第40話 適正テストは過酷でした!
☆☆☆適正テスト編
さて、自分は魔王軍の幹部である連勤のオトザにエクシリオ・マキナであることがバレてしまった。
彼自身の目的はよくわからないが、利用価値があるとみなされ、運良く採用されることとなる。
『魔王軍の労働環境を変える』それが自分の課せらせたミッションだ。
そして今日は新人研修に来ている。新入りが魔力適性を図るための水晶がある。
「新入りの諸君! 今回は各自の魔力適性をチェックする!」
教官っぽい魔族が説明を始めた。
異世界名物の魔力適正チェック……水晶に振れ、光った色によって魔力の属性や威力が分かるというお決まりのやつだ。
恐らく自分がこの水晶に振れれば光属性魔法として認識されるだろう。そのことはあってはならない。
どうやら魔族に光魔法を使うものは存在しないとのことだ……それにその光魔法も威力がないただの飾り。
つまり、この魔力適性チェックは何としても避けなければならないのである。
今回の面接で採用されたのは五人。自分はその中で一番最後となっていた。
「一番から水晶に手を当てるように、その結果で配属が決まる」
最初に奴が手を当てると赤く光る。恐らく炎魔法の使い手なのだろう。
「おぉぉ……この輝き方は上級魔法まで使えるな」
「はい! ぜひとも私を勇者討伐隊に加えていただきたいです!」
その後も順調に進んでいく。
風魔法だったり土魔法だったり、どいつもこいつも自分より優秀な奴らだった。
「次、最後だぞ、五番!」
そして自分の番が訪れる。
「――どいつもこいつも大したことがないな……全く……」
手を当てると光魔法の適性を告げる光が……
「何……? これは土? いや、風魔法も使えるだと? いいや、火も操れるだと!?」
「おおぉ!」「三属性使える奴がいるのか!」「すげぇ!」「なんだこいつ!」
多色に光る水晶に驚いていた。それもそのはず、そう。自分の魔法は光魔法だ。普通に当てれば光魔法の適性が現れる。
自分の順番が最後のおかげで光るパターンを知ることが出来た。
つまり……水晶の外側に光魔法を張り巡らせることにより、本来の適正結果を隠し、火や風や土の属性と同じ色に光らせた。
激しく光らせていたため、周りは驚いている。
結構気分がいい。久々にこの反応見た気がする……
「――何を驚いている? これぐらい普通だろ」
「やべぇよあいつ……流石オトザさんのお気に入りなだけあるな!」
「あのマスクも力を制御しているためにつけてるって話だぜ?」
……なんかうわさが広まっているな。
「才能は申し分ないな。さて次だ。移動するぞ!」
「え?」
次あるの、適正テストはこれだけだとオトザから聞いていたが……
☆☆☆強敵は的でした
「さて次は威力を確認させてもらう。この的に得意な魔法を全力で放て」
あぁ……いつものやつだな……
的当て。異世界では実力試験の時に使われるものである。
しかし自分の魔法はどれだけ派手に光らせても殺傷能力はない。
つまりかっこよく魔法を放ってもその的が無傷なので誤魔化し切れない。
くそ、どうすれば、あの的を破壊することが出来る……?
「ファイアーボール!」「ストーンボール!」
「ウォーターボール!」「ウィンドボール!」
各自が的にダメージを与えていくが破壊には至っていない。上級魔法でも傷がつかない的ってどういうことだよ……
「やはり、的の破壊までには至っていないか……それでは五番。出番だぞ」
「あいつならやれるって!」「だって、オトザさんのお気に入りだろ?」
……くそお! あんな派手に光らせなければなぁなぁで済まされたものを!
かなり期待されてしまっている!
これで破壊することができなければ、自分の実力を疑われる……それだけは避けなくてはならない!
「……っふ、やれやれ」
仕方ないかとばかりに、的の前に立つ……深呼吸。
「――燃えよ、劫火!」
光魔法で炎のエフェクトを作る。前に何回か練習していたから、完璧に強力な炎攻撃を再現することが出来た。
「すげぇ! 最上級魔法も使えるのか! これなら的を壊すことが出来るな!」
強力な見た目の炎魔法を放ち、的を焼き尽くすように思えたが、当然ダメージはなかった。
「……最上級魔法をもってしても壊れないだと? あれほどの破壊力を持っていたのに!」
「一体どうなっているんだ?」「まさか……見た目だけなのか?」
やばい……バレそうに……
「――今のは、最上級魔法じゃないぞ? ファイアーボールだ」
そう、それが言い訳だ。
「「「「「っな!」」」」」
「五番! なぜ最上級魔法を使わなかった! 全力でやれと言ったはずだ!」
教官は手を抜いていたことを怒る。しかし、そここそが自分の逃げ道であった。
「――教官。いい加減無意味なことは止した方がいい。これでも威力を抑えた方だったのだが……自分が全力でやれば、的どころでは済まなくなるぞ?」
壊さなくても、この場を潜り抜けるやり方。それはあまりに威力が強すぎるために、本来の実力を発揮できないこと。
「……な、なに?」
「皆の身の安全を考えて一番威力の低い魔法を選んだのだが……」
そういいながら唖然としている新入り四人を見る。
「……それに、自分だけが出来ていても意味がない。気付いているさ、これは本来的を壊すためのテストなんだろ? 的を壊せずに良いと諦めていたそこの四人!」
「「「「はい!」」」」
完全に自分が優位に立っている。だからこそ、ある程度雑な言い分もまかり通ってしまうだろう。
「もし自分が壊していれば君達は不合格だったのだぞ?」
四人は焦り出す。
「まさか……そこまで考えての行動だったとは……しかしこれは並みの強度では……」
教官も驚いている……言い逃れが出来たな。
「――だからこそ四人がその的を破壊させることが出来れば、それは奇跡ではないか?」
「何……?」
的を四人に破壊させること。そうすれば、なあなあで逃れられるだろう。




