……見なかったことにしよう……うん。


「……!」


しかし、時はもうすでに遅し……トークビドウは自分の目の前に立っていた。


「ど、どうもトークビドウ様」


「……」


何を発しない。トークビドウはただその大きなマントの中から自分を見つめている……


「……」


「あ、あははは……」


「……」


何も発しない。しかし足はバタバタさせており焦っているようだ。やはりあの本の持ち主はトークビドウで決まりだろうか……


「そ、そういえば、通路にこんな物が――」


本を取り出すとすぐに奪われその場を離れていく。やっぱり彼のだったか……


相当恥ずかしいだろうなこれは……って、こっちに戻ってきたし。


すると何も言わずにトークビドウは自分の手を引っ張る。


あ、終わった……このまま俺は彼の部屋へと連れていかれた。


☆☆☆トークビドウの部屋


自分はトークビドウの部屋に入る。するとそこは威圧的な拷問用具が無数に用意されていた。やばいな……痛いのは嫌いだ。


「…‥読んだの」


大きなマントから発したのは女性の声だ……え?


「読んでないです」


めんどくさくなりそうなので嘘をつく。


「…‥本当に?」


思ったよりかわいい声をしている。彼を改め彼女にしたほうがいいな。


「はい」


「…‥良かった。見られてなかった……あ! 喋っちゃった! やばいやばい! あああああ! どうしよ……」


こいつ自分から地雷踏み抜くタイプか?


「わ、私はトークビドウ様の手下のアルシュ丸です!」


「いや流石にそれは無理があるでしょ」


やべ! 突っ込んでしまった! どう見ても嘘だしアルシュ丸ってほぼアルシュルだしさ!


「ほわあああっ! いや! トークビドウ様の妹! 妹でいい! アルシュ丸! もうこの際アルシュル姉さまの妹でいい! とにかく私はアルシュ丸なの! 分かった! いいっ!」


「あ……はい。アルシュ丸様……?」


勢いで押し切られた。こいつ完全にアルシュルのファンだろ。


「だから私はトークビドウとは何も関係ないの! そのことを忘れない様に……あれ? 誰か来た?」


「……ルーちゃん? あっこれやばい! 隠れて! あぁもういいや! 入ってきて!」


「いや待ってちょっと何をして! うがっ! 助けて!」


自分は引っ張られ彼女のマントの中に入れられた。なんだよこれ。良い匂いするし。中身は真っ暗なのでどうなっているか分からない。


しかし、何か柔らかいものが当たって……るような気がしないでもない。でも肉って感じがしないから布の類なのだろう……


(ちょっと! どうなっているんだこの状況!)


(いいからあなたはそこに隠れていて! 何もしゃべっちゃだめよ? ほんとにばれたらまずいんだから!)


もうこの状況がまずいのでこれ以上悪くなる気がしないのだが…… 


「失礼するのじゃ! わーい! ビドちゃん!」


すると子供の声がする。あれこの声どこかで聞いたことあるような……友達だろうか。ビドちゃんとか完全にトークビドウじゃん。


「ちょっと! 何しに来たのルーちゃん!」


「いいや、お主が魔王城で暴れていたと話題でな、何かあったのかと《《魔王》》として管理する必要がある……お主が与える魔王軍への影響力を侮ってはいけないのじゃ。皆怯えていたぞ?」


……え? 魔王? もしかして……最強にやばいのでは?


魔王と初対面が女の子のマントの中に隠れているのなんなんだよ……


「それは……《《アレ》》を落としちゃって……誰にも見られてないから大丈夫だったのだけど」


アレ、本のことだろう。魔王様もアレを知っていたのか?


「ほうほう、そうかそうか……ところで」


空気が変わる。


「《《マントから出ている足は一体なんなのじゃ?》》」


っげ……マントから足が出ていた。


まさか……魔王は最初から自分に気付いて……


「そ、それは……!」

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